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ヘボ戦記  作者: 蘭鍾馗


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9/13

09.VS.オオスズメバチ

 無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理

 駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目


 こいつだけは無理だし駄目。

 いくら「天敵殺し」とか言って煽てられても、私はこいつの姿見ただけで足が竦む。体が動かない。

 大きな体。私達と変わらない飛行能力。しかも、こいつらは数を頼んでやって来る。

 どうやったら敵うって言うの?


 まさか、オオスズメバチが来るなんて。


 ◇


 ここは、人間の子供達が通う「ガッコウ」が近い。あと、私達のようなクロスズメバチの巣箱を置いている家も結構ある。だから、5月になってオオスズメバチの女王が飛び始めるようになったら、人間達はこれを捕まえて駆除する。だから、この辺りにはオオスズメバチの巣は無いはずだった。


 でも、今日、何処からかやって来たのだ。

 今までの敵と違うのは、こいつらは仲間を呼んでくること。狙いは、勿論巣の中にいる幼虫達だ。


 ◇


 私はその日、内勤だった。


 入り口の辺りの掃除をしていたら、低い大きな音の羽音が聞こえる。こんな音を立てて飛ぶやつはオオスズメバチしかいない。

 そいつは暫く巣箱の周りを飛んだ後、一度飛び去る。でも安心しちゃいけない。こいつは仲間を連れてまた戻って来るからだ。


 巣内に緊張が走る。


 来た。


 重低音の羽音が近づいて来た。

「みんな逃げな。」

 女王が言う。でも誰も動かない。恐怖で体が動かないのだ。それでも、内勤の働き蜂達は、本能で女王と幼虫を守ろうとする。


 ◇


 オオスズメバチが入り口に止まった。巣箱の入り口は上下に狭く作ってあるから、体の大きなオオスズメバチは入れない。

 奴らは、巣箱の入り口を齧り始めた。ベニヤ板で作られた巣箱は簡単には壊せないが、数を頼んで入り口を齧り続けられたら、そんなに長くは持たない。齧り続けてオオスズメバチが入れる所が一箇所でも出来たら、そこで終わりだ、


 あの大顎で首を切られる。

 みんな、覚悟した。


 ◇


 白い防護服を着た人間が何人も走って来た。手には火のついた煙幕が握られている。

 辺りはすぐに煙で真っ白になった。オオスズメバチ達は煙で気絶して地面に落ちる。落ちたオオスズメバチは踏み殺され、壁に止まった奴はハエ叩きで叩き落とされた。勿論私達も道連れで気絶するのだが、人間達はオオスズメバチだけを殺して行く。


 気がついたら、オオスズメバチは居なくなっていた。人間は、生け捕りにしたオオスズメバチの一匹に白い紙を結びつけて、放した。


 ◇


 数日後、人間達は、オオスズメバチの匂いのする大きな袋を下げて戻って来た。

 そして翌朝、家の中からはオオスズメバチの匂いのする湯気が漂って来た。


 食べられたんだ、あいつら。人間に。

 人間すごい。ありがとう。


 ◇


 でも私はまだ知らなかったんだ。明日は我が身だっていうことを。


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