61.怜彬の手作りお菓子1
ちょっと小話です。長めです( *´艸`)
最後までお付き合い頂けると嬉しいです☆
変換が上手く言っていない文言がありました!
すみません!訂正いたします!
黒綾殿と黒爛殿が和解してしばらく経ったころ、
夏陽国の南部で起きていた災害の支援がひと段落ついたと連絡が入った。
長い間、支援に回っていたラカンやサイガ達が戻ってくることになったのだ。
本当に会うのは久しぶりだった。二人とも元気にしているといいけど。
わたしは二人が帰ってきたら労おうと思い、お菓子を作ろうと考えていた。
もちろん雷覇の分もちゃんと別に作る予定。
そうしないと絶対あとから拗ねるわ!!
何を作ろうかしら…?
ラカンは何でも食べるけど、サイガは甘いもの大丈夫だっけ?
「雷覇。サイガって甘いもの食べるの?」
書類に目を通している雷覇に尋ねた。
「なんで、サイガの事を聞くんだ?」
思いっきり眉間にしわを寄せて、雷覇に尋ねられた。
そんなに怒らなくてもいいのに…。
「もうすぐ被災地から戻ってくるでしょう?すごく大変だったと思うから何かしてあげたくて…」
「怜彬がそんな事する必要はない。あいつは仕事でやっているんだ」
「またそんな事言って…。雷覇って本当に器が小さいわね…」
飽きれながらわたしが言った。
「なっ…!!俺のどこが小さいんだ!」
「そう言うところですよ。雷覇様」
すかさずムツリが突っ込む。なんか懐かしい感じね。
「雷覇殿は、心配症なだけですよ!決して器が小さいからではありません!」
優しい黒綾殿がフォローする。
お兄さんとの一件があって以来、黒綾殿の
雷覇に対する評価はうなぎ昇りだった。
「小さいわよ」
「ネズミの額よりも小さいです」
「えっ…。怜彬まで…」
わたしとムツリが一緒になって雷覇を責める。
「主として部下を労うのは当然のことじゃない?そういうのって大事だと思のよね!」
「素晴らしいです!!怜彬殿。もっと言ってやってください!!」
若干、涙目になりながらムツリが言う。…。
本当苦労しているのね…。お察しします!!
「別に労うなと言ってるんじゃない。わざわざ怜彬がする必要ないだろう?」
「どうしてよ!別にわたしが労ってもおかしくないじゃない」
「怜彬殿が部下を労う事は、夏陽国の者にもいい機会です。かなりの好印象を与えることができます」
「別に好感度を上げたい訳じゃないけど、一度もこちらに戻ってこず被災地で頑張ってたのだもの。お疲れ様って言ってあげたいじゃない?」
「素晴らしい!!さすがは怜彬殿です。宝石の妖精である、怜彬殿に労って貰えればどれだけ、みなの褒美になるでしょう!!」
「ムツリ…。ちょっと大げさよ。わたしはちょっとお菓子を作って配ろうと思っただけなのよ?」
「怜彬殿!!お菓子を作れるんですか?僕も食べたいです!!」
天真爛漫な笑顔で黒綾殿が言う。ああ!
今日も天使ね!!かわいいわ!!
「もちろんよ、みんなの分も作るつもり!ただサイガが、甘いものが好きかどうか分からないから教えて欲しいのよ」
「サイガは何でも食べます。大丈夫です怜彬殿!」
「だから!!怜彬が作ったものをお前らが食べる必要ないだろ?数も多くなるし怜彬が大変になるじゃないか!!」
「そう言って、自分だけ手作りお菓子が貰えないのを阻止しようとして…。はぁ。全く心が狭い…」
「なんだとムツリ!俺は当たり前のことを言っているだけだぞ!!」
「いいですか?雷覇殿。この際だからはっきり言わせて頂きます!あなたは夏陽国の国王なのですよ?それをたかだかお菓子一つでそのように目くじらをたてて。恥ずかしくないのですか?」
「たかだかお菓子だと!あのれいりんの手作りのお菓子だそ!!」
うーん…。こっそり、ムツリに聞けばよかったな~。
雷覇がここまで食い下がるとは思わなかったわ…。
「それを惜しげもなくみなに分け与えてこそ主の器というもの!それをケチケチしているようでは、まともに務まりませんよ?」
「怜彬の作るお菓子は国宝級だ!そんなもの惜しげもなく出せるわけないだろ!」
「ちょっと!雷覇言いすぎよ!わたしのは普通の手作りお菓子なんだから」
「怜彬がわざわざ、手間暇かけて作るんだ!どんなお菓子よりも価値があるだろ」
「それは僕も同感です!!」
えっ!!なんで黒綾殿も乗ってくるのよ!
そこは雷覇がおかしいって止めないと!!
「はぁ…。雷覇殿、聞いていて頭が痛くなりますよ。そんなに怜彬殿のすることに制限を掛けていては逃げられますよ?」
ギロリと鋭い目つきで雷覇を見つめるムツリ。
ああ!良かったムツリは私の味方だったのね!!
「そうよ!雷覇!束縛しすぎるとわたし窮屈だわ!!」
「俺のどこが窮屈なんだ!婚約者として正当な主張だろ?」
「婚約者だからと言って、なんでも許されると思ったら大間違いですよ!怜彬殿が嫌になって出ていって御覧なさい!!またあなたが秋唐国まで追いかけて、水覇様が苦労するのですよ!!!」
えっ?そっち?
さっきから、ムツリが心配してくれていたのって水覇殿ため?
「はぁ…。もういい。お菓子はやめるわ…」
わたしはがっくりして、部屋を出た。
こんなに問題になるならもう作らないでおこう。
リンリンに何かプレゼントを用意してもらってそれを配ろうと思った。
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一方。部屋に残された人たちは…。
「ほらみろ!ムツリのせいで、怜彬が出て行ってしまったのではないか!!」
「そもそも雷覇殿がお菓子を作るなという事が悪いんです!」
「やめましょう!二人とも!このままだと怜彬殿のお菓子が食べれないですよ?」
「…」
三人は顔を見合わせた。
この時初めて三人の中で共通意識が生まれた。
『怜彬の手作りお菓子を食べたい』
「このままではダメだ!何としてでも怜彬に手作りお菓子を作ってもらおう!」
「そうですね!夏陽国の今後の為にも作ってもらいましょう!」
「はい!三人で力を合わせて作ってもらいましょう!!」
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そんな会話がされているとは露知らず、わたしはリンリンと
帰ってくる皆には何をプレゼントするのがいいか?を考えていた。
「怜彬。さっきは済まなかった…」
わたしの部屋へくるなりいきなり謝りだした雷覇。
「ううん。もういいの!皆には私から何か買ってプレゼントするから!」
「えっ?そうなのか?」
「うん。あんなに揉めるならもう作らないでおこうと思って…」
「そうなのか…。でもせっかくだし作ってみてはどうだ?」
「うーん…。でも、もういいわ…」
なんでこんなに進めてくるのかしら?
またあんな風に口論になったら嫌だから作りたくないんだけど…。
「黒綾殿も楽しみにしていると言っていたぞ!」
「そうなんだ…。でもそれはそれで、作ったら雷覇が焼きもちやくでしょう?」
「えっ?いや…そんなことはない…」
えっ?なんでそんな嘘つくの?
ぜったい、ぜーったい焼きもち焼くじゃない!
「もうあんな風にみんなが揉めるのが嫌なの。だから今回はプレゼントを買うわ!」
「そうか…」
そう言って雷覇は部屋を出て行ってしまった。
すごくしょんぼりしてた。まぁ。手作りお菓子食べれなくて残念って
感じなのだろうけど…。それはまた今度作ってあげればいいよね!!
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「雷覇殿どうでしたか?」
ワクワクしながら、黒綾が雷覇に尋ねた。
「ダメだった…。皆が揉めるからもう作りたくないそうだ…」
「やはり、さきほど口論したのがまずかったですね…」
「困りましたね…」
「ああ。非常にまずい事態だ…。何としてでも作る方向に持っていかないと」
「そうですね。では今度は私が行って、怜彬殿にお願いをしてみましょう!」
「ムツリさん!頑張ってください!!」
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雷覇が出て行って少し経ったら今度はムツリが私の部屋に来た。
「怜彬殿…。先ほどはお見苦しいところを見せてしまい、申し訳ございません」
深々と頭を下げて謝罪される。
「いいのよ!そんなに気にしないでムツリ」
「どうでしょう?私と雷覇殿とも和解した事ですし、手作りお菓子作ってみませんか?」
「えっ?なんで?」
「それはやはり、みな怜彬殿の手作りお菓子を食べたいと思うのです」
うーん…。ムツリもそう言うのね。
でもな~。もう気分が下がっちゃったんだよね~。
「ありがとう。ムツリ。そう言って貰えて嬉しいわ!」
「では!作って頂けますか?」
「ううん。それはしない!今回はプレゼントを買う事に決めたから!」
わたしはキッパリとムツリの提案を断った。
「…。そうですか…分かりました。失礼します」
そう言ってすごすご部屋を出て行った。
そんなにお菓子が食べたいのかしら?
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「ムツリさん!どうでしたか?」
部屋に入るなり、黒綾がムツリに尋ねた。
「ダメでした…。中々手ごわいですね。怜彬殿は…」
「そうなだ…。一度決めたら梃子でも動かないんだ」
「じゃあ今度は僕が行ってお願いしてみますね!!」
「任せたぞ!黒綾殿」
「お願いします。黒綾様!」
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ムツリが出て行ったあと、今度は黒綾殿が尋ねてきた。
「怜彬殿!今いいですか?」
「黒綾殿。どうぞ!」
「ムツリさんから聞きました。どうしてお菓子を作らないんですか?」
「だって、さっき凄い揉めたし、作ったら作ったで雷覇が焼きもちやくし…。なんか色々と面倒になってきたのよね~」
「そうなんですか…。でも確かにあれだけ揉めると嫌にもなりますよね!」
「そうなのよ~。黒綾殿分かってくれる?」
「はい!とってもよく分かります!!」
「ありがとう!だからね、今回は何かプレゼントを買って渡そうと思ってるの!」
「そうなんですか?でも…。僕…怜彬殿の手作りお菓子食べたいな~」
めっちゃかわいい顔で黒綾殿がおねだりしてくる…。
くぅ~!!甘えてくる黒綾殿かわい過ぎ!!
「お願いします!怜彬殿!僕もお手伝いしますから!!」
「ごめんね…。黒綾殿が手伝ったらますます雷覇がへそを曲げてしまうわ…。せっかくだけど、今回はプレゼントにするわ!」
「…。そうですか…わかりました…」
そう言って、しょぼんとした顔になって
黒綾殿も部屋を出て行った。
みんな何で手作りお菓子食べたいのかしら?
そんな大したことじゃないのにな~。
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「どうだった?黒綾殿!!」
勢いよく雷覇が黒綾に尋ねた。
「すみません…。お願いしたけどダメでした…」
「黒綾殿の天使の笑顔でお願いしてもダメですか…。惨敗ですね」
ムツリが固い表情でつぶやく。
「僕も手伝うからって言ってみたんですけど、雷覇殿が余計にへそを曲げるからダメだって言われました…」
「やはり、雷覇殿が大きな原因のようですね…。全く日頃からどんだけ焼きもちを焼いているんですか?あなたは!」
「嫉妬くらい誰でもするだろ?誰が好き好んで、自分の好きな女が他の男と二人っきりになるのを認めるんだ!」
「もう!やめてくださいよ!二人とも!さっきと同じになりますよ!!」
「…」
全く打つ手なしの三人だった。
気まずいどんよりとした空気が部屋の中に流れる。
非常にまずい状態だった。このままでは怜彬は早々に
プレゼントを買ってきてしまうだろう。
彼女は行動力があり動くスピードが尋常ではないのだ。
三人で頭を抱えて途方に暮れている時、リンリンが部屋に入ってきた。
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