77.波紋
やっと更新できました!!(#^.^#)お楽しみいただけると幸いです!
「お嬢様。雷覇様からお手紙が届いております」
「えっ!?雷覇殿から?」
わたしが秋唐国に付いたのは昨日だ。
手紙が届くには早すぎると思うけど・・・。
わたしはリンリンから手紙を受け取った。
封筒を開けると、ふわっと香水の香りがした。
リヨウとスバルに作ってもらった雷覇と2人の香水・・・。
うーん爽やかないい香り!
『怜琳へ
無事に秋唐国に到着しているだろうか?
この手紙は怜琳が到着するタイミングで届くように
前もって書いておいた。びっくりしただろう?
これから毎日届くようにしている!楽しみにしていてくれ。
あと手紙はリンリンに預けてくれれば、最短ルートで俺の元へ
届くように手配している。
夏陽国の密偵技術を駆使すれば1週間ほどで届くだろう。
怜琳からの返事を心待ちにしている。
今日から毎日この香水をつけて過ごすよ。君のことを思い浮かべながら・・・。
秋唐国では元気で過ごしてくれる事を願っている。
雷覇より』
手紙が最短で届くなんて・・・。密偵技術をこんな事に使ってもいいのかしら?
だからか!前に毎日贈り物が沢山届いたのは!!
不思議で仕方なかったのよ。どう考えても普通は2周間はかかるもの!
それが毎日って・・・・。どんな魔法を使ったらできるの?って
ずっと疑問に思っていた。
まさかそれが、軍事レベルの技術を使用されているとは・・・。
雷覇の感覚って時々凄いわよね・・・。
っていうかいつの間にリンリンとそんな話になったのかしら?
驚くことばかりで、内容があまり入ってこなかった。
さすが・・・。銀獅子と言うべきか。
でも・・・。前よりシンプルな内容になっているため彼の気持ちが伝わってくる。
それがとっても嬉しかった。
「ふふふ。毎日手紙が届くんですって」
「良かったですね。お嬢様」
「っていうかリンリン!いつの間に雷覇殿とそんなやり取りしたの?」
「それは企業秘密です。お嬢様」
「えー!!どうしてよ!すっごく気になるわ!」
「それは・・・。内緒です」
そう言ってリンリンは出ていってしまった。
別に教えてくれてもいいのになー。まぁ内緒なら仕方ないか!
雷覇に手紙の返事を書こう!
わたしは筆をとって雷覇に返事を書きはじめたのだった。
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~夏陽国~
怜琳が秋唐国へ帰った次の日。
俺は早速、憂鬱になっていた。
「はぁ・・・」
今日は前に打診されていた、お見合いの日だ。
五神国の各国の主要の娘たちが一同に集められている。
数にして30人ほど・・・。よくもまぁこれだけ集まったものだ。
どの女性も俺に気に入られようと必死だった。うんざりだ・・・。
媚を売ってくるもの、色仕掛けで落とそうとしてくる者・・・。
純粋に俺の妻になりたいと思っている者は1人もいない。
ますます怜琳が好きだと再認識するだけだった。
とにかく!今日一日を乗り切ればこれで終わりだ。とにかく俺はひたすら我慢した。
一人一人軽く挨拶をかわし2、3分ほど話をする。それの繰り返し。
次から次へと俺の元に女性が連れてこられる。
今で半分くらいの女性と言葉を交わしたが、最初に話した女性はもう印象にない。
皆口々に自分がいかに妃に向いているかアピールしてくる。俺の話はお構いなしだった。
・・・。話しを聞いてもらえない、ただ話を聞くだけの事がこれほど苦痛とは!
改めて会話の重要性を認識した。
怜彬が、帰ってきたらもっと話を聞こう!!
おれはそう心の中で決めた。そう言う意味なら今日お見合いに来たかいがあったというものだ。
また一人・・・。一人と言葉を交わしていく。
最後の一人となった時、初めて向こうから質問をされた。
「雷覇様の好きなものはなんですか?」
真っ白な雪のような髪でも肌も真っ白。すべてが白く見えた女性だった。
瞳だけが、俺と同じ金色でキラキラしていた。
「わたしの好きなものは・・・。花を愛でる人だ・・・」
思わず本音で答えていた。
「花を愛でる・・・・。素敵ですね・・・」
にっこりと穏やかな笑みを浮かべて答える女性は、冬羽国の貴族の令嬢だそうだ。
他の女性に比べると好感が持てる。まぁ・・・。好きにはならないが。
「わたくし・・・。以前にも雷覇様にお会いしたことがあるんです。ずっと前ですけど」
「そうなのか・・。すまない。記憶にないな」
「いいんです!こうしてまたお会いできただけでも幸せですわ・・・」
「そうか・・・」
俯きながら、そう話す彼女は怜彬とは対照的で月のような印象だ。
静かに光を放ち、ひっそりとそこに存在する。そんな女性だった。
彼女とはそれだけ話して会話は終わり、お見合いが終了となった。
俺はサイガに車椅子を押されて会場を後にした。
「ふぅ・・・。やれやれ・・・。やっと終わった」
「いや~どれも綺麗でかわいい子ばっかりだったな!」
「誰もそんな風には思わなかった。ただ疲れただけだ・・・」
「やっぱりお前ってお姫様しか無理なんだな~」
若干、呆れたように話すサイガ。
そう言われても仕方ない。やっぱりどの女性を見てもサイガのような感想は出てこない。
みんな同じ、みんな同じ話し方。
「最後の女性は・・・。みんなと違ったな・・・」
ふと真っ白な女性が頭に浮かんだ。俺と会ったことがあると言っていた。
どこで会ったんだ?かなり前とは言っていたが・・・。
「へぇ~。珍しいな!お間がそんなこと言うなんて。あの人って冬羽国の、珀樹殿だろう?」
「珀樹殿?」
「かなり昔だけど、一時期お前の許嫁にどうだって話がでてたじゃないか?」
「えっ?出てたか?そんな話・・・・」
「うわ~。お前って本当最低だな。許嫁になろうとしたタイミングで他国からの侵略があって俺たちが戦に出て行って結局うやむやになって終わったんじゃないか」
物凄い汚いものを見るような目でサイガに睨まれた。
そんな話あったか?戦に出たことと言えばもう10年も前の話だ・・・。
「お前と話してる珀樹殿・・・。嬉しそうな顔してたけどな~。あれ絶対お前に好意あるよな!」
「そんな事ないだろう?普通に会話しただけだ・・・」
とは言ってみたものの、俺に会えただけで幸せとか言ってたな・・・。
10年前会ったことを覚えていて今日再会したことを喜んでいたのか。
そう思うと健気な女性だと思った。
「まっ!!お前はお姫様一筋だし、関係ないか!」
そう言って、執務室に戻り今まで通りの仕事をした。
怜彬が引継ぎをきちんとしてくれたおかげで
滞ることなく仕事が進んでいる。黒綾殿も同じだ。
本当にあの二人は仕事ができるんだな・・・。2人がいなくなって改めて実感した。
怜彬はもう・・。手紙を読んでくれているだろうか?
秋唐国に到着するタイミングで届くよう前もって手配した。
リンリンには怜彬の手紙を俺の部下に預けるよう伝えてある。
以前、秋唐国へ長期滞在したおりに築いた伝達網だった。
まさか手紙のやり取りに役立つとは思ってもみなかったが・・・。
仕事が終わったら、今日も怜彬へ手紙を書こう。
俺は彼女にどんな手紙を書こうか考えながら、仕事に打ち込んだ。
「はっ・・・?どういうことだ」
お見合いから3日後、会議の場で衝撃的な事実を聞かされた。
「先ほど申し上げました通りでございます。冬羽国の珀樹殿と婚約して頂きます」
先々代から国王を支えてきた貴族連中が足並みをそろえて告げてきた。
お見合いだけすればいいと思っていたが・・・。何かあるな・・・。
「俺はすでに秋唐国の第一王女の怜彬と婚約している。他の女性と婚約する気はない」
「あくまで婚約して頂くだけの話でございます。別に結婚するわけではございませんからよいでしょう?」
「何を言っている。相手に対して失礼だ。怜彬に対しても珀樹殿に対しても」
「向こうも承知の上での婚約でございます。問題はございません」
「向こうが良くてもこちらが迷惑だ。今すぐ断ってくれ」
俺は強い口調で伝えた。ふざけてるのか?
俺と怜彬の婚約は周知の事実だ。しかも国同士の問題もある。
冬羽国の珀樹殿は貴族の令嬢。かたや怜彬は王女だ。
当然、怜彬の方が身分は上。同じ婚約をするにしても最低限王族でないと
怜彬に対して失礼になる。
「なりません。冬羽国とは軍事的にも強いつながりが必要です。珀樹殿は武器製造において重要な最先端の技術を持っている家柄。今後の夏陽国の発展の為に必要な関係です」
「関係性を築きたいなら何も婚約でなくてもよいだろう。政治的に条約を結べばいい」
「向こうのご両親のご意向がどうしても雷覇様との婚約とおっしゃるのです。ここはひとまず承諾くださいませ」
貴族連中は次々に俺を説得しようと理由を述べてくる。
全くもって平行線だった。話にならない!
2人の女性と婚約する?馬鹿げてる!相手の意向など知ったことか!
夏陽国は一夫多妻制ではないが、禁止をしているわけでもない。
元々、双子が生まれやすい家系のため後継ぎ問題がなく側室を持つ必要性がないのだ。
だから俺の親父も祖父もたった一人の妻を愛し側室を持たなかった。
「とにかく!俺は怜彬以外の女性と婚約する気はない!」
「その怜彬様との婚約期間は3年というではないですか・・。長すぎます。その間に結婚して世継ぎをお作りすることもできます。時間の無駄でございす」
「婚約期間に関してはわたしに非があっての事だ。最長3年というだけで、期間が短くなる可能性もある。そなた達が口を挟むことではない!」
そう言って車椅子を漕ぎだし部屋を出た。困ったものだ。
まさか婚約期間延長がこんな事になるなんて・・・。
身から出た錆だとしても、こうも強引に話を進めてくるとは。
・・・。こうなったら俺の方からも動かないと問題解決はできないな。
「ムツリ!」
「はい。雷覇様」
俺は執務室に戻ってムツリを呼び出した。
先ほどから、怒りで奥歯のほうが苦く感じる。
だか、冷静に対処しないととんでもない事になる。
俺は深く深呼吸した。
「冬羽国の珀樹殿を呼び出してくれ」
「珀樹様をですか・・・。よろしいのですか?」
怪訝そうな顔でムツリに問われた。
「問題ない。貴族連中に言っても埒が明かない。こうなったら直接本人に言うしかない」
「かしこまりました。早急に手配致します」
「ああ。頼む」
俺は椅子に深く腰掛けてどう彼女を説得させるか?
今後の両国の関係に影響を出さないようにするにはどうしたらいいか?
ひたすらを考え続けた。
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