005 洞窟
忙しくて何も出来なかった
申し訳ない
「たいりょう、たいりょう!」
「えらくご機嫌だな?」
「うん!わたしねりんごが大好きなんだ!しかもこのりんご食べたことないくらい美味しいし!」
などと雑談をしながら両手いっぱいに持てるだけリンゴを持った俺たちは、拠点となりそうな場所を探して森をさまよっていた。
採れたリンゴの量は2人合わせて11個。今日明日くらいの食料の心配はないだろう。
「それにしてもなんでリンゴは消えなかったんだろうな?」
「木の実は大丈夫とか?」
「どうだろ。そういえばそこら辺の草はどうなんだ?」
そう言って周りを見回してみる。所々に背丈ほどの草が生えている。わざわざ見通しの悪いところに向かう意味もなかったので切ったりしていなかったが、あの草も足に絡まった草のように消えるのだろうか。
「試しに切ってみるね。風よ!」
既に何度もお世話になった風の刃が背丈ほどある草、その根元に向かい飛んでいき数本まとめて切断する。
切断された草は支えをなくしバサリバサリと倒れていき、数秒ほど経つと例外なく消滅した。
しかし地面に残った根元部分は消滅することなく残っている。
「切られた部分は消えたけど根元部分は残ったな」
「これもりんごとは違うね。何か法則とかあるのかな」
「早いうちに法則が分からないとなぁ。リンゴもさっきの1本以外見てないし」
「だね。そういえばさっきのゴブリンだっけ?あれ以外の生き物は全然見ないね」
「言われてみればそうだな。けもの道みたいなのもないし。ただ、鳥の鳴き声は聞こえるからどこかにはいるかもな」
そんな感じで会話していると、森の奥に三、四メートル程の岩肌が見えてきた。
「行き止まりだね。どうする?引き返す?」
「いや、壁に沿うように進んでみよう。いい感じの洞窟があるかもだし」
という訳で壁を沿うように歩くこと十数分。岩肌のの壁に大きめの、だいたい横2メートルくらいの空洞を発見した。
中はパッと見広がっていそうだが暗くてあまり見えない。
「紅愛さん、中を照らすことって出来そう?」
「うん。風みたいに飛ばしてみるね。火よ!」
ポッと紅愛の周りに火の玉が出現し、洞窟の中へとゆっくり飛んでいく。飛んでいった火の玉は暗闇を照らし中を明らかにする。
照らされた空間はだいたい教室1つ分くらいだろう。しばらくすると奥の壁に火の玉が衝突し再び洞窟が闇に包まれる。
「とりあえずここにするか」
「おっけー。地面デコボコだけど平らにしちゃってもいい?」
「できるのか?」
「多分ね、土よ!」
紅愛が土の魔法を使うとポコポコと周りに土が現れ、地面に当たると広がり地面を平にしていく。
「魔力的にはいけそうか?」
「いけると思うよ。ただ結構集中力いりそうだから休憩しながらかな」
「分かった、任せる。俺は草を集めてくるよ。根ごとだったら回収できると思うし」
「おっけー。じゃあ拠点作り頑張ってこー!」
という訳で周りの草を集めていこう。至る所に背丈ほどの草が生えているのでそこまで離れなくても大丈夫だろう。
試しに引き抜いてみると思いのほか簡単に抜くことが出来た。根があまり太くないからか、それとも地面が柔らかいからか。とにかく集めるのに苦労しなさそうだ。
草を引き抜くこと十数分。だいたい二抱えほどの草が集まった。
これを洞窟に運ぶ・・・前に、少しだけ検証してみよう。
試しに引きちぎってみる。引き抜く時に感じていたが、結構頑丈だ。粘ること数十秒、折って回してを繰り返し何とかちぎることに成功した。
そして数秒後、やはりちぎった草は光に変わり消えていった。光は断面から出現しまるで漏れ出ているようだ。
って、これは・・・魔力か?
明日は執筆dayとして沢山書く予定