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ブレイクタイム:登戸君の思い(1)

『イケイケメンメン・イケメンコンテスト』で初めて城と出会ったときの登戸君の気持ちストーリーです。


僕がこの業界・芸能の道に進むきっかけになったあの日。

「イケイケメンメン・イケメンコンテスト」当日、控え室に入って座っていた。

みんな、なんか身長が高くて、カッコよくて、僕が居ちゃいけないような気がしてものすごく淋しかったし恐かった。


そんなとき、控え室入り口から一組の男女が入ってきた。

女の方は、とびきりかわいくって彼のことを心配しているのか不安な顔で彼の側にピトッと寄り添っていた。

男の方は、すごくステキで、少し色黒……一目ぼれだった。


その時、日野くんとか言う少しすっとぼけた顔(僕にはそう見える)の出場者が知り合いみたいで、彼のところにすっ飛んで行ったんだ。

ものすごくうらやましかった。

彼のことを『ジョウくん』と呼び、彼女のことを『ひじりちゃん』と呼んでいた。


「ジョウ…くん」

僕は控え室にいる間、ジョウくんをずっと目で追っていた。

僕が特技披露を終えて控え室に戻り、ジョウくんに声を掛けようとしたけど、

今度はジョウくんの特技披露の番が来て、スタッフの人に呼ばれて部屋を出て行った。

僕は部屋のモニターを見ながら、ジョウくんの番が来るのを待っていた。

ステージの真ん中に立ったジョウくんは、いきなり服を脱いだんだ。

りっぱな体だった。

僕はもう釘付けで、どうしてもジョウくんとお友達になりたくて日野くんに近づいた。


「日野…くん?」

「なんだね、登戸くんとやら」

なんだかおっさんくさい喋り方だ。

「日野くんは、大岡君と友達なの?」

「はぁ?友達?…んなわけがない!!ライバルだよ!ライバル!」

「ライバル?コンテストの?」

「それもあるが、聖ちゃんを賭けての好敵手だ!まっ、今は聖ちゃんと城くんは恋人

 同士だが、今日の午後からは僕が聖ちゃんの彼氏になる予定だぁぁぁはははははっ」

ものすごい高笑いを控え室で響かせてみんなの注目を浴びてしまった。


やっぱり二人は恋人同士なんだ…でも、日野くんがいうには午後からひじりさんは

日野くんの彼氏になる…よくわかんないけど、城くんはフリーになるんだ。

「日野くん!がんばってね!がんばってひじりさんと言う人と恋人になってね!

 応援しているから~」

僕はそう言い、日野くんを影から応援することにした。


なんだかルンルンとしてきた。

城くんが控え室に戻ってくると、他の出場者の人たちが(たぶん、僕と同じ仲間と思われる)城くんに駆け寄って、体をペタペタ触り始めた。

僕も思い切って城くんに駆け寄り、話しかけた。


「君はもちろん、攻めだよね。ステキな体だよね」

城くんの顔は「?」になっていたが、そんなことはお構いなく、他のメンズに負けないように城くんの隣をキープして上腕二等筋や胸筋を触りまくった。


上位10名の名前が呼ばれ、ビックリしたけど僕もその中に残り、やっぱりというか僕の予想通り城くんも選ばれた。

舞台袖で勇気を振り絞って、城くんに話しかけた。

そしたら城くんに…「かわいい」と言われ、僕は舞い上がってしまい思わず口をついて

言ってしまった…「好き」と言う言葉を。

だけど、それは小さい声だったのか、城くんは気がついてくれなかった…

自分の勇気のなさに少し気落ちした。


もう一つショックだったのは、インタビューで城くんが「強い女性が好き」と言った

ことだ。

これはすぐに解決した問題だったから、よかったけど、その時は頭の上に

「10tくらいの鉛」が落ちた気分だった。

僕は弱弱で、しかも男だ…。少し涙汲んでしまった。


控え室に一度戻り、城くんに聞いた。

「強い女性が好きなの?」と。

そしたら、僕が考えもしなかった答えを城くんの口から聞いた。

「タイプの女性って考えた事なかったし、別に女の子だけが対象じゃないし」

……女の子だけが対象でない…

僕はもう完全に城くんにハマってしまった。



コンテスト優勝発表が始まり、僕は自信なんてなかったし、とりあえず日野くんにがんばってもらいたかった。

だけど、僕がグランプリを貰ってしまった。

城くんが近づいてきて「おめでとう」と言ってくれたことにまた舞い上がり、抱きついた。

城くんの体は僕がすっぽり納まってしまうくらい大きくて暖かかい。

ずっとそのまま城くんに抱きついていたかったけど、そう言うわけにも行かず、僕はしぶしぶ舞台中央に向かった。


その後、僕はまた抱きつけるチャンスを神様から頂いた。

城くんが審査員特別賞を貰った。

おもわず、僕は思い切り抱きついた。

しあわせだった!


コンテストが終わって、スタッフの人に呼ばれた。

今後のことについて説明があるといわれ、僕は城くんとお別れしなければならない。

携帯番号を交換して欲しいと言ったら、笑顔で応じてくれてその上、「ノンケじゃない」

とまで言ってくれた。

僕にもチャンスはあると確信し、名残惜しかったけど、ひとまずバイバイをした。


この日の僕は、16年の人生の中で一番「思い切って!」の行動をたくさんした日だった。

すべて愛する大岡城くんのために!!



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