80.帰国
色々と誤字!!すみませんm(__)m
都度読み返して修正していきます!
秋唐国の滞在期間の2週間はあっという間に過ぎ
今日は夏陽国へ到着する日だ!
「あー!何回移動しても、馬車は慣れないわー」
わたしは思いっきり伸びをした。
「そうですね!僕も体が痛いです」
黒綾殿が苦笑いする。
慣れている旅路とはいえ2週間も馬車で移動するとなるとしんどい。
ああ!婚約期間延長ってことはこの往復を3年もするのか・・・。
そこまで考えてなかった。結構辛いな~。トホホ。
かと言ってずっと夏陽国にいる訳にもいかないし。
雷覇が言っていた密偵網って人は対象外かしら?
1週間に縮める事が出来るならすごく嬉しい!
休憩を少なくすればもっと早くすることが出来るかもしれないし!
到着したら雷覇に聞いてみようっと!!
馬車に揺られること数時間。ようやく雷覇のいるお城に戻ってきた。
玄関では雷覇、ムツリ、サイガが出迎えてくれている。
あ・・・!雷覇が車椅子無しで立ってる!!凄い!治ったんだわ!!
彼は本当にこの1か月大人しくしていたようだ。
でも・・・。完治まであと2か月じゃなかった?そんなに早く治るものなのかしら?
「怜彬!お帰り!会いたかったよ」
そう言ってこちらに向かってくる雷覇。
すでにわんこ雷覇になっていた。ふふふ。しっぽを振っているようにしか見えないわ。
「ただいま!雷覇殿。足の怪我もう治ったの?」
「完治まではあと少しだが、リハビリをしっかりしたから、もう歩いても大丈夫だそうだ!」
「そうなの!よかったぁ。ちゃんと完治させようとしたのね!」
「したさ!怜彬と約束したからな」
雷覇がぎゅっと抱きしめてくれる。ああ。懐かしい・・・。
やっと帰ってきたんだわ・・・わたし。
こうして彼に触れると離れていた時間の多さを感じた。
「はぁー。もうくたくた!早くお風呂に入ってゆっくりしたいわ!」
「そう言うと思って用意してある。今日はゆっくりするといい」
「本当?ありがとう!!」
雷覇がここまで気が付いてくれるなんて!凄いわ!!
手紙でもそうだったが、最近の雷覇は気持ちを押し付けるようなことはしない。
寄り添ってくれていることがよくわかる内容だった。
「ムツリ!雷覇殿ことを見ててくれてありがとう!」
「礼には及びません。怜彬様。当然の事をしたまでです」
そう言ってにっこり微笑むムツリ。
「サイガ!久しぶり!元気だった?」
わたしはサイガに駆け寄って挨拶をした。
「ああ元気さ!お姫様こそ元気そうでよかたっす!」
「ありがとう!私もとっても元気よ」
皆変わらず元気そうでよかった!わたしは挨拶をした後
雷覇に手を引かれてそのまま私たちの部屋に通された。
「あー!やっとフカフカのベットで眠れるわ!」
わたしは思わずベットに飛び込んでしまった。
物凄い解放感!しばらくは馬車には乗りたくないわ・・・。
「2週間も大変だったな。体調は大丈夫か?」
ベットの脇に座りながら雷覇が尋ねる。
「うん。体は痛いけど体調は大丈夫よ!」
「そうか!良かった。俺はこれからやる事があるから先に休んでてくれ」
「わかった。ありがとう雷覇殿」
「おやすみ怜彬」
そう言って額に口づけを落として雷覇が部屋を出て行った。
はぁ~。すごい・・・。もっと甘々フェロモン攻撃が来ると思って覚悟していたけど
あっさり行ってしまった。1か月ぶりだから!とか言って
色々スキンシップされると思ったけど・・・きっと気を使ってくれたのね!
それにしても、足の怪我が完治しそうって言っていたし、良かったわ。
うーん・・。いつ告白しようかしら・・・・?
もちろん2人きりのときがいいわよね~。・・・・。
だめだ!すっごい眠い。帰ってきてほっとしたのか体の力が入らない。
もう明日考えよう・・・。
その後わたしはお風呂に入ってすぐに休んだ。ベットに入った途端すぐに
寝てしまった。とってもぐっすり眠れた。
朝起きて朝食をとっていると雷覇から手紙の内容について聞かされた。
「婚約をして欲しいと言ってきたのは、先々代から仕えてくれていた貴族連中でな・・・。冬羽国と友好的な関係を築く為婚約をして欲しいと言われた」
「そうなの・・・。国同士の問題となるとすぐに断るのは難しそうね」
「そうなんだ。婚約者本人にもやんわり断りを入れたがダメだった・・・すまない。怜彬」
「仕方ないわ。元々わたしが婚約期間延長を言い出したのが原因でしょう?」
「そうなるようにした俺の責任だ・・・。珀樹殿には何とか諦めてもらう」
「そうね・・・。彼女が諦めてくれれば婚約以外で友好的にできる方法を提案できそうだものね」
うーん。なかなかデリケートな問題だな~・・・。
どうするのが一番いいかしら?それに珀樹殿ってどんな人なのかしら?
わたしは食後のお茶を飲みながら様々なことに思考を巡らせた。
夏陽国と冬羽国は軍事産業を通じてお互いに
利益が出る形で関係が成り立っている。そうなればお互いにとってメリットとなるように
しないとこの問題は解決しない。
「怜彬・・・。怒っているのか?」
今にも泣きそうな顔で雷覇が手を握ってくる。
わたしがきゅうにだまっちゃったから怒ってると思っているのね。
「わたしは怒ってないわ!婚約の事は、雷覇殿も不可抗力だった訳だし・・・」
「いやその・・・。まだ名前に殿がついているだろう?」
「へっ?」
あっ!!そう言えば、1か月間だけ呼び方変えるって話だっけ。
ついつい、殿を付けて呼ぶ癖ついてしまったからそのまま呼んでしまってた。
「ごめんなさい。つい癖で。今日からちゃんと雷覇って呼ぶわ!」
そう言ってわたしは雷覇の手を握り返した。
「ありがとう!怜彬。嬉しいよ!」
とっても嬉しそうに笑う雷覇。よっぽど名前で呼んでもらえないのを
気にしていたのね・・・。まぁ雷覇が元々悪いんだけど。
だから余計に気になったのね。
「そう言えば珀樹殿ってどんな人なの?」
「うーん。白い・・・・女性だ」
「白い?どういう意味?」
「髪の色が真っ白なんだ・・・。あとは凄く大人しい女性だな」
「そうなの・・・」
雷覇の話だけじゃあどんな人か全くわからないわ!
これは直接会って話してみないとわからないな~。
「その珀樹殿って人に会えたりできる?」
「えっ?会うのか?怜彬が?」
「ええ。直接会って話した方がどんな人か分かるし、解決できる方法が見つかるかもしれないわ」
「怜彬が嫌じゃないならいいが・・・・」
「わたしは大丈夫よ!あと水覇殿ってもう帰ってきてる?」
「明日には帰ってくると連絡があったよ」
「じゃあ水覇殿にも相談した方が良いわね!彼の方が交渉事は得意そうだし」
「・・・。そうだな」
雷覇の急に空気が重たくなった。どうしたのかしら?
また水覇殿に怒られるとでも思っているのかしら?
「どうしたの?雷覇」
「いや・・・。自分が不甲斐ないと思ってしまってな」
「そんなこと・・・。気にすることないのに」
「今回の事も、怜彬を怒らせたと事も全部俺の失態だ。何とか自分で挽回したい」
強い眼差しで雷覇に見つめられる。
「雷覇が頑張るのはいい事だけど、人の力を借りることも大切よ?」
「怜彬・・・」
「一人で出来る事って限りがあるもの。でも水覇殿や黒綾殿に力を借りれば沢山の事ができると思うの!」
「確かに・・・。そうだな・・・」
「リョクチャ事業だって、雷覇の力を借りなければ上手く取引できなかったし、マーリンが助けてくれたから順調に進んでる!それは私一人の力ではできない事よ」
「怜彬はすごいな!そんな事を考えて行動してるんだな」
「ふふふ。こう見えても色々経験してきてるのよ?わたし」
「そうだな!怜彬の言うとおりだ。皆に相談して力を借りよう!」
「そうしましょう!わたしも協力するし皆の力を借りて解決しましょう」
「ありがとう!怜彬。凄く上手くいく気がしてきた!」
そう言って雷覇に抱きしめられる。わたしはポンポンと頭を撫でてあげる。
・・・・。今って結構いい感じの雰囲気よね?
今なら言えるかしら・・・・。あー。緊張する!!
「雷覇・・・。あのね・・・」
「ん?どうした怜彬」
からだをすこし離してわたしの顔を見つめる雷覇。
心臓が・・・。凄い音だわ!こんなに人ってドキドキするのね!!
「あの・・・わたし・・・・」
コンコン
そう言いかけたら扉の外からノックの音がした。
うえーん・・・。またタイミングが・・・。
「入れ」
雷覇が声を掛けて扉があいた。扉の向こうにはムツリが立っていた。
「雷覇様、朝食中失礼いたします。急ぎお知らせしたいことがございまして」
「どうした?」
「あ・・・。わたし席をはずそうか?」
「いや怜彬も一緒でかまわない。ムツリ続けてくれ」
「かしこまりました。先ほど冬羽国の使者がきて明日、珀樹殿が来られるそうです」
「そうか・・・。明日とは・・・また急だな」
「おそらくですが、怜彬様が帰ってきたと聞いて慌てたのでしょう」
怪訝な顔でムツリが話す。珀樹殿ってわたしと同じで
行動的な女性ね・・・。これは会うのが楽しみだわ!
「明日ならちょうどいい、水覇も帰ってくるタイミングだ。あいつにも同席してもらって珀樹殿と会おう」
「かしこまりました。そのように手配致します」
そう言ってムツリが部屋を出て行った。雷覇もさっきと違って表情が明るい。
きっと皆で解決しようと言ったことで吹っ切れた様子だった。
それにしても・・・・。あーあ。いいタイミングだったんだけどな~。
「これからどう相手を攻略するか考えないとね!」
「そうだな!まずは相手を知るところからだな。急いで珀樹殿事を調べさせよう」
「夏陽国の情報収集能力は凄いものね!」
「ああ!戦と同じで情報戦が全てだからな!」
「あっ!ちょっと雷覇に聞きたいことがあったんだ!」
わたしは密偵網について思い出した。人も運ぶことができたら最短で行き来できるものね!
「聞きたいことって?」
「あのね。雷覇が手紙で言っていた密偵網ってあるでしょう?あれを使って、夏陽国と秋唐国を行き来できないかな?」
「なるほど・・・。人を運ぶのか・・・」
顎に手を添えて雷覇が考え込む。・・・。やっぱり難しいのかしら?
「どうかな?」
「面白そうだな・・・。ちょっと考えてみるよ!」
「本当?ありがとう!雷覇!!」
やった~!これでもし密偵網を使えるのなら往復の移動がかなり楽になる。
お互いの国を行き来しやすくなるし、何かあってもすぐに帰れる。嬉しいわ!
よし!あとは珀樹殿をどう説得させるかよね!
まずは会ってみて珀樹殿がどんな人か知ろう!頑張るぞ~!!
わたしは心の中でガッツポーズした。
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