表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

93/198

84.錯綜


「なに?!珀樹はくじゅ殿に技術提供してもらう?」


わたしは執務室で、雷覇らいは珀樹はくじゅ殿と話した内容を伝えた。

とってもびっくりされてしまった。まぁ・・。当然よね~。


「そうなの!秋唐国しゅうとうこくって電気がないでしょう?それにうちと取引できるなら、珀樹はくじゅ殿もお家で責められないかなって」


怜彬れいりん・・・。何も君がそこまでしなくても・・・」


「あら?お互いメリットがあるからそうなったのよ?それに珀樹はくじゅ殿は、とっても博識で努力家だったの!」


怜彬れいりん殿は本当に凄いね!そのうち五神国ごしんこく全部を支配しちゃうんじゃない?」


「えっ?そんなことしないですよ!」


真顔で水覇すいは殿に言われてしまった!!なんかショックだぞー。


「ああ。怜彬れいりんならできそうな気がするな・・・。出会う人みんな怜彬れいりんを好きになるからな・・・」


「そうだね。黒秦国こくしんこくも手中に収めているしね・・・。後は四季国しきこくくらいか・・・」


「ちょっとちょっと!変なこと言わないで!わたしにはそんなつもり全くないんだから」


「計算なしでここまでやれるのか・・・。怜彬れいりん殿は末恐ろしい人だ」


「さすが、五神国ごしんこく一の美女だな!!」


「何がさすがなのよ!もう!二人とも好き勝手いっちゃって」


むー。二人とも好き放題言ってくれるわね!珀樹はくじゅ殿の件があって

水覇すいは殿と雷覇らいはの関係は良好だ。

まぁ・・・。2か月間お休みをもらったから

水覇すいは殿のストレスが軽減されたからだろうけど・・・。


「僕も何かあればいつでも怜彬れいりん殿をお手伝いしますよ!!」


「もう~。黒綾こくりょう殿まで・・・。でもありがとう!」


わたしは黒綾こくりょう殿の頭をなでなでした。

黒綾こくりょう殿は本当に裏表がないからかわいいわ!

それにわたしが困っていたら絶対に助けてくれそうよね!!


「話を戻すけど。冬羽国とううこくの手続きが終わったら、珀樹はくじゅ殿がまたここに来てくれる予定なの!」


「わかった!こちらもそのつもりでいよう」


「ありがとう!雷覇らいは。じゃあわたしはお庭を見てくるわ!」


「ああ。俺もお昼にそちらへ行くよ」


雷覇らいはにおでこに口づけされて、くすぐったくなったけど

気にしたら負けな気がするのでそのまま笑顔で部屋を出た。

仕事は引継ぎをお願いした人たちにそのまま任せてある。

黒綾こくりょう殿は、勉強になるからとそのまま雷覇らいはの手伝いをしている。

まぁ・・・。滞在させてもらっているから気を使っているかもしれないけど。


いい子よね~。黒綾こくりょう殿!!そこまで仕事しなくても大丈夫なのに!

水覇すいは殿も黒綾こくりょう殿が仕事出来るって分かってからは

結構な量の仕事を振っている。体調壊さないように言わないと!無理はダメよね!


それにしても・・・雷覇らいはは、本当におとなしくなったわよね~。

以前なら絶対にお庭についてくるって言いそうだもの!!

ちょっとは大人になったのかしら?わたしが秋唐国しゅうとうこくへ帰っている間も

勢力的に仕事をしていたそうだった。

足の怪我もきちんと治そうとしていたし、ちょっとずつ落ち着きを取り戻しているように思う。


「さて・・・と!リンリン!ちょっと相談したいことがあるんだけど」


「なんでしょう?お嬢様」


わたしはまわりに誰もいないことを確認して、リンリンを呼び出した。

さっそく、雷覇らいはの事を相談した。


「なるほど・・・。なるべく自然に雷覇らいは様と二人きりになりたいと・・・」


「そうなの~。告白しようとするタイミングでいつも、誰かが来たりして最後まで言えないの!」


「完全に人払いをする必要性がありますね・・・。ただそうするとムツリ様やサイガ様の協力が必要となりますが・・・」


「ううう。そうよね~。やっぱり言わないとダメよね?」


「そうですね。秋唐国しゅうとうこくならまだしも、ここは夏陽国かようこくですから・・・。こちらを管理されている方にお願いするのがよろしいかと」


「はぁ・・・。恥ずかしいな~。告白したいから二人きりにして欲しいって言うの」


何かいいアイディアはないかしら・・・?雷覇らいはと普通に二人きりになれて

尚且つ誰にも邪魔されないようにする・・・。そんな落ち着ける場所とかあればな~。

う~ん。自分の国じゃないからあまり好き勝手するのもよろしくないしね・・・。

・・・・。あっ・・・・!!一つだけあるじゃない。誰も来ない場所!!


「リンリン!炎覇えんはの残してくれた別邸はどうかな?」


「あそこですか・・・。いいかもしれませんね」


「でしょ?あそこなら、雷覇らいはと二人きりになれるし、人払いしても不自然じゃないものね!!」


「ではそこに雷覇らいは様と一緒に行けば大丈夫ですね!」


「うん!そうしよう!理由は何でもいいし!」


「もう一度、別邸で過ごされたいと、雷覇らいは様にお願いしてみてはどうですか?」


「なるほど!いいアイディアね!ちょっと内装を変えたいとか言って見に行けば自然よね」


「はい。誰も何も言わないと思います」


「ありがとう!リンリン!さっそく後で雷覇らいはに言ってみるわ」


「かしこまりました。私も準備致します」


やったー!!これなら上手くいきそう!!それにあそこなら今後、夏陽国かようこく

滞在するときに使用してもいいし!せっかく炎覇えんはが作ってくれたものだもの。

大事にしたいわ!!はー。スッキリした~。

わたしは上機嫌で、お庭のお花を世話していた。


怜彬れいりん殿・・・。ちょっといいですか?」


黒綾こくりょう殿!どうしたの?」


珍しく緊張した様子の黒綾こくりょう殿。何かあったのかしら?


「あの・・・。怜彬れいりん殿にどうしてもお伝えしたいことがあって・・・・」


「なあに?改まって」


「僕・・・。これを怜彬れいりん殿に渡したくて・・・」


黒綾こくりょう殿から差し出されたのは、綺麗な包装紙に包まれた箱だった。


「これを・・・わたしに?」


「はい!僕の気持ちです・・・」


「ありがとう!開けてもいい?」


「どうぞ」


わたしは包みを取って箱を開けた。すると綺麗な桃色のブレスレットが入っていた。

・・・・。これってこの前一緒に見に行った時に買っていた・・・。


「・・・・。黒綾こくりょう殿これって・・・あの時の?」


「そうです。怜彬れいりん殿にあげたくて僕が買ったものです」


「ローズクオーツのブレスレット・・・どうして?黒綾こくりょう殿の好きな人にあげるものでしょう?」



「ええ。だから買いました。僕の好きな人は怜彬れいりん殿です」


「えっ?」


急にあの時の会話を思い出した。黒綾こくりょう殿はわたしの事を考えて買ったの・・・。

うそ・・・。だって・・・わたし・・・。


「僕は初めて会った時から、ずっと怜彬れいりん殿が好きです」


真っ直ぐ私を見つめる真っ赤な瞳・・・。ルビーのような瞳・・・。

初めて会った時から?ずっと?頭の中が混乱していた。だってそんな素振り一度も・・・。

でも、黒綾こくりょう殿の表情は真剣だ。ちゃんと答えないと・・・。


黒綾こくりょう殿・・・。わたし・・・」


伝えようとして言葉が詰まる・・・。一体どんな気持ちでわたしと一緒にいたのだろう?

いつも笑顔で明るくて、素直な黒綾こくりょう殿。弟みたいだと思っていた。

でも、黒綾こくりょう殿は違っていた。わたしの事を好きだという・・・。


「いいんです。怜彬れいりん殿の気持ちはわかってます・・・。雷覇らいは殿の事がすきなんですよね?」


泣きそうな顔で黒綾こくりょう殿に聞かれる。


「・・・・っ!!ええ・・・。わたしが好きなのは雷覇らいはよ・・・」


どうしよう・・・。なんて言ったらいいの?何を言っても彼を傷つける。

わたしは黒綾こくりょう殿の想いには応えられない・・・・。


「ごめ・・・んなさい・・・。わたし・・・ぜんぜん・・・気が付かなくて」


不意に涙が出てきた。泣きたいのは黒綾こくりょう殿のはずなのに・・・。

ごめんとしか言えない自分が不甲斐なかった。


怜彬れいりん殿・・・。泣かないで。僕はただ自分の気持ちを伝えたかったんです・・・」


黒綾こくりょう殿・・・・わたし・・・」


次の言葉を話す前に黒綾こくりょう殿に抱きしめられる。

とても力強かった。そして少し震えてた・・・。


「ごめんなさい。怜彬れいりん殿・・・。少しだけ・・・このままで」


黒綾こくりょう殿・・・」


彼の気持ちが痛いほど伝わってくる。そんなにわたしの事を想っていたなんて。

それなのに、わたしは好きな人はどんな人とか・・・。

プレゼント渡せるといいねとか・・・無神経な事たくさん言ってしまった・・・。


怜彬れいりん殿・・・泣かせてしまってごめんなさい。ただ、自分の気持ちに区切りをつけたかったんです」


わたしを抱きしめながら、黒綾こくりょう殿が話してくれる。

声も震えていた・・・。好きだって伝えるのにどれだけ勇気がいっただろう。

わたしも雷覇らいはに告白しようとして、凄く緊張した。両想いって分かっていてもだ。


でも・・・。黒綾こくりょう殿は違う・・・。わたしには気持ちがないことを知っていて

今日話してくれた・・・。彼の真摯な気持ちがよくわかった。

だったらわたしは、受け止めて彼に誠意を持って伝えなきゃ!

混乱していた頭も少し落ち着いてきた。黒綾こくりょう殿にきちんと断ろう。



黒綾こくりょう殿・・・。ありがとう。嬉しいわでも・・・わたしは」


「二人で何をしてるんだ?」


ひゅっと心臓が小さくなった気がした。振り向くと鋭い目つきの雷覇らいはが立っていた。


最後までお読みいただきありがとうございます( *´艸`)

ブックマークしてくださった方ありがとうございます!!

ちょっとでもいいなと思ったら、

広告の下の☆☆にぽちりしていただけると嬉しいです(#^.^#)

感想・ご意見お待ちしております!(^^)!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ