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70.必要なもの


お城を飛び出して1週間。ようやくマーリンの許可も出たため

雷覇らいはの所へ戻ることになった。

本当に2人には感謝だわ!!わたしの為に時間とってくれたんだから…。

マーリンに至っては、滞在期間を延長して残ってくれていた。

本当にありがとう!!マーリン!!


お城に着くとムツリが出迎えてくれた。


「お待ちしておりました。怜彬れいりん様。雷覇らいは様は応接室にいらっしゃいます」


「ただいま。ムツリ。長い間留守にしてしまってごめんなさい…」


「いいえ!怜彬れいりん様は何も悪くありません!全て雷覇らいは様が悪いのです」


ズバっとムツリが言い切る。これはそうとう怒られたんだろうな…。雷覇らいは


「ありがとう。さっそく雷覇らいはのところへ行くわ!できれば2人で話をしたんだけど…」


「かしこまりました。お2人で話ができるように致します」


「助かるわ!」


応接室の前でわたしはマーリンと、黒綾こくりょう殿と別れた。

2人とも頑張ってと応援してくれた!

よし!!雷覇らいはとちゃんと会話しよう!

それが今日のわたしの目標だった。


わたしはドキドキしながらノックする。


「どうぞ」


扉の向こうで雷覇らいはの声がした。

久しぶりに聞く彼の声だった。


「…。雷覇らいは殿。ただいま戻りました」


怜彬れいりん…」


雷覇らいはが車椅子でこちらに向かってくる。

あれ?なんか足の固定が凄くなってない?

わたしは思わず足に目が行ってしまった。


怜彬れいりん。ほんとうにすまない!俺が悪かった!」


張り詰めた声で雷覇らいはが頭を下げながら謝罪する。


雷覇らいは殿。本当にわたし怒ってるんですからね!!」


わたしは腕を組みながら強めに言った。

もう許しているけど、ここで甘い顔をしたらまた同じことになるもんね!


怜彬れいりんが怒って当然の事をした。本当なら…。婚約破棄されても仕方ないと思っている」


苦しそうに顔を歪めながら雷覇らいはが話し出す。

うーん。さすがに婚約破棄までは思わなかったけど…。


「本当に反省してますか?わたしがあの時どう思ったかわかりますか?」


「…。俺なりに考えた…。いつも自分の事ばかりで怜彬れいりんの気持ちを汲んでなかった。すごく、恥ずかしい思いをさせたとおもう…」


おお!やっとわたしの気持ちを考える気になったのね。

よしよし。ちゃんと反省してそうね!!


「そうです。あの時は非公式とはいえ仕事の話をするために、皆に集まって貰ってました。それなのにあんな事をして…。本当に嫌でした…」


「すまない…」


「もう絶対あんなことしないって誓えますか?」


わたしは膝を曲げて、雷覇らいはの目線に合わせた。

ちゃんと彼の目を真正面から見たかった。


「しない。もう絶対に!」


雷覇らいはも真っ直ぐにわたしを見つめる。

凄く真剣なことはよく分かった。


「だったら、許します!条件付きですけど!」


わたしはニコッと笑って返事をした。

ここからが大事なところですよ~!!


「わかった!全て怜彬れいりんの言うとおりにする」


「じゃあさっそく伝えますね!」


そう言いながら私は応接室の椅子に座った。

雷覇らいはは横で少し距離を空けて座っている。

うん。うん。ちゃんとお利口にできてるわね!!


雷覇らいは殿にお願いする条件は2つです。1つは婚約期間を3年に延長してください」


「わかった」


「…。意外とあっさりですね…」


「婚約破棄されるよりましだ。怜彬れいりんの婚約者でいられるなら嬉しい」


「わかりました。2つ目は、ちゃんとわたしと話をしてください…」


わたしは雷覇らいはの手を握って伝えた。


怜彬れいりん…。本当にそんな事でいいのか…?」


雷覇らいははいきなりお水を掛けられたみたいにびっくりした顔をしていた。

いったいわたしがどんな条件を言うと思ってたのかしら?


「今回の事で思ったの…。わたし達に足りないものは会話じゃないかって…」


雷覇らいはが手を握り返してくれる。


「俺も同じことを考えていた…。俺はいつも自分の事ばかりで怜彬れいりんの事を知ろうとしていなかったって…」


雷覇らいは殿も?」


「ああ。怜彬れいりんに自分の気持ちを伝えることに必死になって、君がこの4年間どうすごしていたのか?どんな気持ちでいたのか…。全く考えていない事に気が付いたんだ」


「そうね…。雷覇らいは殿はいつもわたしが話す前にスキンシップが凄いから…」


「本当にすまない…。これからはちゃんと怜彬れいりんの話を聞くしスキンシップも控える。だから嫌いとか…言わないでくれ…」


ぐっと手を握って乞うようにわたしを見てくる…。

雷覇らいはなりにちゃんとわたしの事を考えてくれたことが嬉しかった。


「わかったわ…。あの時はカッとなってごめんなさい。ほっぺも痛いでしょう?」


わたしは雷覇らいはの頬に触れた。

まだ少し赤くなっていた。

思いっきり引っぱたいたもんな~。


「これくらいどうってことない。怜彬れいりんの気持ちに比べたら…」


「じゃあ…。これからはいっぱい話をしてね…わたしもちゃんと伝えるから」


「ああ。ちゃんと怜彬れいりんの話を聞くよ…戻ってきてくれてありがとう。怜彬れいりん…」


「ただいま!雷覇らいは殿!」


そう言ってわたしは雷覇らいはをぎゅっと抱きしめた。

いつもの雷覇らいはの香りがした…。

雷覇らいはもそっとわたしを抱きしめてくれる。

とっても懐かしい感じがした。1週間しか離れてなかったのに…。


「そういえば…。足の怪我どうしたの?酷くなってない?」


「ああ。また足の骨にヒビが入ってしまった…」


とっても申し訳なさそうに雷覇らいはが言った。


「ええ!!またヒビが入ったの!!もう~。せっかく治りかけてたのに」


「面目ない。あの時とっさに立ったのがまずかった…。医者にも怒られたよ」


「当り前よ!雷覇らいは殿は国王なのよ?いつまでも車椅子生活するわけにはいかないのに!!」


「う…。ごめんなさい…」


俯いてしょんぼりする雷覇らいは

こういうわんこ雷覇らいはになるところはかわいいのに…。

なんで、いっつも本能的にうごくかな~。


「しばらくは安静にしてね!!絶対に無理しないでね!」


「はい。わかりました…」


「よしよし。わかってるならいいの」


そう言いながらわたしは雷覇らいはの頭をなでなでした。


怜彬れいりん…」


「なあに?」


雷覇らいは殿呼びはいつまでだ…?」


あ…。やっぱり気にしてたのね!


「うーん。あと1ヶ月かな?」


「そんなに!!ちょっと…長くないか…」


愕然とした顔で雷覇らいはに言われた。


「ダメよ!人前ではしないって約束やぶったの雷覇らいは殿なのよ?なんなら、ずっと雷覇らいは殿って呼んでもいいんだから!」


「わかりました。1ヶ月でいいです…すいません…」


「わかればいいの」


ふふふ。今回の事も無駄にはならないわね!

ちゃんと話もしてくれるって言っているし…。

雷覇らいはもスキンシップを控えてくれるし。

いい感じで収まってよかったわ!!


「じゃあ、怜彬れいりん。さっそく君の話を聞かせてくれ」


「ええ。いいわよ。何が聞きたいの?」


そのあとしばらく2人でたくさんの話をした。

雷覇らいはの子供の時の事、わたしがこの4年間何を感じていたのか。

はじめてちゃんと話をしたと思う…。

彼の事がたくさん知れて嬉しい。

これからも、沢山話をしようと思った。


最後までお読みいただきありがとうございます( *´艸`)

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