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1-4

街に活気が戻ったのを、私は噴水の縁に腰かけながら眺めていた。

水音が規則正しく響き、人々の声が混じる。

さっきまでの静けさが嘘のようだ。


「ねえ、ロイ」


「ん?」


「修正はできた。でも……もしこの街に、もっと大きな感情が渦巻いたら」


噴水の水面が揺れる。


「また、止まってしまうの?」


疑問だった。

もし答えが「YES」なら――

私が修正をする意味は、どこにあるのだろう。


ロイは、少しだけ間を置いてから言った。


「止まることはねえよ」


「……え?」


「お前はな、感情理解と余白認識だけを持ってるわけじゃねえ」


胸が、わずかにざわつく。


「どういうこと? 私は、その二つを授けられたんじゃないの?」


「俺も、最初はそう思ってた」


ロイは、視線を街へ向けたまま続ける。


「でもよ。どうやら――」


一拍。


「お前には、修正そのものの力があるみてえだ」


水音が、やけに大きく聞こえた。


「……修正、の力?」


「自覚はねえだろうけどな」


ロイは、にやっと笑う。


「世界を未完成のままにしない力だ」


胸の奥が、少しだけ熱くなる。


《※スキル情報の更新》


《※リトライ・ワールド

未完成領域に対し、感情と余白を基点に修正を行う》


「……りとらい・わーるど?」


思わず読み上げると、ロイが一瞬だけ目を細めた。


「あー……先、そっちか」


「そっちって何!? 今すごい気になる言い方したよね!?」


「気にすんな」


気にするに決まってる。


「それだけだとなぁ……」


ロイはそう呟くと、何かを決意したみたいに手を挙げた。


空気が、ぴんと張る。


――来る。


そう思った瞬間。


ロイは、何も起こさずに手を下ろした。


「……やっぱ、やめた」


「え、なに!? 今の間なに!?」


「説明すると、お前が余計なもん拾う」


「余計なもん?」


「今は、知らなくていい感情だ」


その言い方が、やけに重かった。


「……私、もう感情理解持ってるんだけど」


「それとは別だ」


即答。


「“集める”のと、“理解する”のは違う」


胸の奥が、ひくりと動いた。


《※スキル情報は確定していません》


小さく、補足みたいな文字が浮かぶ。


「確定してないって……」


「世界側も、様子見してる」


ロイは噴水の水面を見る。


「お前が、何を守って、何を切り捨てるか」


「……切り捨てる前提なんだ」


「全部は無理だ」


ロイは、いつになく真剣だった。


「だから、その力は――」


一瞬、言いかけて止める。


「……いや。今はいい」


また、だ。


「ねえロイ」


「ん?」


「それ、いつかは使うの?」


ロイは、少しだけ笑った。


「お前が“誰かの感情を抱えすぎたとき”にな」


《※感情密度 微増》


表示が一瞬だけ揺れる。


私は、噴水の縁から立ち上がった。


(……もう拾ってる気がするんだけど)


そう思ったけど、口には出さなかった。


「さー次行くか。先は長いしな」


そういってロイも立ち上がった。


まだ知らなくていい。

でも、確実に来る。


そんな予感だけが、胸に残った。

第四話は修正!というわけではなく、新しいスキルが解放されましたね。第五話で新たな修正ポイントを発見するのでしょうか。

第五話は12月29日、午後9時ごろに投稿予定です。お楽しみに!


(わかりにくかったと思うのでここで追加の説明をさせていただきます!ロイが言った修正そのものの力というのの名前がリトライ・ワールドとなります。説明不足ですみません)

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