第十二話 聖…そして麻衣子
この話には5%ほどの性描写があります。
嫌悪感を懐かれる方はお気をつけください。
8月中旬、聖と雅は2週間ほど両親の住む香港に帰っている。
その間、俺は運転免許をとるために合宿に参加した。
そこで何人かの同年代の人と友達になり、同じ東京から来ていた麻衣子という
短大二年生の女の子と仲良くなった。
麻衣子は、長い黒髪で一際目立つきれいな整った顔をしていたが、人に媚びない
さっぱりした性格だった。女子大生特有の甘ったるさが無く話やすかった。
「大岡君、明日東京に帰っちゃうんでしょ?これ。時間が合うようだったら、
ご飯でも食べに行こう!私は9月の頭頃、東京に戻る予定だから」
麻衣子は、20日間の合宿免許を終え、明日東京に戻る俺に携帯番号の書かれた紙をくれた。
「あっ、うん。じゃぁ、俺の携帯番号も…」
番号を交換し、俺は次の日東京に帰った。
東京に帰り、玄関のドアを開けると3日前に帰って来ていた聖がお迎えをしてくれた。
「聖~~~~」
「城~~~~」
俺たちは熱い抱擁を交わした。
「暑苦しい…」
聖と一緒に出迎えてくれた雅に、厳しい残暑が一気に雪景色に変わるような寒い目で
言われた。
ほっといてくれ…俺たちのことは。
つーか、なんで雅が10階にいるんだよ…
リビングに入ると、なんだか紙とかノートとかがテーブルの上に散らばっていた。
あぁ、雅の夏休みの宿題か…
宿題をほったらかしにし、香港に戻ってしまった雅は聖に手伝ってもらい最後の
追い込みを頑張っていた。
「お兄ちゃんも手伝ってね。あと4日あるから余裕でしょ?」
まったくの手付かずの宿題が三分の二残っていると言う。
一ヶ月半もあった夏休みをどれだけエンジョイしたんだ…雅は。
それから3日間、三人で一生懸命宿題に精を出した。
聖と雅の学校が始まったが、俺はまだ休み。
大学生は何気に夏休みが長い。
免許の試験を受け合格し、やっと免許を修得したが、おやじの車はまだ一人で運転させてもらえていない。
毎晩、おやじが助手席に座り、俺は運転の練習をしていた。
あ~、おやじとじゃなくて早く聖と二人でドライブ行きてぇ~~。
おやじをチラ見すると「おまえの考えていることはわかるが、まだダメだ!」
と、千里眼で言われた。
☆☆☆☆☆☆
大学が始まると学祭の準備が始まった。
メンドクサイし興味ないし、俺は適当に参加して適当にこなす予定だ。
聖の学園祭のメインはファッションショーだった。
3日間、計12回のショーは毎年業界関係者も見に来るイベントだ。
聖はモデルに決まったらしく、ほぼ毎日ショーのための練習やリハーサルで帰りが
遅くなっている。
聖のいない部屋で一人ベッドの上でゴロゴロしていると、麻衣子から連絡が入った。
電話をするのを忘れていた。
麻衣子の電話は「短大の学園祭に遊びに来い」という内容。
俺の大学の学祭とも重ならないのでOKをし、大学の友達を連れて行くと約束をした。
麻衣子との電話を切って少し経ち、聖が帰ってきた。
「疲れたぁぁぁ…」
俺の横に寝ころがった。
聖はリハーサルをしてきたのか、化粧をしたままの聖の顔は……
か、かわいい~~~、ぶほほほほ~
変態おやじのような俺がいる。
「お帰り、お疲れ~」
聖の頭をポンポンと叩いた。
「ん、ただいま…」
目を瞑ったまま言った。
まつ毛長いよなぁ、聖。
唇もかわいいよなぁ、聖。
キ、キスしちゃおうかなぁ~、でへへへ…
などと考え聖に顔を近づけようとした時、邪魔な着信音が響いた。
……誰だよ!邪魔者は誰だ!
……んげっ、登戸君。なんでメールじゃなくてコールなんだ…
聖が薄目を開けて俺を見た。
「誰?なんで出ないの…?」
「え…登戸…くん。……あっ」
聖が俺から携帯を取り上げ出てしまった。
「もっしも~し、城なら便所!う○こしに行ってるけど、なんか用?」
おいおい、よりによってう○ことか言うなよ、下品だなぁ。
それに俺のイメージが…
俺は聖から電話を取り返した。
「ごめんね、登戸君。どうかしたの?え?ううん、トイレなんて行ってないよ!
俺、う○こなんてしたことないから、ははは~」
聖が拗ねた顔で起き上がって、俺から離れようとしたので腕を掴んだが思い切り振り払われ、俺に一蹴り入れ、出て行った。
俺はわき腹を押え、電話をしながら、聖の後を追ったが、シャワーを浴びるようで
浴室に入った。
登戸君からの電話は「次の休みに遊びに行きたい」と言うことだった。
その休みの日が、麻衣子の短大の学祭に行く日だったので、登戸君も誘った。
女子短大だと言うと、少し考えた後「僕も行きます、城くんのことは僕が守ります!」
と言ったが、何から俺を守ってくれるのか聞くに聞けない。
そして電話を切ったあと、俺はすぐに浴室に行った。
今度は聖のご機嫌を直さなければならない。
一応、風呂なので俺は服を脱ぎ、静かに忍び足でドアを開けた。
聖はシャワーボックスの中で髪をゴシゴシと洗っていて、泡泡の頭のまま俺に背を
向けている。
「ごめん!!聖~~!」
聖を後ろから抱きしめた。
「うわぁぁぁぁぁああああ」
「うわーーーー!」
エコーの掛かった二人のものすごいデカイ声が浴室に響き渡った。
聖の声に俺の方が驚いてしまった。
聖は泡泡の頭のまま振り向いたが、前が見えず手探りでシャワーヘッドを掴み泡を取り除いたあと、目を開けた。
「……」
「……」
二人で見つめ合った。
「へへへ。ご、ごめん…脅かすつもりはなかったんだけど…ははは…」
笑ってごまかしてみたが、聖はニコリともしてくれない。
「オレを…心臓マヒで殺す気か?…ハァハァ…」
「だってさぁ」
「だってじゃねーよ!ったく。いきなり後ろから抱きつかれたらビックリするだろが?!
オレはまだシャワー中なんだよ!出てけよ!」
そうとうお怒りのようだ…
「機嫌直せよ、聖」
俺はまた聖に抱きついた。
「ちょっ、おい、放せよ!城!……な、な、何お起ってんだよ!!」
少しばかり俺の下半身は……な状態で……少し大変。
……よし、あれだ!とりあえずあれを使おう。ナイスな位置に置かれている!!
俺は聖を片手で抱いたまま、聖が使っているクレンジングオイルに手を伸ばした。
「うわっ、うわぁぁぁーーー止めろ!城!オレはショーの準備で疲れてんだよ!!
それにクレンジングオイルなんて、何考えてんだよ!!やめてくれぇぇぇぇぇ」
「無理!止められない!」
俺の欲望は誰にも止められない!
聖のお尻近くの 「*」 マークに似た部分に、オイルを塗りたくったぁぁああ!
「うっ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~やめろぉぉぉぉおおお」
と言うことです!
「ごちそうさん!聖!」
**********************
朝、ベッドに聖を残し、俺は15階に朝食を食べに行った。
「おはよう…」
「あら、聖ちゃんは?早くしないと遅刻しちゃうんじゃないの?」
いつもこの時間の聖は朝食を食べ始めている。
「え?あぁ、聖…ちょっと、具合悪いみたいで、1時限目遅刻して行くって」
「熱でもあるの?風邪?ママちょっと見に行って来ようかしら…」
「えっ?!い、いいよ…なんか…ショーのリハーサルで…腰痛になったみたい」
「腰痛?……」
おふくろは俺をチラッと見て「あらまっ!大変ね、あなた達も~」と、言い、
俺の皿の上にトーストを乗っけて、微笑んだ。
夕べ、浴室で営んだあと、ベッドでもヤッてしまった。
男同士のアレは、男と女のアレとは少々違うため、いわゆる「受け?」とかいう聖は
かなり辛い……。よって、アレのあとの聖は翌日になっても疲労感を伴うらしい。
ので、静かに寝かせてあげたい。
俺は経験ないのでわからない…
ので、授業に出る…と。
……っーか、おふくろの意味ありげな笑顔…
おふくろは男同士のアレの何を知っているというんだ!!
おふくろの言葉に俺の顔は真っ赤になった。
俺たちの愛は特別なものだけど、そこに愛があって体を重ねあうことは男同士でも
女同士でも、男と女であっても何も変わらない。
1ミクロンも変わらないと思う。
俺が、誰でもない聖だけを愛していることは、この先も変わらない。
注)文中にある「*」に似たところへのクレンジングオイルを使う行為は、フィクションであるため、試したことがありません。そのような行為があるのかも、体にどのような影響があるのかさえわかりません。本来クレンジングオイルは化粧を落とすためのものであり、文中のような間違った使い方をし、万が一試されてどのようなことがあっても(そんな人いないと思いますが…)責任は取れませんのでご了承ください。