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ジブンガタラレと爆弾妹  作者: ありがち
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序章 自分語られ。

序章 自分語られ。


 差し込む夕日を背にして、少女は腰へ届く程に長いポニーテールを揺らした。

「――という訳で、鰐竜の虫歯はウチが直接治しにいきまして、一件落着です!」

「一件落着ですか。それじゃ、途理とり先輩、俺はそろそろ帰りますね」

 今日も途理先輩の話は長かった――思いながら椅子から立つ。

「いえいえ、帰るのは早いです。だってまだ後日談が残ってます?」

 懇願するような声。

「なら、後日談を聞いたら――」

「ややや、更に更に今の話以外にも、ウチの武勇伝はまだまだありますよ?」

 語り足りないといった様子で見つめられる。

 期待のこもった瞳に気圧されて、俺は思わず口ごもった。

「じゃっ、まずは後日談から聞いて下さいね。仁人じんとくん」

 どう返事をしたものかと迷っていると、どうやら無言を肯定と受け取ったのか、途理先輩は『まず』なんて言って嬉々として語り始めようとしていた。

 この様子だと、最後まで付き合わないと帰れそうにない。

 仕方なく椅子に座り直し。

「聞かせてください。最後まで」

「良かったー。仁人くんって話を聞くの上手だから嬉しいです。ふふっ。では――」

 軽い微笑みの後、話が再開した。

 途理先輩の話を聞くこと自体は嫌いじゃないし、帰るのが遅くなるくらいは許容範囲だ。

 こうして途理先輩の話が長引くのは、別に今日が初めてという訳ではない。

 今までに何度も繰り返されているお約束の問答でもあった。

「それでですね、なんとその竜を助けたお礼にネコ長老さんから――――」

 漫画やゲームかと思うような単語が次々に途理先輩の口から飛び出していく。

でもこれは、途理先輩自身の武勇伝であって実体験――自分語りに他ならない。

 途理先輩の場合、語ると一口にいっても言葉だけではない。

 大げさ過ぎるくらいに身振り手振りを使って、時に声色まで変えて語る姿はまるで演劇のようにも見える。

 一挙一動を見逃さないように、俺は途理先輩の自分語りに聞き入る。

 何の変哲もない、いつも通りの放課後だった。

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