結婚退職したのはカレの方だった
今日は月曜日!
久しぶりの月曜真っ黒シリーズです! (^-^;
令和も8年目を数えると言うのに……私とカレがお勤めしている会社は未だに昭和の雰囲気が色濃く残っているブラック企業だ。
夜討ち朝駆けは勿論の事、ご奉仕の休日出勤やサービス残業は日常茶飯事!
経営が苦しい中小企業で……十分なインフラ整備が難しい事を言い訳にして勤怠管理は全くの手書き! ゆえに改ざんは自由自在!!
被用者にとっては優しくない環境である事、この上ない!
こんな会社に勤めているのだから……もちろん皆、会社への忠誠心などは無く、諦めから来る現状維持に甘んじるか、なんとか抜け出そうと足掻くのかの……いずれかとなる。
私の場合は……キャリアアップを目指してスクールにも通ったけれど……結局は然したる資格を取る事もできず、我が“身の程”を知ったのみ!
この“身の程”とは単なるワーキングスキルの意味合いだけではなく、『女としての魅力』についても言える事だ。
実際、仕事はろくにできないけど……『女の武器』で運よく“玉の輿”に乗ったコもいるのだから……
こんな状況で入社6年目を迎えた私は日々の業務こそ卒なくこなしはするが、管理者からは疎まれる立場となった。
どういう事かって?
いたって簡単な事!
ウチの“お局さま”がなぜ、会社で唯一生き残っている女子社員なのか……
それは彼女が、創業者一族である専務のお手が付いたかつての情婦で……“お盛んな”専務の尻拭いを都度、やっているからだ。
逆に言えば……このお局さまに目を付けられてしまったら……『巧妙かつ陰湿なイジメに耐えかねて辞める』か『お局様の“助言”に従って専務のオンナになる』かの二者択一を迫られる事となる。
先に、『玉の輿に乗ったコ』を運良くと言ったのは……彼女を見初めたのが、ウチの会社の上得意先の社長のご子息だったからだ。
そうでなければ彼女も“お局さまから二者択一”を迫られたのだろう……
では、私の様な凡庸な女子はどうなるのかと言うと……それとなく上司からの“肩たたき”が始まり、『結婚退職』を迫られる。
つまり、ウチの会社のオトコどもは下種ばかりで……『ピチピチの若いコ』がお好みと言う事だ!
どうせ、お茶出しくらいしか、してもらえないのにね。
さて、肩たたきをされた私たちはどうするのか??
マッチングアプリやお見合いに走るコは多い!
この手のコは……まだ自分の容姿に幾ばくかの自信があるのだろう。
でも、私の様な……『身の程を知ってしまった』女子は……もっと悲惨なループへと落ちて行く。
そう、世で言うところのセオリー!
『結婚相手の三人に一人は会社の同僚である』
と言う事だ。
この場合、ウチの会社では結婚後も夫婦ともに働き続けるのは実質不可なので……通常は妻の方が会社を辞める。
でも、それは……この“ブラック企業”を大手を振って?辞める事になるのだから……悪い話ではない。
夫が低所得者なのを除けばね。
だから私は……この“社内恋愛”の相手として……同僚の中で、最も向上心のある廣田さんを選んだ。
もちろん、ライバルは少なからず居たが、私はこれらを制し、今年のお正月、二人で行った初詣の帰りに初キッスも済ます事ができた。
そして迎えた2月14日のバレンタインデー!
私はアウターもインナーもガチな勝負服でまとめ、“甘いひととき”を分かち合うための逸品『有名チョコレート店と名門筆記具メーカーのコラボ、チョコレートの詰め合わせと名入れボールペンのセット』を用意し、ホテルのディナーも予約し、ドキドキしながら終業時間を待った。
ところが、外回りから帰って来た廣田さんは社長に呼ばれ、すいぶんと長い時間、戻って来なかった。
終業時間も過ぎ……サービス残業をしている女子が私だけになった頃……
カレはようやく戻って来た。上気した顔で……
「ずいぶん、長かったのね。ひょっとして何かトラブル?」
「いや、そうじゃない! ただ……」
「ただ?!」
「うん、オレ……転職する事になったよ!」
「ええ?!! それって!! トラブルじゃなくて??」
「うん、ウチの得意先でもある三友商事へ!」
「えええええ!!!!! 『三友』って!! 超一流企業じゃない!! 凄い! これって! 廣田くんが評価されたって事よね!! おめでとう!!」
私は用意してあったバレンタインのプレゼントを、ロゴの入った紙袋から取り出し、廣田くんに差し出した。
「これ、開けてみて!」
「今、ここで?!」
「うん! ぜひ!!」
カレが有名チョコレート店の包装紙を開けると、チョコレートの甘い香りがほのかに漂った。
「うわ!! チョコレートと……このケースのロゴってひょっとして!パ□カー??」
「そう! パーカ□のボールペン! あなたの名前入りよ! 新しい職場で使って!!」
「ありがとう!! こんな餞別を貰えるなんて……オレの転職の事、知ってて……サプライズしてくれたんだ! 他に誰がメンバーなの?」
「……どういう事?」
「だって、何人かでお金出し合って用意してくれたんだろ?!」
「えっ? えっ?」
「実は披露宴、会社の人を呼ぶかどうか迷ってたんだよね……なにせ、向こうは……『三友』の関係者ばっかだから……」
「それって??」
「あ、でも、キミは呼ぶね! 嫁さんの友人は三友に限らずエリート揃いだから、きっといい婚活になると思うよ」
「ええええ??!!」
そう!
結婚退職したのは……
カレの方だった。
おしまい
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