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悪意の散歩  作者: 吉祥
2/7

寝て起きたら、悪意の真っ只中だった件。

出会いに感謝゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜


     悪意の散歩 ②


     *注意事項*


 あまり悪意を覗き込まないように。


 混じりあって染まってしまうから。


     *注意事項*


「ですが…」


と、ほの暗い瞳の男が、先を続ける。


私は、この一連の流れを知っている。


彼は彼等は、善意の者を食いものにする輩だ。


「ですが、私は、あなた様に、助けて欲しいとはお願いしておりません。」


男は続ける。


「ましてや、あなた様が勝手に私にお使いになった薬は、私が私の命よりも大切にしている、とても高価なお薬なのです。」


なるほど。善意の者の罪悪感を上手く突いてくるな。


「お薬代を払っては頂けないでしょうか?」


お願いする感じを装ってはいるが、明らかに強要している。


ましてや、その顔は上手く行ったことに愉悦を感じているのか、見るに堪えない歪んだ笑顔だった。


私は、片膝をつき、男の瞳を覗き込みながら尋ねる。


「1つ、質問を良いだろうか?」


起き上がり、座ったまま私を見上げる体勢だった男が、一瞬身じろぎ、訝しげに瞳を見開く。


今まで、このような対応をされたことが無いのだろう。


やや、後ろにのけ反る形で、男は頷いた。


「あなたの命の値段は?」


「はっ?」


どうやら、全くの予想外だったようで、男の視線が彷徨い、周りの人垣の最前で陣取り、ニヤニヤしていた男に目を止めた。


男は慌てて視線を逸らす。


それをチラリと視界の角に納めながら、男の回答を待つ。


男は視線を、今度は何もない上空へと彷徨わせたあと、今度は道端の溝へと視線を落とし、


意を決したかたのように、口を開いた。


「銀貨1枚でございます。」


なるほど。再び質問をする。


「して、あなたの命よりも大事な薬の値段は?」


男は再び、ニヤリとして、私を見据えた。


そして、私の意図が解ったかのように、私を上から下まで値踏みするようにじろじろと遠慮なく見た後、


「金貨1枚でございます!」


なるほど。それは勝手に使われたら大損だろう。


私は、1つ頷くと続ける。


「では、あなたの命よりも高価だと仰る薬の出所を教えて頂けますか?」


男はハッとして、慌てて先ほどの人垣の最前列にいた男を見るが、既にそこに男は居なかった。


男の目が驚愕に見開かれる。


居なくなったのは、あの男だけでなかった。


先程まで、最前列でバリケードのように陣取っていた、ガラの悪い男どもが、


一斉に蜘蛛の子を散らすように、人混みに紛れながら、遠ざかっていたのである。


男は青くなり、下を向いた。




感謝゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜感謝

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