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SCGの魔眼使い  作者: 西城優
第一章
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プロローグ

 一面真っ白な壁に覆われた廊下を歩き、一人の少年はとある部屋を目指していた。

 服は廊下の色とは相反する黒。髪も瞳の色も黒と、まるでカラスのような風貌をした少年だ。

 周りに人の姿はなく、彼が廊下を歩く足音だけが辺りに響く。

 

「休日にまで呼び出されるとは思ってもみなかったな」

「そうですね。おそらくは急な任務ではないかと」


 周囲に彼以外人の姿はない。しかし、彼の言葉に返答する女性の声が聞こえた。

 その声は彼が肩につけている携帯端末から聞こえてくる。彼が身につけているそれはインテリジェント・デバイスと呼ばれている物で、人工知能を有する携帯端末の事を意味する。

 

「やっぱりそうだよな。はあ、休日ぐらいゆっくりさせてもらいたい」

「仕方が無いですよご主人様。あなた様はSCG期待の新人なのですから」

 

 SCGというのはSkill(スキル)Control(コントロール)Group(グループ)、通称能力者統括組織の事だ。人間が時折発現させる能力、その暴走を防いだり、能力者の保護を主な活動にしている団体である。


「セーラ。それは流石に言い過ぎだ。SCGの奴らは新人の俺なんかに期待なんて寄せちゃいないさ」


 セーラと呼ばれたインテリジェント・デバイスは否定の声を上げる。


「いいえ。幹部の方々はあなたの仕事ぶりを驚いていました。SCGに所属する強力な能力者達もあなた様へ興味を示しています。もしかしたら、近々模擬戦を挑まれるかもしれません」

「……それこそ勘弁してほしいなあ」


 溜息をついてからしばらく進むと、一人と一機はとある部屋の前に到着する。

『準司令室』と書かれたプレートが自動ドアの隣に掛けられている。少年は黒服のポケットからカードキーを取り出し、カードスキャナーにカードを通した。

 カードスキャナーの小さな画面に『OK』という表示が現れ、自動ドアが横にスライドされる。

 中へと入り歩みを進めると、そこには広い部屋があった。

 あるものは事務に使う机と四人掛けのソファが二つ。その間に長いテーブルが一つ。床には茶色い絨毯が引かれている。窓は前面ガラス張りで、外の景色を一望出来る贅沢な作りになっていた。


「休日に呼び出して悪かったですね」

 

 その窓の傍に立ち、外の景色を眺めていた人物が振り向く。

 ほっそりとした体格に黒縁の眼鏡。銀色の長髪は後ろで束ねられていて、穏やかそうな表情によく合っていた。


「全くですよ。せめて仕事は平日に入れてもらえませんか? 来栖さん」

 

 少年に遠慮なく文句を言われ、来栖修二郎くるすしゅうじろうは苦笑する。


「すいません。なにせ総司令官の指示でして。新人、高天原鏡矢たかまがはらきょうやにレベルAの能力者を確保させよ、と」

「……レベルAって、新人の俺にですか?」


 能力者にはレベルが存在し、上から順にA~Eとランク付けされている。ランクAの能力者は、SCGに所属する有能な能力者が出動させられるレベルだ。


「ええ、仕事が終わり次第家に帰宅してもいいようです。拒否権はありませんのであしからず」 

 

 鏡矢の元に近づいて、来栖は手に持っているUSBメモリを鏡矢のインテリジェント・デバイスに差し込む。数秒後にはメモリを抜いた。


「ターゲットの能力者の情報、そして現在地。もろもろのデータを転送しておきました。気をつけて行ってきてください」

「…………」


 あまりにも無理やりで、準司令官の前で鏡矢は深く溜息をついた。

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