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68.3本のバラの花

バラの花って本数で意味がちがうんですね…。

初めて知りました!!!(^^)!


*-------------------------------------*


「4年前の怜彬れいりん様は本当に、何も感じないようにされていました。まるでこの世の全てを拒絶しているように…」


苦しそうに顔を歪ませながら、ラカンが話し出す。


「それを私やリンリンは見守る事しかできませんでした。ですが、雷覇らいは様と再会されてからは、毎日とても楽しそうな表情をしておられました。小さい頃からよく見ていた笑顔に戻ったのです…」


「そうだったのか。俺は…何も知らなかった…」


「それも当然です。怜彬れいりん様は上手に隠してしまわれますから。だから…。雷覇らいは様!どうか怜彬れいりん様を諦めないで下さい!!」


必死に懇願するようにラカンが俺に近づいてくる。

こんなに感情的な彼を見るのは初めてだった。


「やっと…。やっと怜彬れいりん様が、立ち直ったのです!簪を手放したという事は、過去を乗り越えたという事です!」


「ラカン殿…」


怜彬れいりん様はやっと前に進まれた…。それがどれほどの喜びか…」


きっと彼も苦しんだのだろう…。この4年間ずっと…。

怜彬れいりんを小さい頃から見てきた彼の事だ。

親父のことはものすごく心配だっただろう。


「どうかこれからも怜彬れいりん様を宜しくお願い致します!!」


そう言ってまたラカン殿にまた頭を下げられた。

俺は慌てて彼を戻した。


「ありがとう…。ラカン殿にそう言ってもらえると嬉しいよ」


そう言って俺はラカン殿と握手をした。

もう一度、怜彬れいりんと会って謝ろう!

ちゃんと反省していることを伝えよう!そう思った。

俺は早速、怜彬れいりんに手紙をしたためた。


*-------------------------------------*



目が覚めると、見慣れない天井を目にした。…。


「頭痛い…」


思いっきり二日酔いだった。

昨日の夜、マーリン達とお酒の美味しい料理屋さんを見つけて入った。

どれだけ飲んだのかわからない。

黒綾こくりょう殿は意外と強くて、わたしのお世話をしてくれていた。

マーリンに至っては水のようにお酒を飲んでいた。

うう…。まぁ…。昨日、一昨日よりも気分はましか…。

頭痛いけど…。


雷覇らいはに思いっきりビンタを食らわせてから2日目。

未だに彼と会う気にはなれないが、少し怒りが落ち着いてきた。

足…。大丈夫かしら?あの時普通に立ってたわよね…。


「怪我…。ひどくなってないといいけど…」


机の上に置いてある、金色の髪飾りを見て手に取った。

これを作ろうと言った時の雷覇らいははとても嬉しそうな顔をしていた。

穏やかな表情でわたしを見つめる目…。

雷覇らいは…。わたしが好きになった二人目の人…。


「どうしていつも待ってくれないのかしら…」


いつも、いつも…。わたしの事を待つと言っておきながら

自分の気持ちを抑えることが出来ない。

感情のままにわたしに触れてくる…。

それは嫌ではない。雷覇らいはに触れられるのはわたしも嬉しい…。


でも、一昨日のアレはないわよね~。

はぁ…。本当に!ほんと~に!!恥ずかしかったんだから!

二人きりの時でさえ、心臓が止まりそうなくらい恥ずかしい。

それを他人に見られるなんて…っ!!

どんな罰ゲームよ!…。でも…。

それくらい嬉しかったのよね。わたしがこれを身に付けたことが…。


手の上でキラキラ輝く髪飾り。

光に当たるたびに細かい光が反射して輝いている。

よし!!雷覇らいはのアレは病気だと思おう!!

もう治らない、一生付き合って行かないといけない病気!


「今度から、人前でしたら1週間、寝室別にしてもらおう!」


そう言ったたぐいの条件なら効果抜群な気がした。

今の彼なら何も言うことはできないだろう。

反論できる余地などない。今回の件は完全に雷覇らいはが悪い。


それなら、今後を見据えて条件を出した方が良い気がする。

わたし自身も、もう雷覇らいはとは離れられない。

やっぱり彼が好きだった。

きっと会えば許してしまうだろう…。そんな気がしている。


「はぁ…。わたしも病気ってことね…」


ベットに横になって、彼といた時を考えた。

傍にいると心地良い。ホッとする…。

彼に触れられると胸が高鳴って、体中が熱くなる…。

ううう。やっぱり駄目だわ…。もう会いたくなってきてる…。

ダメ!ダメ!我慢よ!!

ここで会ったら絶対!!今後の為にならないわ。

ずっと一緒にいるなら、ちゃんとしないと!!


「人前で触れたら、1ヶ月間、わたしに口づけ禁止とかどうかしら…?」


そうなったら絶対に、叱られた犬みたいに落ち込むだろう。

ふふふ。そう考えたら少し可哀想な気もする…。

かわいいだろうけど。わんこ雷覇らいは…。

でもでも!何でもかんでも許すと一昨日の事のようになりかねない。

非公式だったからまだ良かったものの、あれが公式の場なら最悪だ。


「それとも婚約期間延長してもらう?…。それもありかもね!どうせ怜秋れいしゅうが反対しているからできないし!」


うん!そうしよう!!

今回の罰として婚約期間の延長。あと2、3年は延ばしてもらおう。

そして人前で触れたら、1ヶ月間、わたしに口づけ禁止!!

これに決まりね!!よし。よし。これならあんな事態はさけれそうね!!


「あー!!スッキリした!そう思ったらお腹すいちゃった」


そう思って立ち上がったときに扉をノックする音が聞こえた。


怜彬れいりん様。お届け物が届いております」


お届け物…?なにかしら?


「ありがとう」


扉を開くと、旅館の従業員が立っていた。

わたしはドアを開けて、荷物を受け取った。

手紙をみると、雷覇らいはからだった。

居場所…。バレているのね…。さすがだわ。


怜彬れいりん


一昨日の事は本当にすまない。俺が悪かった。

自分の愚かさを猛烈に反省している。

だから…。どうか帰ってきて欲しい。

もう一度ちゃんと君に会って謝りたい。


どれだけでも待つから、俺のところまで帰ってきて来てくれ。


雷覇らいはより』


「本当に…。ばかね…雷覇らいは


自然と顔がほころぶのがわかった。

わたしが帰るところは雷覇らいはの所だけなのに…。

わたしの気持ちをちゃんと聞かないからこうなるのよ?

手紙には彼の香水が振りかけられていた。

いつものシトラスの香り…。


手紙と一緒に花も3本添えられていた。

綺麗な真っ赤なバラの花だった…。なんで3本なんだろう?

確か送る本数で意味が違っていたはずだ。

バラの花3本って…。花言葉は…。


「愛しています」


意味がわかった瞬間、ぶわっと体中が熱を帯びるのが分かった。

ほんとうに…。ばか…。

わたしはもう一度、手紙を顔に近づけて香りを嗅いだ。



その日は午後から、マダムベリーのお店に行くことにした。

旅館で軽くご飯をたべたあと、わたし達はお店に向かった。


夏陽国かようこくで一番のオーダーメイドの服を手掛けるお店。

雷覇らいはも小さい頃からお世話になっていると言っていた。

マダムベリーのお店は大通りの、一番目立つ場所に立っていた。

見た目が大きな洋館のような佇まいで、白と青を基調とした落ち着いた雰囲気だった。


「いや~ん♡ワクワクするわね!」


朝から楽しみにしていたマーリン。

やっぱり同じデザイナーとして、刺激されることもあるのかしら。


「まぁまぁ!いらっしゃいまし!!怜彬れいりん様~」


いつものパワフルなオーラで、マダムベリーが出迎えてくれた。


「一昨日はお見苦しいところを見せてしまって、申し訳ございません」


わたしは深く謝罪した。

せっかく時間をあけてきてくれていたのに…。

わたしはその場から出て行ってしまったのだ。最低だ…。


「いいですのよ~!!お気になさらないでくださいまし♪わたくしとしましては、とてもいいものを見れましたわ~」


ものすごいいい笑顔で、マダムベリーが話してくれた。

あー!!昨日の口づけの場面見られてたのよね!!

ぐふぅ…!!今さらながら、ダメージが…。


「やはり!小説の通り、お熱い二人の関係!ほとばしる愛!!素晴らしいですわ~」


「はぁ…」


あああ!そうだった!

マダムベリーって()()小説のファンだったんだ!!


「れいちゃん、小説ってなんの事~?」


「何でもないの!!気にしないでマーリン!!」


「こちらの小説でございますわ~」


持ってんのかい!!

ぎゃー!!やめて!!お願いします!!


わたしは止めようとしたけど遅かった。

マーリンと黒綾こくりょう殿に手渡されて

二人は小説を見てしまった…。うう…。

もう終わりよ。破滅だわ…。


「凄い小説ですね!!夏陽国かようこくではこれが人気なのですか?」


「やだ~♡すごく面白いじゃな~い!!」


「そうでしょう?今この国で一番流行っている小説ですわ~♪オホホ~」


もう…。その場で倒れそうなくらいの眩暈を覚えた。

やめてください。お願いします。

それからしばらくの間、わたしは絶え間ない辱めを受けることになった。

トホホ…。


落ち着いたところでお店を見せてもらい、陶器の商人を紹介してもらうことになった。

かなりの高齢の方らしいが、長年の経験から見る目があり

マダムベリーが最も信頼している人だそうだ。

そんな人を紹介してもらえるなんて!!

雷覇らいはとの信頼関係があるからだろうな…。


「わたくし、小さいころから雷覇らいは様を見ておりますが、あんなに幸せそうになさっているのは初めてですわ~」


おもむろに紅茶を入れながらマダムベリーが話し出した。

今、マーリンと黒綾こくりょう殿はお店の商品を見ていていなかった。


「そうなんですか?」


「はい♪そもそも女性に物を贈るなんて初めてですわよ~。うふふ」


「え…?そうなんですか?」


「はい。雷覇らいは様はとても女性にモテていらっしゃいましたが、どの女性とも長くは続かないようで…。いつもフラれると言っておられましたわ~」


「へぇー…」


何だか意外な気がした。

雷覇らいははとても優しいし、愛情深い人だ。

好かれた女性はきっと幸せになると思うのだけれど…。

っていうか、マダムベリーの情報網凄いな!!

誰に聞いたんだろ?


雷覇らいはって、経験豊富そうに思ってました…」


「数は多いでしょうが、真剣に愛したのは怜彬れいりん様だけですわ~。だから、わたくし嬉しくって…」


「マダムベリー…」


「小さい頃から真面目で、何事にも一生懸命で…。特に剣のお稽古は大層力を入れておられましたわ~!!」


「そうなんですね…」


そんな話は聞いたことがなかった。

いつも話をしようとすると、あの甘々フェロモン攻撃が待っている。

これは…。まずわ。コミュニケーション不足だわ!!


「おこがましいですが、自分の息子のように見守ってまいりましたの…。その雷覇らいは様が、とても幸せそうで…わたくしもとっても嬉しんですのよ…」


マダムベリーが愛おしい物を見つめるように手元のティーカップに目を落としながら話した。

きっと雷覇らいはの事を想っているのだろう…。


「だから…。怜彬れいりん様!雷覇らいは様の事をよろしくお願いいたしますね!」


そう言ってぎゅっと手を握り締められた。

マダムベリーがどれほど、雷覇らいはの事を大切に想っているかが伝わってきた。


「分かりました!マダムベリー!わたし、雷覇らいはを必ず幸せにします!!」


「ありがとうございます!怜彬れいりん様…」


雷覇らいはって人気者なのよね。

街を歩けばみんなが雷覇らいはの事を褒め称える。

悪口を言う人は一人もいなかった。

マダムベリーがとても大切に想っていることが聞けて良かった。

きっと、わたしと二人きりの時に言いたかったのね…。


マダムベリーがとても雷覇らいはの事を思っていることがわかって、

わたしはますます雷覇らいはに会いたくなってきたのだった。

最後までお読みいただきありがとうございます( *´艸`)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] マダムベリーのお店はお踊りにあると書いてありますが大通りの間違えではありませんか? [一言] 何時も楽しく読んでいます。 雷覇はもう少し理性が働き成長すると良いですね! 今のままだと怜…
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