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66.交錯

やっと更新しました!ヽ(^o^)丿


マーリンが来て2日目。わたしたちは具体的な計画を立てることにした。

決めること、やらないといけな事は山ほどある。

マーリンも暇じゃない。マーリンが滞在できるのは1週間。

彼女がある滞在している間に決めれるものは決めてしまおうという事になった。


「マーリンに教えてほしいことはまず商売を初めるにあたって必要なことよね!」


わたしは、3人の前で具体的な計画書を提示しながら説明する。


「そうね~。まずは役割分担を決めちゃいましょ!」


「分かったわ!まずは茶葉の仕入れや、取引、交渉は雷覇らいはで、茶器の包装する布関係、計画の進行の確認を黒爛こくらん殿にお願いするわ!」


「それから、マーリンには販売ルートの確保や、茶器の取り扱いをしている商人の紹介。わたしは全体の総括と、秋唐国しゅうとうこくで販売するための準備をするわ!」


「いいんじゃないか?」


「僕も問題ないと思います!!」


「私もそれでいいわ♡バッチリよ!れいちゃん」


わたしはそれぞれに仕事を割り振って、担当を決めた。

うん。うん。順調ね!!やっぱり誰かと何かをするのって楽しいわね!!

マーリンはすでに事業をいくつかやっているから、適切なアドバイスや

指摘をしてもらえることが頼もしかった。

皆、元々仕事のできる人達だ。自分のやることがわかっていれば

わたしが細かい指示を出さなくてもきちんと仕事を進めてくれている。


怜琳れいりん。茶器のことなんだが、マダムベリーなら何人か紹介してくれると思うぞ」


「えっ?本当?マダムベリーが?」


わたしがマーリンと茶器について話し合いをしている時に

雷覇らいはが教えてくれた。

マダムベリーは、様々な場所で洋服を提供しているため

とても顔が広んだそうだ!!さすが、商売上手なマダムベリー!!


「あら♡マダムベリーならわたしも、噂は聞いたことがあるわ!とても繊細なデザインでなおかつ大胆なお洋服を作るって!」


「マーリンも知ってるんだ!凄いね!隣の国なのに…」


「彼女はとても信頼が厚い人だからな。さっそく呼び寄せて話をしよう!」


「ありがとう!雷覇らいは。よろしくね!」


雷覇らいはが嬉しいそうに笑って席を外した。

もちろん、席を外す前には頬に口づけをしてからね!

もう、あまりの自然な動作だから、わたしも普通に対応していた。

慣れって恐ろしい!!


「ライライは、れいちゃんにメロメロって感じね~♡」


わたしとのやり取りを見ていた、マーリンがニヤニヤしながら話す。

ううう。言われると恥ずかしくなるな…。


「もう!マーリン!恥ずかしいからそういう事は言わないで!!」


「だって~!目の前であんな事されちゃあね~♡ね?りょうたんもそう、思うでしょ?」


「え…。そうですね…。仲が良くて羨ましいです…」


マーリンの横で書類に目を通していた黒爛こくらん殿が

遠慮がちに笑う。うわー!絶対引かれてるやつじゃん!!


でも…。羨ましいってどういう意味なのかしら?

黒綾こくりょう殿…、雷覇らいはの事が好きなのかしら?

…。きっとそうだわ!!兄の様に慕っているものね!!

やっぱり、人前ではやめてって雷覇らいはにきつく言っておこう!!


「ごめんね…。雷覇らいはにはあまり人前ではしないように言っているんだけど…」


「いっ…いえ…。僕は大丈夫です」


「そう?それじゃあ黒綾こくりょう殿、この包装用に使う生地なんだけどもう少し厚みを薄くしたりとかできるのかしら?」


「可能です!糸を変えたり織り方を変えればできると思います!!」


「それじゃあ、そのサンプルを作ってもらえる?一度、実物をみてみたいわ!」


「分かりました!早速、兄上に連絡しますね!」


実は今、黒綾こくりょう殿はこっそり黒爛こくらん殿に連絡を取っている。

和解してからは、まめに黒爛こくらん殿から手紙が来ているようだった。

さすが!!弟大好きね!!

前のようにお兄さんと話せるようになって、とても嬉しいです。と少し前に

黒綾こくりょう殿は言ってくれた…。本当に良かったわ!!


「あとは、一般の人向けに簡単な包装用紙で販売できるようにもしたいのよね~」


「それならあまりコスト掛けないものがいいわね~。いくつか心あたりがあるから、またサンプルと資料を送るわ♡」


「ありがとう!マーリン!!」


それから、わたし達は夕方まで打ち合わせを行った。

その後、みんなで夕食を一緒にとった。とても賑やかで楽しい食事だった。

今は、それぞれ部屋に戻ってくつろいでいる。

わたしも、自分の部屋で資料に目を通していた。


マダムベリーは明日には来てくれて茶器の商人を紹介をしてくれるそうだ!

凄い!!対応のスピードの速さもマダムベリーが信頼されている証拠だろう。

…。一応、マダムベリーが作ってくれた服を着ようかな…。

すっごく恥ずかしいけど…。でも、これからお世話になるしね…。

よし!!これは、仕事と思って割り切ろう!!


「リンリン、明日の着る服はマダムベリーが作ってくれた服にしてくれる?」


「かしこまりました。では、この爽やかな緑の服でいかがでしょうか?」


「うん。それにするわ!髪型はお任せするわ」


「承知いたしました。お嬢様。髪飾りはどうされますか?」


「…そうね…」


いつもなら、即答して炎覇えんはがくれた簪と言っているだろう。

わたしは自分の頭にさしていた、簪を見る。

花びらのガラスが光に反射してキラキラしている。とても綺麗だった。

炎覇えんはが笑って髪の毛に差してくれた光景を思い出す。

眩しくて、温かくて、かけがえのない思い出…。

マーリンが言ってた。簪はただの簪だと。ずっと持っていてもいい。と…。


わたしのとってこの簪はとても大切なものだ。宝物だし

今となってはわたしの体の一部のような気がする。

それならずっと大切に持っていよう…。

無理に手放す方が不自然に感じる。


「リンリン、明日はこっちの髪飾りにしてくれる?」


そう言ってわたしは、炎覇えんはから貰った簪を机の上に置いた。

リンリンに渡したのは、雷覇らいはがくれた髪飾り。

以前マダムベリーに依頼して作らせたものだった。

小さな金色の花が連なった綺麗な髪飾りだ。雷覇らいはと同じ瞳の色。

金色の花びらの中央には秋唐国しゅうとうこくの宝石を使っている。


「かしこまりました」


それだけ言うとリンリンは微笑んで髪飾りを受け取った。

明日着る緑色の服と金色の髪飾りはよく合うだろう。

きっと雷覇らいはは気が付くだろうな…。どんな反応をされるかしら。

今さらながらドキドキしてきた。

…。これってもう、好きって言っていようなものじゃない?


「リンリン!やっぱりやめる!」


「なぜですか?」


「だって…」


自分の顔が熱くなっているのがわかる。きっと真っ赤だわ…。


「お嬢様…。明日のお洋服にはこちらの髪飾りの方が合いますよ?」


リンリンに優しく手を握られて微笑えまれた。


「やっぱり…そう思う?」


「はい。それに…。お嬢様があの簪以外の髪飾りをつけるのは私も嬉しいです…」


「リンリン…」


きっとリンリンも分かっているんだわ。

わたしがどうしてずっとその簪にこだわっていたのか…。

ずっと炎覇えんはの影を追っていた。簪を見るたびに炎覇えんは

繋がっている気がしていた…。

それを何も言わずに見守っていてくれてたのね…。


「ありがとう…。リンリン…。やっぱりこの金色の方にするわ」


「はい!」


とっても嬉しそうな顔でリンリンが返事をする。わたしも自然と笑顔になった。



次の日、わたしはマダムベリーと会うべく応接室へ向かった。

ううう。雷覇らいはから貰った服と髪飾りをつけているけど…。

緊張する。どうしよう…。どんな反応されるかしら。

リンリンは可愛いって言ってくれていたけど…。

雷覇らいはが部屋まで迎えに来てくれたけど、わたしは恥ずかしいから断った。


今日着ている服はおへそが出ているタイプ。胸元はしっかりとした生地で覆われているけど

肩や、首周りは肌が透けて見える生地を使用している。

足元は雷覇らいはが来ているような

ズボンになっているけど、布面積が前のよりも少ない。

髪の毛は高く結って金色の髪飾りを付けてもらっている。


応接室へノックしてから入る。

ちょうどマダムベリーや皆揃っている所だった。


「お待たせしてしまいすみません…。少し準備に手間取ってしまって…」


「わあ!怜彬れいりん殿!!とっても綺麗です!!」


「いや~ん!れいちゃん♡本当に今日は一段とかわいいわ~!!」


「まあまあ!私が手掛けた服を着て下さって、嬉しいですわ!オホホ!」


みんな口々に褒めてくれる…。ぐふぅ!!嬉しいけど、やっぱり恥ずかしい。

雷覇らいはの方をちらりと見た。

目が点みたいになって、無言で私を見ている。


「あの…。雷覇らいは?」


呼び掛けるけど反応がない。おかしいな絶対、台風のような

甘々フェロモン攻撃がくると予想していたんだけど…。

雷覇らいはが不意に立ち上がって足を庇いながらこちらに近づい来る。


「…。怜彬れいりん…」


雷覇らいは…どう…かな?」


しばらくの間じっと見つめられる。両足で立っているけど大丈夫かしら?

雷覇らいはの足が気になっていたらいきなり抱きしめられた。


「…っ!雷覇らいは!!」


「すごく綺麗だ!怜彬れいりん!!」


「ありがとう…。」


うわー!!恥ずかしい!!みんな見てるのに~!

でも…。すごく嬉しそうな顔してたな…。

ふふふ。喜んでくれたみたい。抱きしめるくらいなら許してあげよう。


「髪飾り良く似合ってる…」


「ありがとう…。雷覇らいは…」


雷覇らいはに頬を撫でられて熱い視線で見られる。

一瞬時が止まったように感じた。幸せ…。と思ったその瞬間…


「んっ…・」


いきなり口づけされた。

あまりにも突然の事だったから何が起きたのか分からなかった。

頭の中が大パニックになる。ちょっと待って!!!


「んんっ…!!!」


軽く触れられるものではなく、唇が深く重なる口づけだった。

わたしは、恥ずかしさで何度も雷覇らいはから離れようと抵抗する。

でも動けない。雷覇らいは…!!傍には黒綾こくりょう殿や

マーリンもいるのに…!!!

さっきまでの幸せな気持ちが一気に凍り付いていくのを感じた。

あんまりだ!あんなに…。人前ではしないでって言ったのに…。



パアンッ!!!



部屋に乾いた音が大きく響く。

雷覇らいはの唇が離れた瞬間、わたしは思いっきり雷覇らいはの頬を叩いた。


「はぁ…はぁ…しないでって…いったのに」


ふと我に返った雷覇らいはが驚いた顔でこちらを見る。


怜彬れいりん!すまない!!つい…」


「人前では…しないでって言ったのに!」


わたしは怒りのあまり体が震えているのを感じた。

全身で怒りを覚えたのは久しぶりだった。


雷覇らいはの馬鹿!!大っ嫌い!!」


わたしは、怒りと恥ずかしさから部屋を飛び出した。

最低!!ひどい!!雷覇らいはの…ばか…!!


悔しさで涙が滲んでくる。

あんまりじゃないか。いくらわたしを好きだからって

皆の前であんなこと…!!!


わたしは自分の部屋に飛び込んで扉の鍵を閉めた。

外から雷覇らいはの声がしたけど、わたしは無視して泣き続けた。


今回も雷覇君、大暴走ですね!!

最後までお読みいただきありがとうございます!(^^)!


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