アクセル
この小説を選んで頂き、ありがとうございます。
これは男の欲が引金となった悲劇の話…では、どうぞ。
男は22才になり念願だった免許証を取得し、車を買おうと思った。
男は、まだ新車を買う金が無かったので中古車販売店に足を運んだ。
「お客様、この車はいかがでしょうか。」
店員が示したのは、若者である男が考えていた値段の範囲内、しかも性能も決して悪くない旧型の小型車だった。
「お、これは良いぞ。色も俺の好きな黒だし…決めた、買います!」
「ありがとうございます!」
男は、中古車を手に入れた。それからというものの、男は出勤やドライブなどに利用し、車を頻繁に乗り続けていた。そんな、ある日の事…
男にとって嬉しいニュースが入ってきた。
まさか当たるはずがないと思いつつ葉書を投函したテレビの懸賞で、1等の新発売の“ハイブリッド・スポーツカー”を手に入れたのだ。男は狂喜乱舞した。
「まさか当たってしまうとは…、ホントにツイてるぞ!」
しかし、男にはある問題があった。あの中古車の事だ。すがに2台も所有する訳にはいかない。男は悩んだ…。
(今まで乗ってきて、もうボロが出てきたからな…。そうだ、誰かにあげれば…って言ってもあげる人なんていないし…。
そうだ、あの手を使えば…!)
男は中古車に乗り、2時間あまり走り続けガソリンを少しまでに失くした。そして、某県の山岳地帯の山中に車を棄てた。
そう…、男が苦渋の末に考え付いたのが不法投棄だった。男は罪意識も全く無く、棄てられた嬉しさで一杯だった…。男はそそくさとそこを後にした。
それから月日が経ち、男はあの中古車を棄てた山岳地帯の近くにある高速を、仕事の帰りで現地から都内に戻るために運転していた。
丁度、帰宅の時刻だったのだが今日の道はいやに空いていた。男はこれはラッキーだと思い、早く都内に着くために制限速度のフルで走っていた。
周りに車がいなく、早く都内に帰りたいので、男は“もっと飛ばしたい”という欲が出てきた。男は、周りを再度確認すると速度を徐々に上げていった…
爽快だ…。男がそう思ったその時、車の異変にふと気付いた。そして青ざめ、うろたえた…
何と、アクセルから足を離してもアクセルレバーが戻らないのだ。つまり、男が踏んでいなくても、自動にアクセルが踏まれ続けているような状態なのだ…
“オートマチック車では無いのでこんな事はある筈がない…。それに、この前の車検でも厳しいチェックをして貰ったけど…異常無しだったし…”
男の頭の中で錯綜とする考え。男は落ち着きを取り戻そうと、ゆっくりブレーキを踏んだ。しかし、ブレーキシステムが作動しない。それどころか、踏んで更に速度が上がっているようにもみえる…。男は混乱し、我を失いかけていた。
「どうしてアクセルが戻らないんだ…どうしよう…どうすれば良いんだ?!」
車の速度は100km/hを悠々に越えていた。今、無理矢理ドアを開けて外に出たとしても、地面にぶつかり全身強打で間違いなく即死だ。男は恐怖のあまり、ハンドルを握っていた…。その時男は、今自分が乗っている車があの棄てられた中古車に見えるという錯覚に襲われた…
「ひぃっ?!?!な、何で…棄てた車に俺は乗っているんだ?!イヤだ!降ろしてくれぇー!!!!!」
やがて、曲がりくねった急カーブが前方に見えた。男は錯覚に襲われたせいで、急カーブの存在に気付くのが遅く、直前まで気付く事が出来なかった。
「うわぁーーーーぶっ、ぶつかるーーー!!!!!」
男は急カーブを直前でやっと気付くと慌てて思いっきりハンドルを切ってしまった…
そのため、男の車は横転、ガードレールに衝突。出していたスピードが異常だったので、勢いついて車ごとガードレールの外に吹っ飛び、深い谷底へ落下した…
数日後、男の車は谷底から大きく破損し、原型を留めない程のガラクタ同然の状態で発見された…。しかし、車の近くにいる筈の男の姿は、いまだ発見されていない…
あなたは日頃から物を大切に扱ってますか?いつも粗末に扱っていると、あなたもきっと…
…罰が当たりますヨ?
この小説をお読み下さりありがとうございました。お暇がありましたら是非、この小説の評価や、ひき続き他の私の投稿した小説を、お読みになられましたら嬉しい限りです…




