90.波乱の予感・・・
誤字すみません!都度読み返して訂正しますm(__)m
「怜彬・・・。次はどれが食べたい?」
「うーんとね・・・。じゃあその苺が乗ってるやつ!」
「よし!これだな・・・はい。あーん」
「あーん・・・」
雷覇に一口サイズのケーキを口に運んでもらう。
はああー。美味しい~。幸せ~。苺の酸っぱさとクリームの甘さがマッチして美味しい・・・。
今日も日課になっているお庭でのお茶を雷覇と二人で楽しんでいた。
主治医の先生からも適度に日光浴することを進められているからちょうどいい。
今はテラスでケーキを食べている。ケーキは雷覇が城下街で買ってきてくれたものだった。
目の前には色とりどりのケーキが並んでいる。栗が乗ったやつに、チーズケーキ・・・。
ああ!どれを食べようか迷う~!!
「怜彬は本当に美味しそうに食べるな!買ってきたかいがあるよ」
「だってどれも美味しいんだもん!雷覇も毎回美味しいお菓子を買ってくれるよね?どこで知るの?そんな情報」
実は密かに気になっていたのだ・・・。わたしが食べるお菓子はだいたい雷覇が買ってくる。
しかも毎回はずれがない。すっごく美味しいお菓子ばかりだった。
「サイガに聞くんだ・・。あいつはこういうの詳しいからな」
「そうなんだ~。でもなるほどね!サイガなら沢山知っていそう!」
今度はチョコレートケーキを食べさせてもらった。これもほろ苦くて美味しい!!
何個でも食べれるわ!!しかもリョクチャと合う!!絶妙なコラボレーション・・・。
「サイガは昔からマメで女性にもモテてたからな・・・。俺と違って沢山女性を喜ばせる方法は知っているだろうな」
「そっか~・・・。でもサイガなら皆好きになりそうよね~。人懐っこいし!」
「誰に対してもあんな感じだからな・・・。常に途切れることなく女性と付き合ってたな。今はどうか知らんが・・・」
「今は忙しくてそれどころじゃないと思うわ・・・。主に雷覇が原因で!」
「えっ?俺が・・・?」
雷覇がビックリしたような顔をした。なんで意外とか思っちゃうのかしら・・・。
あれだけ好き勝手行動していて、後処理をサイガに任せているなら
当然サイガの仕事が多くなる・・。普通に考えればわかる事だと思うけど・・・。
ちょっとサイガが可哀想・・・。
「そうよ!だって勝手に秋唐国に来たり、長期滞在したりしてるんだもの。その分の対応をしてたら、プライベートな時間なんてないと思う」
「た・・・確かにそうだな・・・。考えたこともなかった」
「もう~。雷覇はそういう所ちゃんとしないとダメ!!」
わたしはメッと雷覇を叱った。周りの人の事もちゃんと考えないと!
国王としてどうかと思うのよ!!って言うかそもそも人としてダメよね!うん。うん。
「すまない・・・。サイガとは昔から知っているからつい遠慮が無くなってしまう・・・」
「親しき中にも礼儀ありって言葉もあるでしょう?近しい人ほどちゃんと対応してあげないと。そのうち愛想つかされちゃうわよ?」
「たしかに・・・。そうだな。今度休みを取るように言ってみるよ!」
「うん!ちゃんとサイガの意見も聞いてあげてね!」
「分かった。ちゃんと聞くよ」
雷覇はなぁ・・・。真っ直ぐで真面目なのはいいんだけど・・・。
本当にわたしかそれ以外って感じで視野が狭いのよね~。
サイガ待っててね!もうちょっとでお休み貰えるはずだから!!
わたしは心の中でサイガにお休みが貰えるように祈った。
「怜彬様・・・。お食事中すみません。急ぎの用でご連絡がありました」
「わたしに?誰から?」
ちょうど雷覇に別のケーキを食べさせて貰おうとしたところでムツリが来た。
何やら深刻そうな顔をしている。・・・。嫌な予感がするな~・・・。
「怜秋様からです。こちらを・・・」
そう言って、ムツリから手紙を渡された。手紙には緊急を知らせる赤い鳥の印がついていた。
怜秋・・・。何かあったのかしら?わたしは急いで手紙を開けた。
『姉さんへ。
足を怪我をしたと聞いたよ。大丈夫?凄く心配だよ。
近々、夏陽国へ行くから待っててね!
あまり無理をしないで大人しくしていてね!
いい?絶対に無理して怪我を悪化させないでね!!
それと、雷覇殿と結婚するって話も聞いてないから!!
怜秋より』
あちゃー・・・。これは・・・。もしかしなくても怒ってる。確実に怒ってるわ!
怜秋の筆跡がものすごく荒々しい。ほぼ殴り書きのような字だった。
わたしが怪我した事で怒ってるんでしょうね・・・きっと。しかも珀樹殿対策で
話していた、雷覇との結婚の話も怜秋は耳にしている・・・。
困ったな~。うーん。
「怜彬・・・。何が書いてあったんだ?」
雷覇に優しく頭を撫でられる。
「それがね・・・。雷覇。怜秋が夏陽国に来るんですって」
「怜秋殿が・・・。そうか・・・」
「私の不注意で怪我したと伝えてるんだけど・・・。どうも怒ってるみたいで・・・」
「怒って当然だろうな。俺も逆の立場なら黙っていはいない。もしかしたら怜彬を連れて帰ると言い出すかもしれないな・・・」
「あり得るわね・・・。怜秋はわたしをとても心配してるから・・・それに結婚する噂も耳にしてるみたいなの・・・」
「そうか。怒っているだろうな・・・。怜秋殿は・・・」
どうしよう・・・。まさか怜秋が夏陽国に来るほど
怒っているとは思わなかった。元々、雷覇に対する印象も悪い・・・。
結婚の話はあくまで、噂を流すだけって手紙では書いたんだけどな~。
このまま婚約解消だ!と言いかねない温度感だった。
「怜彬。大丈夫だ!ちゃんと説明して怜秋殿に分かってもらおう!」
「そうね・・・。怜秋はいい子だもの。きっと分かってくれるわね」
「ああ。これは俺にとってチャンスだ!」
「チャンス?なんの?」
「怜秋殿の印象を変えるチャンスさ!印象が悪い時ほど改善の余地があるものさ」
あっけらかんとした声で雷覇が話す。
そうだろうか・・・。怜秋がそこまで考え直してくれるかしら。
結婚の噂の話はまだいい。こちらが意図してやったものだし。
でも・・・。怪我はな~。
「雷覇は何て怜秋に説明するつもりなの?」
「ありのまま伝える!!それしか誠意は伝わらないだろう!」
「それも・・・。そうなんだけど・・・」
「怜彬は何も心配することはない!俺に任せてくれ!」
「うん・・・。じゃあお願いね。雷覇」
「ああ。ありがとう。怜彬」
雷覇に軽く頬に口づけされる。彼はニコニコしながらリョクチャを入れている。
本当に・・・。大丈夫かしら?最近の雷覇なら少しは大人になってきたから
話し合いはできそうだけど、怒っている怜秋は雷覇の
話を聞いてくれるかしら。そもそも。
まぁ・・・でも。避けててもいつかはぶつかる問題よね~。
わたしは雷覇が好きだし。それも怜秋は知ってる。
いつかは結婚したいって伝えてるけど今は認められないって言ってた。
すぐに解決は難しいと思うんだよね~。
・・・・。ん・・・・?ちょっと待って!!
わたしが雷覇を好きって、怜秋は言わないよね?雷覇に!!
まだ告白できてない・・・。まずい・・・。
うっかり雷覇に伝えられるのは非常にまずい・・・。どうしよう!!
自分で言いたいのに!!
「怜彬、そろそろ部屋へ戻ろう。俺は仕事に戻るよ」
「・・・・。そうね。分かったわ」
わたしは内心わたわたして焦っていた。どうしよう!
「どうした?」
雷覇に顔を覗き込まれる。思わずドキッとして目をそらした。
「なんでもない!!」
「・・・・?そうか。ならいいが・・・」
少し不服そうな顔をしながら、雷覇に抱きかかえられる。
ちょっと気まずい・・・。でも今は言えないしな~。そんな雰囲気じゃないし!
あーん!!どうしよう!
もう、いっそうのこと今日の夜にでも言っちゃおうかしら?
この後雷覇と二人になるのは夜寝る時くらいだ・・・。
怜秋が来る前に自分の口で伝えたかった。
「んもう!!なんで今日に限って帰ってこないのよ!!」
「お嬢様・・・。仕方ありません。お仕事ですので」
その日の夜。雷覇は仕事が長引くから先に寝ていてと伝言があった。
本当にタイミングが悪い!!
「リンリンどうしよう!怜秋がうっかり雷覇に言ってしまったら・・・」
「うっかり何を言うのですか?」
「わたしが雷覇を好きってことよ」
「それは考えにくいですね・・・。いくら怜秋様でも勝手にお嬢様の気持ちを伝えるとは思えませんが・・・」
「ほんとう?絶対!絶対に大丈夫だと思う?」
わたしは必死になってリンリンに尋ねた。もし怜秋が雷覇に話してしまったら・・・。
しかも、公式の場で!!ああ泣きたい!!逃げようにも今は足が痛くてできない。
「何とかして、雷覇に会う前にわたしと会える時間を取れないかしら?」
「分かりました。サイガ殿に相談してみます」
「ほんとう?あっ!でもわたしが雷覇を好きだからって言わないでね!」
「勿論でございます。内密に怜秋様と会って話したいことがあると伝えます」
「ありがとうリンリン!この恩は必ず返すわ!」
リンリン様!ありがとう!!本当に拝みたいくらい嬉しい!
しかも、相談できるくらいサイガと仲いいのね!!
リンリンに知り合いができて良かった!
「お気持ちだけで十分です。さぁ。もうお休みになってくださいませ」
「分かったわ!本当にありがとう!!リンリン」
あー!これでひとまず安心ね!
こっそり怜秋と会って先に口止めしておけば大丈夫。
わたしは枕を高くして眠りについた。
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