78.試飲会
秋唐国へ帰国して1週間。リョクチャ事業は順調に進んでいる。
今日はいよいよ、リョクチャの試飲会当日だった。
みんな喜んでくれるといいな~。リョクチャに合うお菓子も用意したし
ユノミもザガクから送られてきている。おもてなしの準備はばっちりだった。
「いよいよ今日ですね!怜彬殿」
興奮状態で話しかけてくる黒綾殿。
頬が赤くなって、目を爛々と輝かせている。
「ええそうね!とっても楽しみだわ。皆にリョクチャの良さを知ってもらえるもの」
「そうですね!今まで一生懸命準備してきましたし、絶対に成功させましょう」
「そうね!頑張りましょう!!」
今日招待する人たちは昔から懇意にしている人ばかりだった。
兄が国王として政治に関わってくれた人たちで怜秋が国王になっても見放さず
支えてくれた人たちだった。
10人ほどで少人数だが、秋唐国での影響力は大きい人物ばかりだ。
うまくいけば彼らが周りに伝えてくれるので宣伝効果抜群!皆に知ってもらえるいい機会になる。
場所は私の庭園で行うことにした。
今日は天気もいいし最高のお茶日和だわ!!
テーブルの上には、黒秦国の色とりどりの織物を敷き
ザガクから送ってもらったユノミや陶器を並べている。
あとはお菓子はわたしが昨日徹夜で作ったクッキーとお饅頭を置いて
今日摘んだお花も飾っている。
我ながら完璧だわ!!わたしはテーブルを見渡して大満足していた。
あと10分もすれば招待したお客様が来るだろう。
「姉さん、いよいよだね」
ニコニコしながら怜秋が話かけてくる。
「そうね!怜秋!とってもワクワクしているわ」
「こんな時でも楽しめる姉さんは本当に凄いよ・・・。僕なんか昨日からずっと緊張してる」
「もちろん緊張もしているわ!でもわたし一人じゃないもの。怜秋もいるし、黒綾殿もいる。だから大丈夫よ」
「そうだね!僕たち3人で作った試飲会だ。絶対に成功させよう!」
そう言ってわたし達はそれぞれの持ち場についた。
庭園へぞくぞくと招待客が入ってきた。
「怜彬様!本日はお招きいただきありがとうございます」
「ようこそ、お越しくださいました!おすすめのリョクチャをご用意しておりますので楽しんでくださいね!」
わたしはニコニコしながらお客様をもてなした。
黒綾殿は、テーブル付近でお客様に説明をしてもらって
怜秋には特に重要なお客様の相手をしてもらっている。
今回の試飲会は黒秦国の第二王子が一緒にいる。
という事もかなり影響が大きい。今までつながりのなかった国と接することのできる機会だ。
みんなもしかしたら、黒秦国と貿易ができる可能性がある。
黒綾殿の周りは常に人だかりができていた。
まんべんなく来てくれたお客様と話をし、リョクチャの良さをアピールした。
「とっても美味しいですわ!しかもユノミもかわいらしいですね」
「本当に!わたくし娘に持って帰りたいくらいですわ」
女性の好感度はばっちりだった。みんなとても気に入ってくれいている。
「このリョクチャは夏陽国の茶葉をしようしております。ユノミは春魏国の著名な商人から取り寄せました」
わたしは庭園をあちこちしながらみんなに説明して回っていった。
試飲会も無事終わり帰りにはリョクチャの手土産を渡した。
みんなとても喜んでいてくれた。なかにはぜひ買いたい!とまで言ってくれる人もいた。
「怜彬殿!大成功でしたね!」
「ありがとう!黒綾殿と怜秋のおかげよ!!」
「みんなお疲れ様!」
わたし達3人は手を取り合って喜びあっていた。
「これなら、販売しても大丈夫ね!」
「そうですね!みんな美味しいと言って飲んでくれてましたね!」
「黒綾殿の織物もすごく評判良かったですね」
みんな興奮ぎみで今日の出来事を振り返っていた。
ほんとうに成功して良かった~!苦労して準備したかいがあったわ。
来てくれた人たちから意見もたくさん貰った。見直す点も多かった。
この後、来てくれた人たちにお礼状を書こう!
「じゃあ、僕は先に戻って事務処理をするよ」
そう言って怜秋が帰って行った。
わたしと黒綾殿で反省会をすることにした。
「結構、リョクチャの淹れ方についての質問が多かったわね」
「そうですね!皆さん馴染みがない飲み物ですから」
「茶器も一緒に販売した方が良いかしら?」
「いいですね!淹れ方の説明書も一緒につけて販売してはいかがでしょうか?」
「いいわね!そうしましょ。さっそくザガクに見繕ってもらいましょう」
わたしは話し合ったことを書き留めながら話を進めた。
「あとは・・・。ユノミの下に敷く生地も注文が多かったわね」
「そうですね、形や大きさについて多く意見をもらいましたね」
「その辺は黒綾殿にお任せしてもいいかしら?」
「はい!大丈夫です!」
いつものいい笑顔で答えてくれる黒綾殿。
ほんとうに彼が一緒にいてくれてよかった。
「黒綾殿。本当に色々とありがとうね!」
わたしは黒綾殿の手を握ってお礼を言った。
「いっ・・・いえ。僕は怜彬殿の力になりたくて・・・」
「ふふふ。黒綾殿がいてくれれば心強いわ!」
「ありがとうございます・・・。怜彬殿にそう言ってもらえると嬉しいです」
照れて俯いてしまった黒綾殿。とっても素直で真面目な子。
こんないい子と出会えてわたしは本当に幸せだわ!
「これからもよろしくね!黒綾殿」
「はい!僕の方こそよろしくお願いします!」
「さっ!今日分かった課題を解決するためにどうするか決めてしまいましょ!」
「そうですね!ここで出来る事をやってしまいましょう」
それからわたした達は夕方まで話し合いをした。
この調子なら、少しだけだけど早く夏陽国へ行けるかも。
怜秋と黒綾殿が段取りよく仕事を進めてくれている
おかげでわたしの仕事も大幅に進んでる。2日くらなら早められるかも・・・。
早く仕事をして黒綾殿に秋唐国を案内しよう!!
せっかく来てくれてるんだもの。もっとわたしの国を知ってほしいわ!!
「黒綾殿!提案なんだけど、やる事が早く終わったら二人で城下街を見て回らない?」
「えっ・・・!!いいんですか?」
びっくりした顔で、黒綾殿が見つめてくる。
「うん。このペースなら早く終わりそうだもの。1日くらいゆっくりしてもいいと思うの。どうかな?」
「行ってみたいです!ぜひ!!」
「じゃあ決まりね!おすすめの場所を案内するわ!」
「怜彬殿!ありがとうございます!」
そう言って黒綾殿に抱き着かれてしまった。
ふふふ。よっぽど観光できるのが嬉しかったのね。
誘拐されるまで黒秦国以外は見て回ってことないって言ってたものね・・・。
「すっ・・、すいません!嬉しくてつい・・・」
顔を真っ赤にして黒綾殿がわたしから離れる。
本当に純粋なのね~、かわいい!!
「いいのよ!いつも怜秋ともしてるし。黒綾殿と仲良くなれて嬉しいわ」
「ぼ・・・、僕も嬉しいです・・・」
いやーん!!何なの!!その照れてる顔!!可愛すぎなんですけど!!
瞳がちょっとぬれてるかんじでほっぺも上気して赤い。
男の子ってことを忘れちゃうくらい可愛いわ。
「どこへ行くか楽しみにしておいてね!」
「はい!」
最終日が楽しみだわ。どこを回ろうかしら?
わたしは今から、どこを案内するか考えだしたのだった。
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