表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

プロローグ

家庭環境も普通。

普通の学校に通い、友好関係も良好。


「行ってきます!お母さん!」


キッチンにいるお母さんに声をかけ、外へ飛び出した。


「いってらっしゃーい。気をつけてねー」


その声に「はーい」と返しながら、靴を履いてドアを閉める。

ガチャリ、といつもと同じ音。


朝の空は少し高くて、雲がゆっくり流れていた。

季節は、たしか春。

コートはいらないけど、風はまだ少し冷たい。


駅までの道は、何百回も歩いた通学路。

電柱の位置も、コンビニの看板も、全部覚えている。


「今日も何も起こらない一日、っと」


そう呟いて、スマホをポケットに突っ込む。

今日は小テストが一つ。

放課後は友達と少し寄り道する予定。


特別な夢も、特別な悩みもない。

将来のことだって、「まあ、そのうち考えればいいや」くらい。


――平凡。

それが、私の人生だった。


横断歩道の前で立ち止まり、赤信号を見上げる。

隣には、同じ制服の子たち。

知らない顔なのに、同じ朝を生きている感じがした。


ふと、胸の奥がざわっとした。


「……?」


理由は分からない。

ただ、何かを忘れているような。

どこかで、見落としているような。


「考えすぎかな」


首を振った、その瞬間。


キィィィィッ―――!!


金属が擦れる音。

空気を切り裂くようなブレーキ音。


反射的に振り向く。


視界いっぱいに迫る、白い光。


「え……?」


誰かの悲鳴が聞こえた。

それが自分の声なのか、他人の声なのかも分からない。


衝撃。


浮いた感覚。


次の瞬間、体の感覚がすっと遠のいていった。


――あ、死ぬ。


なぜか、そう思った。


怖さよりも先に、浮かんだのは。


「……私の人生、普通すぎじゃない?」よう


その考えが、少しだけ可笑しくて。

でも、どこか寂しかった。


音が消える。

光が消える。

世界が、真っ白になる。


短い人生に幕を下ろしたようです。



「んっ」


まぶしい光が目に入る。

ここは、死後の世界…?


「にしては、ふつう過ぎない?」


《※ここは死後の世界ではありません》


……え?


《※あなたは選ばれ者。ようこそ、ここは異世界です》


え、ええ!!!


一ノ瀬希空、16歳。

異世界に転生してしまったようです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ