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75.変化


「わたしの香水はね!3つとも素敵だったから全部お願いしたの!」


「そうか!気に入ったのができてよかったな」


リヨウとスバルからサンプルを見せてもらった日、わたしは雷覇らいは

どんな香水だったか話をしていた。

寝室のベットの上で、2人で座って並んで話をしている。


「俺達の香水はどんな香りだった?」


雷覇らいはがわたしの頭を撫でながら尋ねてきた。


「とっても爽やかな香りのものを選んだわ!お庭を2人で散歩しているイメージしたんですって」


「ほぉ…。どんな香りなのか楽しみだな!」


ニコニコしながら、雷覇らいはがわたしの話を聞く。

寝る前にお互いのことを話すのは日課になっていた。

今日は特に一緒にいる時間がなかった。

わたしは一日あったことを雷覇らいはに話していた。


「そういえば!雷覇らいは殿っていつからわたしを好きなの?」


「えっ?…」


それまで饒舌に話していたのに、急にしどろもどしだす。

そんなに答えづらい事聞いたかしら?

まぁ…。無理に聞かなくてもいっか!


「別に無理に答えなくていいの!今日、スバルとリヨウと話していて気になったから…」


「いや!答えづらくは無いんだが…。いざ聞かれると照れるな」


急に顔を赤くして頭を掻きながら照れる雷覇らいは

えー!!そこで照れるの!!そんなに恥ずかしい話なのかしら!!


「そうなの?照れるほど恥ずかしい話なの?」


「そんな事はない!…恐らくだが4年前の輿入れの時だよ…」


「え…?そんな前なの…?」


ちょっとびっくりした。しかも4年前の輿入れのときって…。

わたしが炎覇えんはに嫁いてできた時だよね。


「あの時、輿から出てくる怜琳れいりんを見て、凄い衝撃を受けたのを今でも覚えてる…」


雷覇らいは殿…」


怜琳れいりんの話は噂で聞いてた。傾国の美女、宝石の妖精…。どれも半信半疑だった。それが本当だと思った瞬間だったよ」


「そうなの…」


「親父と同じだよ。怜琳れいりんをひと目見て好きになったんだ…」


「でも…。一緒にいる時はそんな感じではなかったわ…」


どちらかと言うと友達みたいと思っていた。凄く気さくに話してくれてたし。


「最初は、親父の奥さんだし…。俺もギャップでびっくりしただけですぐに諦められるとおもった…。でも無理だった。気がついたら怜琳れいりんを目で追っている自分がいた」


「…」


「2人を邪魔しようなんてちっとも思ってなかった。むしろ…。お似合いだと思ってたし。俺は怜琳れいりんを見てるだけで良かった」


「そうだったの…」


「でも親父が死んで…。怜琳れいりんが凄く傷ついていて、なんとか支えたいって思った。少しでも繋がりが欲しくて手紙も沢山書いた…初めてしたよそんなこと。思えばこの頃から、本気で怜琳れいりんを好きになったと思う」


苦笑しながら雷覇らいはが話してくれる。

内容がよくわかない手紙を書いていたのはそのせいだったのね…。

体力をつけるには…とか、丈夫な体になるためには…とか。


雷覇らいは殿の手紙には凄く励まされたわ…。いつも内容がぶっ飛んでいて…。くすって笑ってたわ…ふふふ」


「えっ?そんなにおかしい内容だったか?」


びっくりしたように雷覇らいはが聞いてくる。

自覚なしなのね…。まぁ、真っ直ぐな人だものね。本気だったのね。


「だって鹿の肉が良いとか、体の鍛え方とか…。まったく…女性に送る内容じゃないわ」


「あー…。あの頃は…。本当に何を書いていいか分からなかったからな…。うわー。恥ずかしいな…」


「でも、炎覇えんはのことを考えずに済んだわ。少なくとも手紙を読んでいる時だけは」


怜琳れいりん…」


「あの時は本当に毎日辛かった…。寝ても覚めても炎覇えんはの事ばかり考えていたもの…」


「そうだったのか…」


「でも今はもう平気!毎日楽しいもの!!」


「それなら良かった…。怜琳れいりんが笑顔でいてくれるのが一番だ」


そう言ってそっと頬に口づけされた。

今なら…。教えてくれるかしら…。

わたしは思い切って、雷覇らいは聞いてみることにした。


「そういえば!雷覇らいは殿が剣術にハマっていったのって、10歳のときなんでしょう?今日聞いたわ!」


「ああ。あいつらに聞いたんだな…。そうだよ。10歳の頃から凄い勢いでのめり込んでたな」


「小さいのに凄いわよね!何かきっかけがあったの?」


わたしは努めて明るく振る舞った。

ポツリ、ポツリと雷覇らいはが思い出しながらゆっくり話してくれる。


「きっかけか…そうだな。母親が亡くなって…毎日つまらなくなったんだ。あんなに明るい人がいきなり居なくなると、毎日をどう過ごしていいか分からなくてな…それでのめり込んだとおもう…」


「そうなの…その時はどんな事をしていたの?」


「毎日素振りしたり…。型の稽古をしたり…剣術を磨けるならなんでもしたよ…」


「すごいわね…。毎日するなんて」


「俺が唯一、夢中になれるものだった…。聞いたかも知れないが、稽古で一度も母に勝てなくてな…。強かった母を思い出しながら剣術に打ち込んでいた」


雷覇らいはがそっと手を重ねてきて、ぎゅっとわたしの手を握る。

つらそうには見えないけど…。寂しそうだわ…。

やっぱりお母様の事を考えると辛いのね。そりゃあ…。そうよね。


「それが功を奏して、俺は異例の速さで戦場へ行った…。15歳が初陣だった。本当は18歳の成人を迎えてからなんだがな…」


「そうだったのね!凄いわ!どんな15歳だったの?」


「とにかく、戦の事ばかり考えてた。寝ても覚めても…いかに早く勝つか?いかに味方の被害を少なく勝つか?…毎日、毎日…戦術書を読み漁ったり…。強いやつを見つけては稽古を一緒にしてもらっり…」


「その頃から銀獅子ぎんししって呼ばれてたの?」


銀獅子ぎんししと呼ばれだしたのは、18歳の時だ。一番大きな戦で、大勝利を収めたからな…。国をあげて大々的にお祝いしてもらったのを…覚えてる」


自分の手のひらを見つめながら話す雷覇らいは

国を守ることに人生を注いでいるように感じた。

きっとそれが雷覇らいはとっての生きがいになっていたのね…。


「すごいわね!本当なら初陣で戦にでる年齢でしょ?」


「そうだな…。まぁ…。それしかしてなかったしな…。思えばあの頃サイガによく怒られてた。もっと他のことをしろって…」


「サイガが…。雷覇らいは殿のこと心配していたのね」


「どうかな?あいつはいつも…ズバズバ言ってくるから…女の子に振られた時も、ちゃんと大事にしてやれって…言われたな…今も思えば当たり前だが、あの頃は何で俺が?っておもってたな」


「みんな同じに見えるって言っていたそうね…。リヨウが言ってたわ」


「そうだな。誰を見ても話をしても、何も感じなかった…。だから付き合ってと言われてもいつもは断るんだ…時々どうしてもって言って付き合ったこともあったが…結局最後は俺が振られるんだけどな」


「そうなのね…。その子達は残念ね!雷覇らいは殿はこんなに優しいのに…」


「ありがとう…。怜琳れいりん。でも当然の結果だと思う。大事にしてこなかった。好きだと言う気持ちを…汲んでやれなかった…だから…怜琳れいりんが初めてなんだ」


雷覇らいは殿…」


真剣にこちらを見る金色の瞳…。

前は凄く怖かったけど、今は怖くない…。綺麗な瞳。


毎日怜琳れいりんの事を考えて…。胸が高鳴った…。初めての体験だ…。今まで戦場以外でそんな事を感じたことなかった…。どうやったら好きになってもらえるのか?振り向いてもらえるのか…」


雷覇らいはの言葉にどんどん、熱がこもっていく。

わたしはそれに比例してわたしもドキドキしてくる…。

目が逸らせない…。


「多分…この先怜琳れいりん以上に好きになれる人なんていない…。きっと最初で最後だ」


雷覇らいは殿…」


胸がいっぱいで何も言えなかった…。

はじめて彼が本当にわたしを本気で好きなんだと理解した気がした…。

今までにないくらい雷覇らいはの気持ちが伝わってくる。


怜琳れいりんが変えたんだ…。こんな俺を。今は凄く楽しいよ…あの頃よりも輝いて見える。どんな事をしていても君を思えば明るくなる…」


「…ありがとう。雷覇らいは殿」


「お礼を言うのは俺の方だ…。怜琳れいりん…君と出会えてよかった」


そう告げると雷覇らいはの顔が近くなる。

気がついたら口づけを交わしていた…。

あの事件があってから初めてだった。とても温かくて優しい…。


雷覇らいは殿…わたしも、あなたに会えて良かったわ」


伝えたら、雷覇らいはがくしゃっと笑った…。

わたしが好きな顔。少年みたいで眩しい笑顔。

雷覇らいはのことを聞けてよかった…彼をちゃんと知れてよかった。


雷覇らいは殿、たくさん話してくれてありがとう」


「俺も聞いてくれてありがとう…怜琳れいりん。会話ってこんなに大事なんだな」


「ふふふ。そうね…。雷覇らいは殿はいつも話しを遮るもの」


「う…。その点については反省してる。すまない」


わんこ雷覇らいはになってしょんぼりしてる。


「今ちゃんと聞いてくれているから大丈夫よ!こらからも沢山話しをしましょうね!」


「ああ。俺もちゃんと聞いて話すよ。もっと自分のことを」


「うん!」


その日は遅くまで2人で沢山の話をした。

雷覇らいはが変わった…。変わろうと努力している。

とっても嬉しかった。わたし達は笑いながら眠りについた。

最後までお読み頂きありがとうございます!

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