ブレイクタイム:登戸君の思い(2)
上京後の登戸君の気持ちストーリーです。
イケメンコンテストでグランプリを取ってから、東京に住み始めるまでの間、
何度か上京したけど、いつも母親と一緒に来ていたので城くんにはメールで
知らせるだけで、会うことはできなかった。
城くんが通っていた高校・龍星高校が僕の所属する事務所の寮に近いと知った時、
社長に頼んで龍星高校に編入させてもらった。
結構レベルの高い学校だったけど、僕もそんなにおバカではなかったのでテストを
受けて合格した。
龍聖高校に通うと決まったことをメールすると、
「俺の通っていた高校で、俺の家も近いよ」と返信がきた。
本当は知っていて龍星に決めたんだけど、僕は城くんに内緒にしてメールをした。
「城くんは卒業していなくて淋しいけど、城くんの後輩になれたことはとてもうれしい
です(ハート)家も近所みたいなのも、超超超~~うれしいぃ(ハート×10個)」
返ってきた城くんのメールには、ハートマークが2つも付いていた。
ハッピィ~~。
上京して城くんの近くに居るはずなのに、学校が始まり、仕事やレッスンをしなくてはならなくて全然会うこともできなかった。
だけど、メールをすれば必ず返信をくれていた。
僕は城くんのメールだけを楽しみに毎日を過ごしていたんだけど、ある日学校でいつものように女の子に囲まれ、憂鬱な気分になっていると、1年生の女子が僕のクラスにやって来た。
それは、な、な、なんと、城くんと同じマンションに住み、城くんの家族にお世話になっているという崎田雅と言う子だった。
聞くと、あの「ひじり」とかいう城くんの側にくっ付いていたうざい女の妹だった。
彼女でもなんでもなくて、城くんとは家族みたいなものなんだぁ~。
僕はそう解釈をしてものすごくうれしくなった。
ちょっと雅は邪魔だったけど、城くんと会う口実を作るために三人で会おうと提案した。
雅は喜んで帰って行き、僕はすぐに城くんへメールをし、結局僕のスケジュールの空いている日に三人で会うことになった。
城くんと会える日が待ち遠しくて、学校でも仕事場でも僕は上機嫌でみんなに愛想を振りまいていたら、「登戸祐二はかわいくてやさしくていい子だ」というイメージを持たれ、なんだか余計に仕事が増えていったようだ。
やっと!やっと!城君と会える日、待ち合わせの場所に20分も早く着いてしまった。回りの女の子たちに見られたりしていたけど、僕にはどうでもいいことだ。
早く城くんに会いたいなぁ~、とそればかり考えていた。
僕を呼ぶ声がして顔を上げると、お邪魔な雅が手を振って駆けてきた。
あっ!!城くんだ!!
雅なんて無視して、後ろの城くんだけを見て、僕は城くんの胸に飛び込んだ。
あ~~~ん、ひさしぶりの城くんの胸の中!!
数ヶ月ぶりの城くんの体をギュッと抱きしめた。
そのあとも、ずっと城くんにくっ付いていた。
僕と城くんが仲良く並んで歩いているのに、時々、雅が間に入って邪魔な存在だったが、僕はすぐに城くんの横に回って城くんをキープした。
途中で超超超ちょーーーーお邪魔な「ひじり」が現れ、城くんの顔色が変わった。
………僕は気がついた。
「ひじり」…あいつは男だ。
ショックだった。
どうしようと思った。
城くんはノンケじゃないと言ってくれた。
ひじりは女だから大丈夫だと思っていた…
だけど、だけどその「ひじり」が…男なんて…
その時、僕の何かに炎の火が「ボッ」と燃え上がった。
「戦う!この女、いや、このオカマみたいな男と戦う!!」
そして僕は城くんに宣言した。
「僕…負けないから」