寝て起きたら、悪意の真っ只中だった件。
出会いに感謝゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜
悪意の散歩 ⑤
*注意事項*
あまり悪意を覗き込まないように。
混じりあって染まってしまうから。
*注意事項*
「「毒だと!?」」
またもや、衛兵と男の声が重なる。
「ええ、その毒はそこら辺に生えていて、何の変哲もなく、食べても飲んでも無味無臭。挙げ句に少量なら症状さえでないと言う厄介さ。なので、その草が毒だと言う認識も専門家でなければ難しいそうです。」
「だが、毒なのだな?」
衛兵が先を促すように確認する。
「そう、毒です。命に関わる。」
命と聞いて、男は胸を押さえる。
「その毒は、服用しても全く症状はありませんが、体の外に出ることなく、体のある部分に溜まっていきます。」
私は静かに男を見つめる。
「そして、ある一定の量を越えると、ある日突然、一気に症状が出るそうです。」
私の言葉に、男はくずおれる。
「まるで、数千の針で胸を刺されているかのような痛みに、散々もがき苦しんだ後、死に至る毒。」
「だが、薬があるんだよな?現に俺はまだ生きてるわけだし…」
力なく呟く男。
私は無情にも首を振る。
「解毒薬がありますが、その毒だと解明される前に、大体の者が死にます。」
「だが、俺は!」
言い募ろうとする男の言葉を遮る。
「実はもう1つだけ、助かる方法があるのです。」
ガバリと勢いよく顔を上げ、私を見つめる男。
「何だ、やっぱり助かる方法が有るんじゃないか。現に俺は…」
私は男の言葉を再び遮る。
「ただのその場しのぎです。」
驚愕に目を見開く男。
「はぁ?その場しのぎだ?あんた一体何が言いたいんだ!」
「この毒の厄介なところ、それは、ある一定の量を越えると発作が起きる。けれど、それは、ある日、突然なんかではなく、毒の服用を止めると数日の内に起きるのです。」
男の濁った瞳から、涙が溢れ出す。
「つまりそれは…」
頷く私。
「毒を服用している間は起きません。また、発作が起きても、再び毒を服用すればおさまります。解毒薬が届くまでの応急処置、一時しのぎです。」
言葉を続けることのできない男に代わり、衛兵が尋ねる。
「解毒薬を飲んだ場合は?」
「2度と発作が起きることはありません。全ての毒を体外に排出することのできる薬ですが、とても高価で、王族のみが暗殺に備えて確保しているくらいだそうです。」
「だから…だから…薬の値段を聞いて、おかしいと…だから、薬の出所を聞いて…」
男は静かに私を見る。
「俺は…俺は…せっせと人を騙して、借金までして、毒を買っていたと言うことなのか…」
男の決意を秘めた瞳を静かに見つめながら頷く。
「この厄介な毒は王族にとても危険視されていて、各国で毒の処方や販売に関わった輩は尽く指名手配され、捕まり次第処刑せれていたはずです。」
男の瞳に力が灯った瞬間だった。
感謝゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜感謝