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内と外

いつも通りの駄文ですが、ごゆっくりどうぞ!

 エルに高橋を助けるように頼まれた僕は、その日の夜、お風呂に入りながらどうするか考えていた。

 

 どうするかといっても、ただ単に僕の思っていることを伝えるだけなのだが、いきなり伝えるのはいくらなんでもおかしいだろう。

 だからどういう流れで言うべきか悩んでいるのだ。

「いくらなんでも、いきなりはなぁ・・・・・」

 僕がそうつぶやいていると、お風呂の扉が開き、薄い金髪の少女が飛びこんできた・・・・・しかも、裸で。


 ザブーンとしぶきを上げたお湯の中から、その少女が出てきた。

「ぎゃははははぁ!!楽しぃ!!」

「ってエル!何入ってきてんだよっ!」

「だって、お兄ちゃんと入りたかったんだもんっ!」

「あのな・・・・・」

 僕とエルがもめていると、またお風呂の扉がガラっと開いた。

「エルちゃん、お風呂にはまだ早いって・・・・・えっ、ご、ご主人様!?」

「フレア!?早く扉を閉めろっ!」

「そんな!エルちゃんだけずるいです!私も一緒に入ります!」

 そう言って、フレアは服を脱ぎだす。

「フレアっおまっ、ちょっと・・・・・!」

 何事もないように、フレアは自分が着ているメイド服を脱ぎだしたのだ。

 何の躊躇もなく服を脱ぎだすフレアから、僕は目線をそらす。

 もちろん、健全なる男子高校生なら、学校で上位のかわいさの女の子が目の前で服を脱いでいたら、目をそらさずにずっと見ていることだろう。だが僕は、何か見てはいけないような気がしたので見なかった。と言っても、ちょっと見てしまった気もする。




「何だこの状態・・・・・」

 小さな浴槽に、高校生二人と、中学生くらいの子が一人、どう考えてもキツイ。 

 不幸中の幸いで、いつも入浴剤を入れているから、お湯につかっているところは見えない。

 でも、上半身は丸見えなので、僕はフレアたちに背中を向けている。


「あのぉ・・・・・ご主人様?」

 しばらくすると、フレアが話しかけてきた。

「なんだ?」

「・・・・・どうやってお風呂から出たらいいんでしょう?」

「僕が知ったこっちゃない!!」

「ひっ、そんなに怒らなくても・・・・・」

 そして沈黙・・・・・。


 はぁ、今日はお風呂でゆっくり高橋のことを考えようとしていたのに・・・・・。

 まず、僕が高橋を助けられるかどうかも分からない。

 それなのに・・・・・。


 僕が少しいらついていると、二本の腕が僕の体に絡んできた。かと思うと、背中に二つ、やわらかい感触が生まれた。

「ご、ご主人様?」

 フレアの声。だがどこか悲しそうな・・・・・。

「なっ、フレア!お前っ、一体何をしている!?」

「ご主人様は不安なのですか?」

 そう言った後、腕の力が少し強まった。

 腕も力が強まったと同時に、背中の感触も大きくなった。


 だが僕は、そんなことよりも、フレアの言った言葉が気になった。

「不安?どうして・・・・・?」

「別に、何の根拠もありません。ただ、そう思っただけです」

 後ろに首を回すと、フレアの心配そうな目と合った。

 目が合った瞬間、僕はまたすぐに前を向いた。

「不安か・・・・・。確かにそうかもしれないな・・・・・」

 そうだな。今思うと、僕は不安だったかもしれないな・・・・・。


 すると、フレアが後ろから小さな声で話しかけてくる。

「ご主人様なら大丈夫です。何にせよ、女神さえも守ってくれる人ですから。それと、私の大好きな人ですから」

 また首を後ろに回すと、フレアがニコッと微笑んでいた。

 その笑顔は女神だからではなく、また別の温かさが感じられた。

「そうだな・・・・・。やれるだけやってみるよ!」

「それでこそ私のご主人様です!」

 

 すると、フレアが顔を近づけてきた。

「だから・・・・・これは・・・・絶対に成功する・・・・・・おまじない、です」

 そう言って、フレアは僕の頬に、自分の唇を押し当てた。

「フレアっ、何をっ・・・・・!」

「お、おまじないをしたので・・・・・その・・・・・絶対助けてられます」

 そう言ったフレアの顔は、真っ赤なリンゴのように赤かった。



「それでは、ご主人様!お背中をお流しします!」

「ダメだよ!お兄ちゃん!」

 そこに、エルが口をはさんできた。

「どうした?エル?」

「今、フレアお姉ちゃんの考えていたことは『ご主人様のお背中を流すついでに、鏡でご主人様の前の方を見ることができちゃったり・・・・・へへっ』と、考えていましたからぁ」

「フレア、お前っ!」

「いえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえ!わ、私はそんなこと微塵も考えていません!!」

「フレアお姉ちゃん、動揺しすぎぃ」

「ちょっと、エルちゃんっ!」



 結局、フレアの女神の力で、タオルを持ってきて、それで隠しながら脱衣所に出た。



 僕が、就寝したころ、エルがフレアに話しかけた。

「ねぇねぇ、フレアお姉ちゃん?」

「何?」

「どうして、お兄ちゃんが不安だってわかったの?私でも心が読めないのに・・・・・」

 う~んっとフレアは手をあごの下に置き、考えた後、

「私は、遼さんが好きだから・・・・・ですかね?エルちゃんも、本気で好きになったら分かるようになりますよ」

 そう言って、フレアは自分の部屋に入る。

「どうして、私が本気で好きじゃないって分かったんだろう・・・・・?」


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