001 プロローグ
完結までちゃんと書きます。
対戦よろしくお願いします。
『─────────────────』
ここはどこだろうか。俺、六条祐樹は気がつくと見知らぬ空間にいた。辺り1面に広がる雲とほんのり光る地面が天国を想像させる。もしかしたら本当に天国なのかもしれない。
『────────────────────』
覚えている最後の記憶は確か・・・高校の初めての授業である体育を受けるために体育館に行き、授業の始まりを待っていて・・・これ以降の記憶が無いな。
『─────────────────────────────』
もしここが天国なら俺は死んでしまったのだろう。しかし、もし死んだのだろしたら何が起こったのだろうか。あまり堅実感がないせいか妙に落ち着いてる。
『────────────────────────────────────────────』
と言うかさっきから耳鳴りのようなものが不規則に聞こえる。ただ、耳鳴りのようにキーンとなっている訳ではなく言葉のように強弱が別れており耳鳴りが一定ではない。聞き取りずらいだけで誰かが話しているのだろうか。
「おーい、誰かいますかー」
『────────────────────────────────────────』
ダメだ、全く聞き取れない。もう一度辺りを見回してみるが、やはり一面雲のようなものが広がっていて地平線まで人どころか物一つさえ何もない。
「すみませーん!誰かいませんかー!」
『────────────────────────』
もう一度、今度は大声で言ってみるがやはり返事はない。
「あのー!誰もいn────────眩しっ」
もう一度声を上げようとしたところで目の前が光に包まれた。
光が開け目の前に現れたのは木だった。辺り1面を見まわして見るが、目に映るのは木に背丈ほどある草。どうやら俺が今いるのは森のようだ。
いやいや、森のようだ。じゃないんだよ。どういうことだ。体育館にいたのに気づいたら天国のような空間にいて、かと思えば今度は森。訳が分からない。
───数分後───
ふぅ。かなり取り乱したが、どうにか落ち着くことが出来た。これってあれだよな、異世界転生。いや死んだ記憶はないし異世界転移か。まぁ、そんなことはどうでもいい。だが、もしここが異世界ならあの言葉を言うべきだろう。
「ステータス」
数秒待ってみたが何も起こらない。
「あれ?ステータスオープン。アビリティ・・・」
「ステータスとかは見れない感じなのか。魔法はどうだ?火・・・は森だから危ないしとりあえず水を試してみよう」
「無詠唱でだめなら、水よ出てよ。ウォーター・・・」
思いつく言葉を言ってみたり、人差し指を立てて振ったりと思いつく限りの行動をしてみるが何も起こらない。他にも土、風・・・果てにはやめておいた火も何も起こることはなく、森の中でただ中二病を患った青年がそこにはいた。・・・いや、中二病ではないのだけど。
「うーん、ファンタジー的な世界ではないのか。それとも別の要因が————————誰かいるのか?」
独り言を続けていると木々の奥、背丈ほどある茂みから風の揺れとは違う生き物が掻き分けるようなガサガサと音が聞こえてきた。俺の問いかけに答えることなく音の正体はどんどん近づいてくる。
音の正体を確かめに近づく・・・なんてことはせず、何があっても逃げられるように体制を整えつつ音の正体を警戒する。
十秒くらいがたち、音の正体は茂みの揺れがわかるほどの距離まできたようだ。また待つこと数秒、遂に茂みから音の正体が飛び出しそれと同時に現在俺がいるのはやはり地球でないと理解する。
茂みから現れたのは二足歩行で背丈は俺の胸ほど、片手には棍棒と思われる木の棒を持っていて腰にボロ布を巻き付けた全身緑色の存在だった。そう、ファンタジーの代名詞とも言えるゴブリンだ。
記念すべき第一村人?なのだが、こいつは味方・・・なわけないよな?いやいや、確かめてみないと分からないか。もしかしたら友好的かもしれないし。
「あー、えーっと初めまして。気がついたらここにいたんですけど、ここってど──────」
「グギャ?グギャキャギャ!」
「ッ!」
問いかけ虚しく言葉は通じず、ゴブリンは襲いかかってきた。警戒してたからか振りかざされた棍棒を何とか回避することに成功した俺は、茂み・・・は視界が悪いし奥がどうなっているか分からないので木々の間を抜けるようにゴブリンから逃走する。
追ってくるな、と願いつつ後ろを確認してみるが勿論ゴブリンは追ってきている。しかし体格の差があるからだろうか、僅かにだが距離が空いてきている。このまま行けばどうにか撒けるかもしれない。
「ッ!?・・・クソッ」
と、少し余裕ができて気が抜けてしまったのかもしれない。ゴブリンと十メートル程の距離ができた時足元に生えていた草に足首を絡めて転んでしまった。
急いで草を取ろうとするがまるで掴まれているかのように草が足首から離れない。ピッタリと張り付いてしまっていて外すことは出来なさそうだ。それならばと、草を千切ろうとするがなかなかにしぶとい。
「こんのァ!千切れろァァッ」
「グギャ!」
どうにか草を千切ることには成功したが、かなり力を込めていた反動で体が仰け反り体勢を崩す。ちらりとゴブリンを確認してみるとその距離はおよそ一メートルで既に棍棒を振り上げ攻撃態勢に入っていた。
───あぁ、これは回避出来ない。
と。来る一撃を覚悟するのと同時に手と足が光を発し、脳が情報で埋め尽くされた。
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