第23話 side神々②
side:神々
「もうすぐかしら~楽しみだわ~」
「早く早くぅ~!」
「カンパーイ!」
「はえーよ!」
神々たちは今回のために特設された会場で今か今かとスタンピードを待ち侘びていた。食べ物と飲み物を大量に用意してソファーなど用意し、要所を見れる複数の大型スクリーンの窓をいくつも設置しそれぞれが好きなところを見れるようにする小窓など用意し観戦する環境を整えていた。
「ねぇ~まだぁ~?」
「もうちょっとだってば!」
このエリアを担当する最高神のナイスバディな女神は今回スタンピードが起きるダンジョンを管理している好みのショタ神を後ろから抱きかかえ捕まえていた。ショタ神は好みのロリ巨乳メスガキ女神の横に座って罵られながら観戦したかったが最高神に捕まって不満そうだった。
「結構上の階層というかもう2階層まで来てるからあと30分くらいじゃないかなぁ」
嫌々ながらショタ神がダンジョンの様子を最高神に伝える。
「もうちょっとね~。あと30分くらいみたいよ~。コラー! そこフライングしないの!」
装置を通して会場全体に連絡しフライングした神を注意して今度は自分用の小窓を操作して人間たちの様子が写っている画面を出した。ショタ神は自分のダンジョンを小窓に映している。
「ダンジョン前の管理所が慌ただしいわね」
「あ~やっとダンジョンの中がおかしいことに気づいたんじゃない?」
「対応が遅いわね~でもその方が面白いのよね~」
「僕のおかげだね。カモフラージュに1~3階層は普通に魔物徘徊させておいたもん」
ショタ神は最高神と一緒に観戦することにした。そして自分の功績をアピールしている。
「いい仕事するわね~」
「でしょ? だから離してくれてもいいよ」
「ダメ♡」
「………チッ」
隙あらば脱出する気のショタ神だったが離す気がないことを察して脱出を諦めるのだった。
そして約30分後
「もうすぐだから僕の画面大スクリーンに映して!」
「はいはーい」
ショタ神の小窓の映像を大スクリーンに映す最高神。その画面はダンジョンの入り口を写していた。ダンジョンの入り口前には誰一人いなかった。人間たちはすでに避難していた。
「誰もいねーな」「どう逃げるかも見たかったのに」「少し前に避難してたぜ」「入り口付近もっと見ておけばよかった~」「うえ~。何でこんな時に最下層ボス倒してるのよ~」「いってらっしゃ~い」
それぞれが映し出された画面を見て反応している。
大スクリーンの画面が変わって数分後。その時は訪れた。20メートル四方の入り口から勢いよくリザード系の魔物が大量に出てきたのだ。
「「「「「「「「YEAAAAAAAAAAAH!!」」」」」」」」
「きたああああああ!」「奇蹟のカーニバル! 開幕だ!」「いけいけー!」「カンパァーイ!」
魔物が出てきた瞬間爆発的に盛り上がる神々。それほどスタンピードという娯楽を待ち侘びていたのだ。
「はいカンパーイ」
「カンパーイ!」
最高神とショタ神も乾杯しグラスの酒を飲んでいる。最高神は一気飲みだった。
「あー! お酒が美味しいわ! 人間がどう動くか楽しみねー」
「今の所はさっきと同じで慌ただしいだけかな~。画面は戻していいよ~ってもう飲んだの? どんどん飲んで!」
大スクリーンの映像は別視点からの先頭を行く魔物へと切り替わった。
最高神のグラスに強い酒をいっぱいに注ぐショタ神。脱出するために酔わせて潰してしまおうという作戦である。
「ありがとね~。人間たちはどう動くかしら? 話の内容聞いた感じ主力がダンジョン行ってるみたいなのよね」
「そうなの? じゃあ結構混乱してるんじゃない?」
最高神の見ている小窓を覗き込むショタ神。最高神はこのエリアの軍上層部を小窓に映していた。ちょうど魔物がダンジョンから出てきたことが報告されていた。
「良い感じに混乱してるねー。さーどうするかな~」
「混乱してるけど大体は予想つくのよね。部隊編成して送って戦えない人間避難させて~って感じでしょ?」
「まあそうだけど何使うかも気にならない? 僕のところ場所が場所だから人間たちの兵器は使わないでしょ」
「結構街の方だものね~兵器は使いづらいでしょ。このエリアのやつって小を切り捨てられない感が強いのよね」
二柱は司令部の方を覗きながら互いの予想を話し合っている。神々によって今回のスタンピードのどこに娯楽を求めるか好みが分かれている。魔物たちがどう暴れるかを見る神もいれば二柱のように司令部の動きを観戦する神もいる。変わり者は遠くの街の反応を見ていたりする。
ショタ神が最高神に食べ物をア~ンされながら大スクリーンに視線を移すと魔物がちょうど分かれ始めたところだった。
「お。良い感じに別れたよ」
「いいわよー。イケイケー!」
大スクリーンと小窓を交互に眺めながらそれぞれがスタンピード観戦を楽しんでいた。ショタ神は最高神を潰すためにどんどん酒を注いでいた。
しばらくして魔物が街を壊したり人間を襲っているシーンが映し出された。そして人間が魔物を止めるべく戦闘が始まると会場は盛り上がった。
「いいぞいいぞー!」「簡単にやられやがった!」「もうちょっと頑張れよ!」「魔物がー!」
各々盛り上がる神々。最高神とショタ神も戦闘シーンを楽しんでいた。現状はまだ人間側の戦力が整っていないため魔物が優勢である。戦闘が始まって少し時間が経ち司令部を覗き込む二柱。
「司令部のほうはどうなってる~?」
「動きが鈍いわ~。しかもとりあえずどんどん戦力を送れって感じよ」
「戦力の逐次投入は愚策だけど、今は少しでも戦力を送って抑えたいだろうね」
「対応する時間もなかったしどこに防衛線引くかじゃない? 魔物の侵攻方向が定まったからどこに防衛線作るか気になるわ」
「この辺りじゃない?」
最高神のグラスにどんどん酒を注ぎながら自分の小窓を上空からの画にして指でなぞる。最高神は一向に酒で潰れる様子がない。
「その辺りよね~ちょっと状況が変わりそうにない感じだししばらくは様子見ね」
「じゃー僕は人間たちの戦力準備してるほう順番に映すからそっちは司令部映しておいて。戦ってる最前線の魔物たちの様子は大型スクリーンで見よう」
「はいは~い」
◇
スタンピード開始から約2時間。人間たちの防衛線は押されていた。観戦する神々も少し落ち着いてきていた。今は人類がどう動くかに焦点となっている。
「大雑把に三箇所ね。ゴーレムは一箇所だけど防衛線まで出てきてから押されっぱなしね~」
「防衛線持ちそう?」
「破られそうね~どんどん後退していってるわ。司令部の方はどんな感じ?」
「地方からの戦力待ちって感じ。整ってから攻勢に出るんじゃないかな」
最高神とショタ神は変わらず2カ所を見ていた。最高神が酒に潰れる様子がまったくないためショタ神は脱出を完全に諦めた。一度トイレに行ったが一緒に連れていかれてしまい逃げられなかった。
「その戦力が来てからね~押し返せる戦力だといいけどね~」
「もうあと20分くらいで第一陣が来るみたいだよ」
「そこで動きそうね! そろそろ押し返してもらわないと見てる側もおもしr「最高神さまあああああああ!」キャアアアアアアアア!」
小窓を眺めながら予想していると上の席から一柱の神が落ちてきた。それでも最高神はショタ神を離さなかった。落ちてきた神はショタ神が狙っているロリ巨乳メスガキ女神だった。これ幸いとショタ神は巨乳に手を伸ばしたが届くことはなく指を折られてしまった。
「いたああああああああああああい!」
「も~なんなのよ~」
「最高神様! これ見てこれ!」
ロリ巨乳メスガキ女神は最高神に抱きつきながら自身の小窓を見せた。ショタ神は指を一瞬で直したが腹に膝を押し付けられて苦しそうだ。
「これのどこが………は?」
「そうなるよね! 私もそうなったもん!」
「ちょ……足退けて…苦し……」
ショタ神が苦しむ中、最高神は見せられた小窓を見て大きく目を見開き驚愕した。小窓には輸送ヘリの中が映されていたが、そこにはいてはいけない種族が写っていた。
「何この子!? 耳尖ってるじゃない! こんな種族はこの星にいないはずよ!」
「だから見せに来たの!」
「本物よね? 作り物じゃないわよね!?」
「お願いだから……退い……て」
上下に動きながら最高神と話すロリ巨乳メスガキ女神。ショタ神は相変わらず苦しそうだが知ったことではなかった。
「本物みたいなの!」
「………いったい何時からいたのよ。報告も何も来てないし……はいはーい! 皆注目!」
最高神が装置を通して会場全体に耳の尖った種族が写っている小窓を大スクリーンに映した。会場からは響めきが上がった。
「は?」「なにあれ?」「初めて見るな」「人間?」「耳は作り物だろ」
反応は様々だ。皆が確認し最高神が話を続ける。
「見ての通りこの星に居ない種族よ。誰か知ってたら今すぐ報告して頂戴。怒らないから!」
絶対に怒るという言葉を告げるが誰も声を上げなかった。唯一すぐそばでショタ神が「……退いて」と苦しそうに声を上げた。シ~ンと静まった会場を見て落ち着きを取り戻した最高神がロリ巨乳メスガキ女神を持ち上げてショタ神を助け出した。
「誰も知らなかったのね………とりあえず一旦様子見よ。皆観戦に戻ってちょうだい」
大スクリーンの画面が一度切り替わるがすぐに耳の尖った種族の画に切り替わった。
「う~ん………直接行くわけにもいかないし……ダンジョン踏破してくれればね~」
「そのうち来るんじゃない?」
復活したショタ神が最高神に話す。
「これ防衛線に向かってるよね? てことは戦力として見られてるってことでしょ。ならスタンピードが終わればそのうちダンジョン潜るだろうからその時に話聞けば良いよ」
「そう……なるかしらね。戦力として見てるのかしらね」
「現状僕たちが直接干渉するわけにはいかないから待つしかないよ。ここから出来るのは監視くらいだから待つだけだよ。詳しく調べたり話を聞くのはダンジョンでだよ」
「そうするしかないわね~。冴えてるわね!」
「フフーン!」
ショタ神の意見に素直に感謝する最高神。ショタ神はロリ巨乳メスガキ女神に良いところを見せれたと思っていたが興味がないようで最高神に抱きついたままだった。
「ご褒美にキスしてあげるわ!」
「いらなん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!」
神速で唇を奪う最高神。苦しむショタ神のことは全く気にしなかった。その間にロリ巨乳メスガキ女神は自分の席に戻っていった。
最高神が自分の欲望に走っている間に大スクリーンでは動きがあった。
「「「「おおおおーーーーー!!」」」」
「えっ!? 何!? どうしたの!?」
慌てて大スクリーンを見ると先ほどの件の少女が空を飛んでいた。ショタ神はグッタリしている。
「そういうスキルもあるけど……あそこから飛び降りたの?」
大事なところを見逃した最高神。仕方ないと切り替えて大スクリーンを見続けているとどんどん状況が変わっていく。魔物が全く相手になっていないのだ。一撃の元に魔物を光の粒子へと変えていく。神々は件の少女に夢中になり盛り上がっている。
「いやいやいや! 強すぎるでしょ!」
「まさかあんなに強いなんてね~」
復活したショタ神が答える。一緒に見ていると今度は少女が上空に飛び上がった。しばらくすると強力な広範囲魔法を撃っていた。
「見てて面白いんだけどさー………先々が心配になるわよね~………」
「あれ明らかにバランスクラッシャーでしょ? どうすんの?」
「ん~でも何もしないわ。私のダンジョンを攻略したら難易度調整入れるけどね~」
「あそこが最後の砦か~。ていうかこれミスリルゴーレムも簡単に倒されちゃうんだろうなぁ」
ショタ神の予想は当たっていた。案の定最下層ボスのミスリルゴーレムもあっけなく倒されてしまった。そして少女はダンジョンへと入っていった。
「ダンジョン入ったわよ! 調べて!」
「りょうか………間に合わなかった。すぐ出ちゃったから全部は読み取れなかった」
「それでもいいわ。教えてちょうだい」
ショタ神が小窓に読み取った情報を表示して最高神に見せる。
プリシラ・プリミエール
年齢:24歳
性別:女
種族:エルフ
ジョブ:聖魔拳王
レベル:495
「納得のレベルねぇ。エルフに聖魔拳王? どう考えてもこの星にいる種族じゃないわね。別の世界から来たとでも言うの?」
「でも読み取れるってことは同じシステムでしょ? 隠れていた種族とかって線は?」
「人型は全部調べてあるから隠れていたってのはないわね。だけど同じシステムかしら? こんなジョブはないはずだけど……」
最高神は考えを巡らせるが結論は出なかった。調べた内容を大スクリーンに映して装置を通して話をする。
「皆ー。この子がダンジョンの最下層ボス倒したら調べてちょうだい。あとどういった経緯で来たかも聞いておいてねー」
装置を通して神々に指示を出しておく。この場にいる全員が気にするであろうことを伝えておき先々に活かそうとする。いかんせん緩い指示だが何時もこうなので全員何も言わない。さらに後からもう一度正式に通達が来るため誰も文句はないのだ。
「あの子がどう影響していくかしらね~」
こうしてまた一つ、神々の娯楽が増えた。
これにて第1章終了です。
次回からは1日1話で21時程度に更新です。




