表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ジブンガタラレと爆弾妹  作者: ありがち
10/10

終章の後

「こんにちは、途理先輩――って、居ない?」

 いつものように部室へ行くと、何故か途理先輩が居なかった。

『話をする日』に途理先輩が居ないなんて、こんなの、初めてだ。

 いや、おかしいな。日を間違えたんだろうか、と考え始めると。

「おやおや、仁人くんが先に来ているなんて珍しいですね。わっしわし。良い感触です?」

 どうやら杞憂だったようだ。ちょっと俺が早く来てしまっただけか。

「いつまで触ってるんですか。そうだ、今日はちょっと違った感じでいこうかと思って」

「違う感じです?」

 俺の頭から手を離して椅子に腰掛ける途理先輩。

「はい、その前に報告をさっと。あの後、以前紹介して貰った女医さんの所へ行ってレントゲンを撮ってきたんですけど、俺も愉衣も普通の人体に戻っていました」

「仁人くんもです?」

「一瞬だけ俺も爆弾になってましたからね」

「大変だったんですね……結局ウチは力になれなかったみたいで」

「そんな事ないですよ。先輩が相談に乗ってくれるってだけで、すごく心境的には楽になってましたから」

「もう心配しまくりでしたよー。あ、そうそう仁人くんこれを見て下さい」

 さっと何かを取り出す途理先輩――って。

「これ、手榴弾じゃないですか?!」

 本物じゃないだろうな? 途理先輩の場合、偽とは言い切れないから怖い。

「これは本物に似せたおもちゃですけど、手榴弾――愛称は『パイナップル』と呼ばれていましてですね」

「パイナップル――」

「ウチの仮説なんですけどね……歩歌っち、パイナップルの飴を毎日食べてましたよね」

「いや、だからって、さすがに歩歌がパインアメを食べていたからって――」

 そのせいで愉衣が爆弾になってしまったなんて、流石に突拍子も無さ過ぎる、けど。

「確かに、愉衣が爆弾になったのは、果物のパイナップルを食べてすぐでしたね……」

「えっと、その話詳しくいいです?」

「詳しくも何も、愉衣が『パイナップルの気持ち』を考えてたみたいな話を朝飯の時にして、それで母がパイナップルを買ってきてくれていたので食べたとか、そんなんですよ」

「……」

「……」

「ま、まぁ、もういいです? もう解決したことなんですしー」

「で、ですよね」

 どちらにせよ、いまさら確かめようが無いことだった。

「うーん……歩歌っちが迷惑かけちゃったかもしれないですね……」

 腕組みをしてジト目を送ってくる途理先輩。

「あ、そうだ途理先輩」

「何です?」

「今日は、一つ俺に語らせて貰おうと思ってたんですけど」

「へ?」

「具体的な報告もかねて、ですけど今回の件、やっと途理先輩に語れそうな普通じゃない経験が出来ましたからね」

「ウチに語るんです?」

 眼を大きく見開いて驚く途理先輩。

 激しく瞬きをしたと思うと、今度は何やら目薬を取り出してさしはじめた。

 驚くはずだ、俺が語るなんて今までに無かったし。

「ややや、ちょ、えー。マジです?」

「いやコレが、マジなんで」

「マジですか」

 なんか延々と同じ言葉の繰り返しになりそうなので、語り始めてしまおう。


『事の始まりは割りと突然だったんですけど――』


「だーめー!」

「やっぱり?」

「ウチの個性壊さんといてーっ」


 [了]

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ