82.作戦成功?
久しぶりに水覇を書けて楽しかったです!(*^-^*)
「とにかく怜彬殿は相手を完膚なきまでに叩きのめすくらい着飾ってきて!」
あと1時間もすれば、珀樹殿がやってくるが
水覇殿から無茶ぶりをされてしまった・・・。鬼め!!
わたしは急いでリンリンに支度を整えてもらった。
勝負服ならこれよね!雷覇に作ってもらった服の中で
とくに露出の激しい服を選んだ。かなり恥ずかしくて嫌だけど・・・。
真っ赤な色の生地で胸元は大きくVの字で開いている。
腕周りは半透明の金色の生地で覆われている。
もちろんおへそは丸出しで、おへそから下は細い生地が何本も
連なりスカートみたいになっている。少しでもずれれば足が丸見えになるデザインだ。
マダムベリー曰く、渾身のできらしい・・・。ほんとうに・・。何をイメージして作ったのかしら?
髪飾りは雷覇から貰った金色のもの。
髪を高く結ってもらい一番目に留まるところに着けてもらった。
あと、香水も雷覇と二人で作ったものを付けた。
雷覇も同じ香りにしているはずだった。
「お嬢様・・・。とってもお綺麗ですわ!」
満足げな表情でリンリンがほめてくれる。よくこの短時間で準備してくれたわ!
「ありがとう!リンリン!完璧だわ!」
「ありがとうございます。お嬢様」
コンコン
部屋を誰かがノックする。雷覇かしら?
「どうぞ~」
「怜彬!準備はできたか?」
「ええ。リンリンのおかげでバッチリよ!!」
わたしは立ち上がって、雷覇の元へ駆け寄った。
雷覇もいつも以上に装いが豪華だった。
色はわたしの衣装に合わせて赤い色で金色の鳳凰が刺繍されている。
腰布には金色でまだら模様の布を巻いている。
「怜彬・・・。とっても綺麗だ・・・」
うっとりした表情で雷覇が褒めてくれる。
良かった~。ちょっと恥ずかしいけど、頑張った甲斐があったな。へへへ。
「ありがとう!雷覇もとっても格好いいわ!よく似合ってる」
「ありがとう、怜彬。君もよく似合ってるよ」
不意に雷覇が顔を近づけてきて頬に口づけした。
はー!びっくりした!本当に、自然にくるわよね~。
今からこれを人前でやるのね・・・。
「このままどこかへ攫ってしまいたいな・・・。人に見せたくない」
「もう雷覇ったら、我がまま言わないで」
わたしは雷覇をぎゅっと抱きしめて彼の胸に顔を埋めた。
もう!ドキドキするなー!!やっぱり久しぶりに甘々フェロモン攻撃くらうと
目を合わせるのにも苦労する。心臓が持たない・・・。
「ふっ・・・そうだな。楽しみはとっておこう!」
んん?なんか怖い事言ってるな~・・・。
まぁでも、久しぶりに二人でゆっくり過ごすのもいいかもね!
「さぁ!行こうか怜彬」
「はい!」
雷覇に手を引かれてエスコートされる形で応接室へ向かった。
いよいよ珀樹殿とご対面だ!!
「遠いところ、はるばるようこそ珀樹殿。雷覇の弟の水覇と申します」
水覇殿が珀樹殿に対して挨拶する。
基本的に話を進めるのは水覇殿だ。わたしと雷覇は
ソファーに座ってイチャイチャするように指示されている
もうさっそく始まってますよ~。雷覇の膝の上に座って
雷覇が唇以外の所にどんどん、口づけしてますよ~。
本当に水を得た魚のごとく、イキイキとしてやってくる。
・・・。本当はこれくらい毎日したいのかな・・・・。
「お久しぶりでございます。水覇様。珀樹と申します」
深々と珀樹殿がお辞儀する。雷覇が白いと言った意味がよく分かった。
彼女の髪は本当に色素の無い、真っ白な髪の毛だった。ゆったりと後ろで結んでいる。
それに肌もとてもきめ細かくて白い。全く日に当たってないというくらいの白さだ。
瞳は金色で大きなめだが、伏し目がちだから小さく感じる。
でも・・・。とっても綺麗な人だわ・・・。
「さぁ!お掛けになってください」
「はい・・・。あの・・・」
珀樹殿が遠慮がちにこちらを見て気まずそうにしている。
ううう。恥ずかしい・・・。
「ああ!あの二人ですか?気にしないで下さい!いつもああんですよ」
ニコニコしながら水覇殿が話しを進める。鬼進行だった。
「怜彬・・・。今日の君はとても綺麗だ・・・。太陽の女神のようだ」
「ふふふ。ありがとう・・・。雷覇。雷覇がくれた服のおかげよ?」
「君に似合うよう特別に作らせたんだ。当然だ」
「雷覇・・。くすぐったいわ・・・」
あああ!照れる・・・。恥ずかしい!落ち着いて・・・。落ち着いて・・・。
「さっ!珀樹殿。あの二人はしばらくあのままでしょうから、話を進めましょう!今日ここへ来られた理由をうかがっても?」
「あ・・・。はい。その・・・。雷覇様に何とか婚約を受け入れて頂けないかと思い馳せ参じました・・・」
「珀樹殿。兄にはすでに婚約者がいます。それはご存じですか?」
「はい・・。存じております。秋唐国の第一王女。怜彬様ですよね?」
「そうです。兄がかなり前から思いを寄せていましてね。どうしても彼女じゃないと結婚しないとまで言っているんですよ。毎日、毎日・・・怜彬殿の話ばかりでこちらも大変でして、ハハハ」
「そうなのですか・・・」
傷ついた表情をする珀樹殿。やっぱり雷覇の事を好きなのね・・・。
「兄から聞いているかもしれませんが、怜彬殿以外の女性と結婚する気はないようでして・・・。どうかご理解頂けないですか?」
「でも・・・!でも・・・。夏陽国は一夫多妻も認めていらっしゃいますよね。わたくしは、側室でもかまわないのです!」
「ほお・・・。それじゃあ、あなたと結婚したとしてこちらにはあなたからどんなメリットが与えられますか?」
「それは・・。我が家の技術を提供することが出来ます!」
「それは、あたなたの家のものでしょう?僕が言いたいのは珀樹殿自身がどんなメリットをもたらしてくれるか?だ」
おおう・・・。水覇殿の声のトーンがどんどん、翠龍になっていく。
ニコニコしながら話しているけど圧力は相当かかっているはずだ。
それに臆することなく、懸命に話をしようとする珀樹殿。
彼女の決意の固さが伺えた。よっぽど雷覇が好きなんだわ・・・。
「わたくし自身・・・。それは・・・」
「怜彬殿は、夏陽国の王女だ。それだけでなく政治に関する知識、人を見極める洞察力。何より人を惹きつける魅力を持っている、いずれ国母になるには相応しい人だ」
「それは・・・。わたくしでは荷が重いかもしれませんがこれから努力いたします!」
「珀樹殿。話にならないな。国母になる覚悟があるならもっと前から準備しておくべきだ。今からでは遅い。それに君ではカリスマ性がない。国民の支持も得にくいだろう」
うわー・・・。水覇殿がばっさり切りにかかって止めを刺そうとしてる。
怖い!!こーわーいー!!
「怜彬・・・。この話が終わったら二人で出かけよう」
「とっても素敵な考えだわ。どこへ行こうかしら?雷覇は行きたいところある?」
「君と一緒ならどこへでも・・・。どこへ行っても俺は幸せだ」
「ふふふ。そうね・・・。わたしもあなたと一緒なら幸せよ。雷覇」
全く周りの空気を読まず、ガンガンイチャイチャするわたし達。空気が桃色だ。
それとは裏腹にどんどん冷たい空気感が出てくる、水覇殿と珀樹殿。
誰かがこの部屋に今入ってきたら、大変だろうな~。
「それに、あなたの家の技術力維持の為に、国を左右する結婚をするほどこちらは技術に飢えてはいない。それよりも秋唐国と将来を見据えて取引を継続的にする方が、メリットもあって、我が国の繁栄に繋がると僕も兄も考えている」
そうだったんだ・・・。すごいな水覇殿はそんな事考えてたんだ。
よくそんな事スラスラ言えるな~。さすがだわ!!水覇殿。
「・・・・。確かに・・・わたくには、怜彬様のようなカリスマ性も、秋唐国が提示できる将来性もございません・・・。ですが、わたくしを支持して下さっている方達は納得されないのではないでしょうか?」
「その点については問題ない。兄と怜彬殿は近々結婚する」
「えっ・・・?婚約を延期されたのでは・・・・?」
「その予定だったんだがね・・・。どうも1か月間離れている間に、お互いの気持ちを確かめ合ったみたいでね。もう一時も離れたくないそうだ。そうだね?兄さん」
いきなり水覇殿がこちらに話題を振ってきた。
最後の仕上げにかかる気だ。ここで一気に雷覇から珀樹殿へ
結婚の意思がない事を主張する。
「ああ!水覇の言ったとおりだ。わたしは怜彬しか目に入らない。彼女以外誰とも結婚したくない。それはこの愛が彼女だけに向けられるものだからだ!それが離れてみて初めて分かったんだ」
雄弁に雷覇が語りだす。わたしは聞いていられないくらい
恥ずかしいけど、笑顔を絶やすことなく雷覇にぴっとりとくっついている。
雷覇の方を見つめてうっとりする婚約者・・・。というシナリオだ。
「だから申し訳ないがこの話はなかった事にしていただきたい。そもそも、国王である私の意向を無視してか勝手に周りが動きかけたんだ。こちらに約束を守る義理はない」
「そんな・・・・!!」
瞳に涙をためながらこちらを見つめる珀樹殿。
可哀想だけど仕方ないわ・・・。珀樹殿が雷覇を好きなように
雷覇もわたしの事を好きなんだもの。これは誰にも変えられない。
「そういう事だよ。珀樹殿。これでこの話は終わりだ。今日はもう遅い。こちらに泊まってあす帰られるがいい」
最後に水覇殿が冷たく言い放った。
珀樹殿は何も言わず俯いたまま、ムツリに連れていかれて部屋を出た。
これで・・・。諦めてくれるといいんだけどな~。大丈夫かしら?
珀樹殿から分かったという言葉を聞いていない。
それが少し気になった。
「よし!完璧だったよ二人とも!これで珀樹殿はあきらめると言ってくるだろう!」
満足げな水覇殿。本当に交渉する技術に長けては世界一だわ!
「ありがとう!水覇。俺ではああはいかなかった。さすがだな」
雷覇も嬉しそうに水覇殿に近寄る。
全く正反対な二人だけど、だからこそ合うのかな?
それにしても・・・。二人が並ぶと壮観ね・・。豪華な舞台を見てるみたいだわ!
熱く情熱的な雷覇。冷静で氷のような水覇殿。
絵になるわね~。間近で見れて幸せだわ!!
「兄さんがそこまで素直に褒めてくれるのは気持ち悪いけど、一応ありがとう」
「水覇殿!わたしからもありがとうございました」
「怜彬殿の演技完璧でしたよ!さすがですね!」
「水覇!演技なはずがないだろう?普段からあれくらい仲がいいぞ。俺たちは!」
「どうだかな~?聞いた話では僕がいない間に兄さんがやらかして、怜彬殿が1週間出て行ったんだろ?」
ニヤニヤしながら雷覇を責め立てる。
という事は水覇殿の耳にも入っているのね・・・・。
わたしが出て行った事・・・。なんか恥ずかしい。
「ぐ・・・・。それは・・・」
やっぱり水覇殿に口では敵わない雷覇なのだった。
まぁ何はともあれ上手くいってよかったな!
「雷覇!もういいじゃない。それよりもこれから出かけるのでしょう?」
「ああそうだった!せっかく綺麗に着飾ってるんだ。二人でゆっくり過ごそう」
「はいはい。どうぞごゆっくり~。僕は事後処理しておくよ」
「ありがとうございます。水覇殿」
「いいんだよ。怜彬殿。そろそろ兄さんを発散させないと、爆発しそうだからね!」
「えっ・・・?」
さらりと爆弾発言をして部屋を出て行った水覇殿。
そうなの!!雷覇、そんなに溜まってたの?
どうしよう!!わーん!!
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