詩「冬の夜」
冬の
この身に染みる寒さは
こどもの頃の
祭りの終わりを思い出させる
小遣いを握りしめ
なにを買おうか悩んで
クラスの気になる異性とすれ違い
お神楽を眠たい目で見ていた
あのころ
電球が一つ一つ灯って
気がつくと
一つ一つ消えていった
大人になって
思い出は消えていくばかり
それでもたまに覚えている
くすぐったいような感覚
窓の外で
雪がちらつく
少しだけ開けてみる
半袖を通して蘇る
当時の風が帰ってきたのか
祭りばやしの中にある静寂
冷たい中にある温もり
窓を閉める
夕暮れの町に一つ一つ
灯っていく光
一つ一つに夜
風呂にでも入ろうか
湯気が顔の前で霧散する
夜がぬくもっていく
両手を思い切り広げてから
思い切り握りしめる
それを何度も繰り返す
何度も何度も繰り返す