第零話 10ヵ月目でバレました
基本、学生物語でR指定ほとんどありませんが、主人公が男と男の恋人同士、ボーイズラブ、時々女装が含まれます。嫌悪感を懐かれる方はお気をつけください。
龍星高校を卒業して新学期が始まる少し前、聖は長かった髪をショートにした。
男にもどるのかと思っていたんだ…
が、顔がかわいいというか綺麗というか、髪を切ってもユニセックス的な
中性的なボーイッシュな女のような人間になってしまった。
一緒に手を繋いで歩いていても違和感のないことが俺には救いだ。うほっ!
髪をショートにしたその日、サエドンを含め3Bの連中が集まり居酒屋にいた。
まだ未成年の俺たちは、お酒がNGのためサエドンも飲みたいビールを我慢して
ウーロン茶とジュースで盛り上がっていた。
聖は女子から、
「かっこいい~」
「あ~、聖ちゃんが男の子だったら絶対惚れちゃう!」
「私も!」
などと褒められ、まんざらでもない顔で照れていた。
「男の立場がなくなるぜ…」
「ボク、聖ちゃんになりたい…」
と、男子は女子を独り占めしている聖を見て全員落ち込んでいた。
残念ながら、3Bのみんなは、聖を男だとはまだ知らない。
体型がコロコロしている風ちゃんは、かいがいしく女の子らしくみんなのお世話をしていた。
「風ちゃんはいいお嫁さんになるよなぁ。奥さんはやっぱ、あーいう子がいいなぁ」
などと、ニンマリ顔でボソッと言ったら隣の聖が、俺を見て両頬をつねった。
「どの口が、そんなことを言ってるのかな?んん?城く~ん」
「すみません…ただの一人言と思ってここは一つ流してください…」
聖に深く詫びを入れた。
「風ちゃ~ん、ウーロン茶――ちょうだい~」
「は~~~い」
元気のいいかわいらしい声で答えると、ウーロン茶の入ったピッチャーを重そうに
持って近づいてきた。
「あっ!」
風ちゃんが聖の横に座っていた健児の座布団にけつまずいて、ピッチャーの中の
ウーロン茶を聖の頭に全部かけてしまった。
「うわっっっ!!つめてーーー」
「は、早く脱げ!聖!風邪を引く!!」
まだ薄ら寒い3月後半、俺はあせって聖の着ていた服を脱がした。
「城!ヤバイって!!おい!」
「あっ…」
視線を感じて周りをみた。
「……」「……」「……」
みんなの目がパチパチと瞬きを繰り返し、点になったのはいうまでもない。
ついでにみんなの口もパクパクとしている。
服を脱がされた聖の体は、男がブラジャーをし、胸の部分はタオルの詰め物入りだ。
俺は、詰め物のタオルで聖の頭を拭いてごまかしたが、ごまかせるはずもなく…
「ぶっははははははは~~~でかしたぞ!風ちゃん」
男と知っているサエドンが、笑い出した。
「バレちまったなぁ!聖!城!がはははは」
楽しそうだ。
一瞬、ほんの一瞬みんなは固まったが、サエドンが説明をし、笑い話に持っていった。
そのあと、女子のみんなは聖にべったりになったが、俺と聖の関係について
3Bのみんなは、何も思わないのか「城と聖は恋人同士」と、極自然に今までと
変わらず流れていった。