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第十八話 文化祭・城と日野

雅と日野の様子を伺いながら、加減のいいところで俺達四人は二人のところに

行った。

雅は、涙顔だったが嬉しそうに笑っている。

聖を見ると、「まっ、しょうがないか」みたいな顔で雅を見て微笑んでいた。


「あっ…!」

日野が自分の腕時計を見た。

「大変だ、城くん!出陣の時間だ!」

「へっ?」

なにが?


「もうすぐ3時になる!」

「ぁあ?!……い、いや、俺出ないって言っただろ!」

「まぁまぁ、そう言わずに!!早く行こう!」

健児がみんなに「炭酸飲料500ml早飲みゲップ大会」の説明をしている中、

俺は日野に無理矢理腕を引っ張られ、オープンステージに連れて行かれた。


日野は楽しそうに俺と自分の名前を告げ、番号札を貰い俺の左胸に付けてくれた。

……本当に、参加するの?やだよぉぉぉぉぉ、俺。



参加者は37人。

1回戦で上位10人に絞られ、2回戦で優勝が決まる。


「見物客も結構な数だぞ。…こんな中、ゲップすんのかよ…

 見てるヤツらもいやじゃないのかよ、37人のゲップ聞いてどうーすんだよ」

俺はブツクサ日野に向かって言ったが、返事がない。

「日野?」

「話かけるな…大切なゲップが今出たら困る」

「はぁぁ?…………そんなもん貯めんなよ…」


日野、おまえ…何か間違ってる。絶対、人生間違った方向へ行こうとしているぞ!

言ってあげたいが、「精神統一中」と一点を見つめる真剣な顔なので言えない。


日野が18番目で俺は19番目。

参加者は当たり前だが、男ばかりだ。

みんなお笑いサークルや芸人になりたいとか、そう言う面白系の人ばかりの中、

中盤で出場したイケメンの日野と俺は、女子たちの熱い拍手と声援を受けた。

日野の結果は、中々いい線をいっていたが今のところ5位だ。

会場のベンチに座っている雅は大受けで、日野の名前を叫んでいる。


俺の番が来た…

ものすごく恥ずかしい…

人前でゲップだよ?ありえねーよ…

それも、ついうっかり~とかじゃなくて、故意的にだよ?


聖は「優勝しろよ!」みたいな顔をし、麻衣子はメチャクチャ楽しそうに手を

振っている。


―――スタート!


と、合図が出て飲み始めたが、結構キツイ。

一気になんて飲めなくて数回にわけ、腹をガボガボにしながらも、とりあえず飲み干し、すぐにマイクの前でメチャクチャ気弱なゲップを披露した。


結果は…15位だ…予選落ち。

少しホッとした、次に進まないで済む!


参加賞の炭酸飲料一本を貰い、聖たちのところへ行き、参加賞を聖に渡した。

「ほらっ、参加賞。あーーまだ胃の中チャポンチャポン~」

「がんばりが足りないんじゃない?」

「おまえが懸かってないからいいじゃん」

「えっ……」

俺の言葉に聖が、照れたのがわかった。



日野は5位のまま2回戦に出ることになった。

10人一人一人にインタビューが始まったが、日野は無口のまま微笑みだけを返している。

それがまた女子にはクールに映っているのか、黄色い声援を受けていた。


―――喋りたくないんだよなぁ、きっと。大切なゲップが出たら大変だもんな。

俺だけが知っている無口な日野の理由…


雅は「日野くーーーん!ガンバ!!」と一生懸命応援していて、なんだかその姿がものすごくかわいくて、俺はうれしくなった。



日野は雅の声援通り頑張ったが、2位だった。

2位の賞品・胃薬と参加賞・飲料水一本を持って戻ってきた。


「雅ちゃんにカッコイイところ見せたかったのになぁ…」

日野がポツリと俺に言った。


「ゲップでかぁ?」

―――日野!やっぱり、おまえは間違っている…

    そして雅!おまえはこいつで本当にいいのか!!


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