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第一話  大学生になりました

俺は花の大学一年生になり経済学部に在籍し、聖は服飾の専門学校に通っている。

聖の学校は8対2で女子が多く、入学式初日から女子のファンができたらしい。

そのことを嬉しそうに話す聖に少しムッとした。


そして、3月の終わりに帰国した聖の妹が龍星高校に通っている。

香港の中学を卒業した聖の妹・雅は、中学入学の時から高校生活は日本でと、

決めていたらしく、聖と一緒に住むことになった。


もう一人、龍星高校に編入した子がいる。

「イケイケメンメンコンテスト」で優勝した「登戸祐二」くん。

登戸くんからメールが来て、所属する芸能プロダクションが決まり、

芸能活動をしながら学校に通うため、秋田から上京すると。

なぜ、龍星高校なのかというと、登戸くんの事務所の寮が龍星高校の近くらしく

編入が決まったようだ。

俺の通っていた高校で、俺の家も近いということをメールすると、

「城くんは卒業していなくて淋しいけど、城くんの後輩になれたことはとてもうれしい

 です(ハート)家も近所みたいなのも、超超超~うれしいぃ(ハート×10個)」

と、なぜかハートマークいっぱいの返信が来た。

俺も若者だが、最近の若い男子はハートマークを使うのが流行っているのかと思っていた。


健児と日野は俺と同じ大学の法学部。

石田は国立の法学部に行った。

恩師のサエドンは1学年の担任になり、生徒の中に雅がいた。




***************


大学生活が始まってまだあまり慣れない4月の半ば、健児と学食で待ち合わせをして

昼メシを食べていると、向かいに座っている健児の視線が俺の頭の上に向き顔を歪めた。


「どうした?健児…」

俺が振り向くと後ろには日野が俺を見下ろし立っていた。

「……なんか、用?」

そう言う俺の顔に一枚の紙を押し付けた。

「今度はコレだぁぁぁぁ!!!」

「……だから…見えないって…」


2月に戦った「イケイケメンメンコンテスト」で聖を賭けて戦い、俺は審査員特別賞を

貰い、勝負は俺の勝ちだと思っていた。

が、日野は「特別賞は優勝ではないので勝負はチャラにする」と言い、

また新しい挑戦状を叩きつけて来た。

ちなみに日野はまだ聖を女だと思い込んでいる。


「もういい加減にしてくれよ。こんな挑戦状貰っても、聖はおまえには渡さないよ?」

「いいから、次はコレだよ!城君!!」

また顔に紙を押し付けられた。

「だから…見えねーってば!!」


紙を奪い取り、見た。

「…?パ?パツチ?パツチワーク作品募集??なんだよ、これ」

「パツチワークではない、パッチワークだ!パッチだ、パッチ!!」

つば飛ばすなよ、汚ねーな、ったく!

で、パッチワークってなんだ?!


俺の顔が「?」になっているのがわかったのか、日野は横に座り、説明をし始めた。

布と布をつなぎ合わせてクッションとかベッドカバーとかを作って提出するコンテスト

らしい。大賞は賞金30万円。


「あのさ、俺、針と糸持ったことないんだけど…っていうか!

 なんでこんなのに俺が参加しやきゃなんねーんだよ!!ええ!」

俺が怒鳴っているにも関わらず、日野は真面目な顔で答えた。

「今さぁ、僕が参加できるコンテストがこれしか見当たらなかったんだよ、

 イケメンコンテストもまだ先だし…しょうがないだろ?」

「なんで俺がおまえの特技に合わせてコンテストにでなきゃなんねーんだよ」

日野が裁縫が得意なことにも驚いたが、俺はその紙をビリビリに破いて

日野の手のひらに乗せた。


「なんだよ…城君。つれないなぁ」

淋しそうな顔をした日野はパックに入ったジュースをズズーと飲み俺を見た。

少しかわいそうになったが、心を鬼にして無視し食事を続けた。


「あ~、日野くぅ~ん」

日野と同じサークルの女の子たちが、パフュームを放ちながら近づいてきた。

は、鼻がもげそうな匂い…

健児は「ええ匂いだなぁ~~」みたいな顔でデレッと女の子たちを見ていた。


「あら?日野くんのお友達なの?」

リーダー格と思われる目の回りをクルリと一周黒く塗り、ぱっちりお目目の女が健児と

俺を見て言った。


「オレ、健児です!法学部!日野と一緒」

女に慣れている健児は自ら自己紹介をした。

女子に慣れていない俺は、無言だ。


「こいつ、城って言うんだ。経済学勉強中!よろしく!」

俺の代わりに健児が言ってくれた。

「そうなの?二人ともいい男じゃない、私はマーガレット!文学部なのよろしくね?」


へ?マ、マーガレット…?

彼女の本名は「田中花子」と言い、花子と言う名が嫌らしく、みんなにはマーガレット

と呼ばしているらしい。


なんでマーガレットにしたんだろう。

マーガレットといえば、可憐で清純なイメージの花。

まったくもって一欠けらもそんな要素をもっていない…この女子。


結局、マーガレットたち数人の女子もそこに居座り、ベラベラとおしゃべりをし出した。

健児はウホウホ顔で対処したが、俺は無視しつづけた。


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