寝て起きたら、悪意の真っ只中だった件。
出会いに感謝゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜
悪意の散歩 ③
*注意事項*
あまり悪意を覗き込まないように。
混じりあって染まってしまうから。
*注意事項*
今にも消え入りそうな男の声が呟く。
「なぜ、薬の提供者を教えなくてはならないのでしょうか」
私は、さも当然のように頷く。
「高い買い物をする時に、相手の言い値で買う人がいるかい?」
辺りの人垣がざわつく。
そっか~君たちは買ってしまったんだね~
善人にも程があるでしょ?
内心苦笑しながら続ける。
「品質の良し悪しを、相手の言うことだけ聞いて信じて買うのかい?今会ったばかりの、何処に住んでいるとも知れない者相手に?」
更に続ける。
「もし違ってたら?何と言って訴えるのかな?何処の誰とも知れない相手から高額の者を買いましたが、騙されました。取り戻して欲しいです?捕まえて欲しいです?でも、どうやって?…」
更に続けようとする私を男が止める。
「もう結構です。薬の代金は要りません」
今にも消え入りそうなか細い声が呟く。
「そう、それはとても残念だ。お支払したかったのに。そんなに薬の出所が大事かい?」
男は力なく頷いた。
そこへ更に追い討ちをかける。
「君の命よりも、大事な薬よりも、更に大事なんだね。全ての元凶なのに。」
バッと顔を上げ、何か問いたげな男。
「それはどういう…」
けれど、私はその言葉を聞くことなく、更に更に言葉を重ねる。
「それに、私が納得しても、彼等も同じ様に納得してくれるのかな?」
ハッとして、男は周りを見る。
人垣をセーブしていた男たちが姿を消したことで、様々な者たちが、私たちの話をもっとよく聞こうと迫ってきていた。
男は顔面蒼白になり、この場から逃げ出そうと、素早く周りを見回すが、
男が逃げ出す前に、私の両側を人影が走り抜けた。
それは揃いの制服に身を包んだ、この街の衛兵だった。
素早く男の両脇を抱え拘束した衛兵が、振り向き私を見る。
私はチラリと、衛兵たちが来た方向を視界の角にいれる。
そこには、今にも倒れそうな程に細い可憐な女性と、その傍で、両膝に両手をついて、息を整えている青年の姿が見えた。
感謝゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜感謝