0.とある女子高生の日常
『昨日、このアニメがさ、めっちゃいい展開で――』
「へぇ、そうなんだ…」
―ん、なんだか、この話に関しては反応が薄いな。
じゃあ…
『あ、話変わるけど、この前〇〇がさぁ――』
「あ、私も〇〇にそれ言われた!――」
―あ、話が弾みそう。
じゃあ今度は、聞き手に回って…
『それな笑』
「でもさぁ、〇〇、そこでそれ言うの、空気読めてないよね」
―あ、やばい、よくない方向に行きそう。
ここは…
『まぁ〇〇、ちょっとマイペースなとこあるしね笑』
「えー、マイペースってレベル?」
『ま、人間誰しもゴーイングマイウェイな訳だし』
「なにそれ笑でも否定はできないかも笑笑」
―よし、笑い話の方向に空気も変わったな。
よかったよかった。
(ふぅ…)
人との会話は、やっぱりちょっと気を使う。
相手はこの会話を楽しんでるのか、無理して付き合ってるんじゃないか…そんなことが頭から離れないし、些細な人の機敏にすぐ対応しようとする。自分の本音も、人に言うのが苦手だ。
正直ちょっと疲れる。
でも、人との会話が好きなのも本当だ。
気を遣っていていても、くだらないことでも、相手と一緒に笑っているのが私は楽しい。人と関わるのが好きなのだ。
だから私は今日も、心から笑ってる。
気を遣いながらでも、本音を隠しながらでも、誰かと一緒に。
ただ、本音を言うのなら、いつか―――