寝て起きたら、悪意の真っ只中だった件。
出会いに感謝゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜
悪意の散歩 ⑥
*注意事項*
あまり悪意を覗き込まないように。
混じりあって染まってしまうから。
*注意事項*
「こちらをどうぞ。証拠になるでしょう?」
私は衛兵に毒薬の入った瓶を渡す。
そう、入っていた瓶ではなく、入っている瓶を。
「はぁ?」
その場にいた全員がすっとんきょうな声を上げ、狐につままれたような顔をする。
みんな私と男を交互に見やり首を傾げる。
そもそも、この騒ぎは男の薬を勝手に使って男を助けたことが発端なのではなかったのか?
では、使わなかったとして、何故、男は生きているのか?
毒薬か解毒薬のどちらか一方でしか助からないとして、
毒薬が今手元にあるとして、なら、男が飲んだのは一体!?
真実に行き当たり、その場の者が一斉にひれ伏し頭を垂れる。
王族!?
誰もがたどり着く答え。
もしくはそれに近しい地位の者!?
「そんなに畏まらなくても大丈夫。だけど、急いだ方が良いと思うよ。怪しい者たちは既にこの場には居ないからね。」
その言葉に、恐る恐る顔を上げる一同。
その場の人々の疑問を代表するように衛兵が尋ねる。
「何故、この男を助けたのでしょうか?」
チラリと男を見て、答える。
「彼は大事な手がかりだよ。相手は逃げ回ってさえいれば、彼が死ぬことを知っている。それが油断になるだろう。」
更に言い募ろうとする衛兵を制して、言葉を続ける。
「さあ、此所に居る殆どの者が、被害者であり、関係者だ。奴等を捕まえるのだろう?私のことはいいから、仕事をすると良い。」
私の言葉に一斉に皆が動き出す中、チラリと後方にいた女性へと視線を移す。
女性は泣き笑いをしていた。
その女性の肩を、衛兵を連れてきた青年が抱いていた。
その女性に向かって、舞台役者よろしく、静かにゆっくりと礼をしながら、瞳を閉じる。
女性は、驚きながらも、同じ様に深い女性特有のカーテシーをしていた。
人々のざわめきが遠くなり、周りが暗転したところで、ゆっくりと姿勢を戻していく。
視界は白亜の大理石でできた通路、月明かりだけが辺りを照らす、見なれた景色へと移っていた。
途端に、頭上から溜め息が落とされる。
感謝゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜感謝