【番外】リンリンの憂鬱
やっとリンリンの話をだせました!!
(∩´∀`)∩
お嬢様を初めて見たのは、城下街の貧民街。
物凄い金髪碧眼のイケメン従者を連れて買い物に来ている時だった。
私はその当時は10歳でお嬢様は14歳。私はお腹がペコペコで路上でうずくまっていた。
「大丈夫?お腹がいたいの?」
心配そうにわたしを覗き込んだ瞳は、キラキラしていて宝石みたいだった。
「おなかが…すいて…」
とぎれとぎれに伝えた。もう何日もまともな食事をとっていない。
両親もおらず、兄弟もなく一人で生きてきた。
そんな中で私に声を掛けてくれたお嬢様の存在は神様のように思えた。
わたしを救ってくれたのは、秋唐国の第一王女。怜彬様。
キラキラ輝くアメジスト色の瞳を持つ少女だった。
ラカンと呼ばれる男性に運ばれて王宮でお世話になることになった。
「あなたのお名前はなあに?」
「リンリン…」
「素敵ななまえね!リンリンこれからよろしくね!」
そう言ってお嬢様は眩しい笑顔で笑いかけてくれた。
太陽のように明るくて温かい…。こんな人初めて会った…。
わたしの周りにいるいる人は皆生きることに精一杯で
他人の事なんかおかまいなし。自分さえよければいいという人ばかりだった。
お嬢様の存在は私にとって何より大切なものになった。
それから私はしばらくして、お嬢様付きの侍女として傍にいることになった。
お嬢様がそうして欲しいと言ってくれたそうだ。
私はとても嬉しかった。これで彼女に恩返しができる。
この拾われた命を彼女のために使おう。そう心に決めた。
「リンリン!これ見て!怜秋が書いてくれたのよ」
「よかったですね。お嬢様」
嬉しそうにお嬢様は怜秋様からもらった絵を見せてくれる。
線が歪んでいてぐちゃぐちゃだったで何を書いているのかよくわからない。
でもそんなことは関係ないのだろう…。
お嬢様はとても弟さまを大切にしていた。いつも楽しそうに弟様の話をしている。
私は常にお嬢様の傍で陰で支えることに徹底した。
侍女とは決して、自己主張せず陰日向になって主を支える存在である。
お嬢様の傍にいると決まった時に教えられたことだった。
お嬢様をよく見て、お嬢様が何を思い、何を考えているかいつも先回りして予測する。
喉が渇いているならお茶を出し、お腹がすいているならお菓子をお出しする。
私は常にお嬢様の行動をみてお嬢様が何を考えているのか理解しようとした。
とても楽しかった。お嬢様はとにかく明るい。
いつも笑顔で周囲の人たちを照らしていた。
傾国の美女、宝石の妖精。そんなふうに周りから呼ばれているが
決してそんな近寄りがたい人ではなかった。なぜなら彼女に壁などないのだ。
誰に対しても分け隔てなく接してくれる優しい人。
それがお嬢様だった。
「リンリンはどうして私の事をお嬢様って呼ぶの?」
ある日お嬢様にそんなことを聞かれた。
「どうしてと言われましても…。お嬢様はお嬢様だからです」
それ以外に応えようがなかった。私は元々話すことは得意じゃない。
自分の気持ちをうまく伝えれなくてもどかしくなった。
「ふーん…。そっか!」
まるで明るい宝石のようにキラキラ笑う。
お嬢様の笑顔はとても眩しかった。そんなお嬢様の笑顔も陰る日があった。
お父様と、お兄様が亡くなった時だ。
決して人前では弱音を吐かず、1人部屋の隅でただひたすら
声を殺しながら泣いている姿を見た時は本当に胸が痛かった…。
どうにか元気を出して欲しくてお嬢様が好きなお菓子を用意した。
泣いていた事については言わなかった。
きっと知られたくなくて、1人で泣いていたのだと思ったからだ。
お嬢様の悲しみを癒してくれる人が現れますように。
祈るようにそんなことを考えていた。
ほどなくして、怜秋殿が王位に着く。
それを懸命に支えるお嬢様。並大抵のことではなかったと思う。
いつも遅くまで勉強しては、様々な人に教えを、乞うていた。
努力家で人一倍誰かのために頑張る人。
お嬢様は自分のことより誰のことを優先する事が多い。
そこが凄く心配だった…。
もっと自分の幸せも考えて欲しい。そう願わずにはいられない。
炎覇殿と出会ってから暫くは幸せそうにくらしてた。
私も見ていて本当に幸せだった。
でも…。それも、ながくは続かなかった。
そしてまた、1人で泣いているお嬢様…。
それから暫くは人形のように、無口になり笑うことも無くなった。
それだけ悲しみが大きいのだろう…。
私は、ただ黙って見守ることしか出来なかった。
そうして何年かたった後、転機が訪れる。
雷覇殿がプロポーズしてきたのだ。
手紙を貰ってからのお嬢様は本当に生き生きしていた。
人形のように暮らしていた時とは別人の様だった。
本来の、明るくて行動力のあるお嬢様に戻っていった。
私はとても嬉しかった。
お嬢様は結婚を拒んでいるようだけど、きっと雷覇殿なら
お嬢様の心を癒してくれる…。そんな予感がしていた。
雷覇殿と出会ってからは、止まっていた時計が動き出したかのように
怒涛の日々だった。私もついていくのに必死だった。
本当に雷覇殿は国王なのだろうか?時々よく分からなくなる時がある。
自分の思うまま、行動し周囲を巻き込んでいる。本当に凄いと思った。
実は私は密かに雷覇殿を応援している。
よくお嬢様の居場所を聞かれ、だいたい予想がつくので教えていた。
どうにか雷覇殿とうまくいってほしいので側近であるサイガ殿にも
色々雷覇殿の事を聞いたりもした。
サイガ殿にはなぜか、雷覇が好きなのか?とか
訳のわからないことを聞かれた…。なぜそう思うのか理解不能だった。
サイガ殿とは、行動力のある主をもつと大変だなと
色々話をしたりした。とても気さくな方で話しやすい人だった。
お嬢様が誘拐された時は本当にこの世の終わりかと思った。
凄く取り乱してしまったが、サイガ殿が優しく諭してくれた。
とてもありがたかった。それからは、サイガ殿と一緒にお嬢様の捜索隊のお世話をした。
自分にできることをしようと思ったからだ。
1週間ほどでお嬢様の居場所と安否が判明した。本当によかった…。
その報告を聞いたときはホッとして思わず泣いてしまった。
サイガ殿がハンカチを貸してくれた。優しい人なのだと思った。
そこからまた、お嬢様は怒涛の日々を送る。
夏陽国に戻ったと思ったら、秋唐国へトンボ帰り。
そして五神国会議に参加。その後夏陽国へ再度行って
救援活動に従事する。
息をつくまもないほど動き回っているが、とても楽しそうだった。
そして以前とは違って一人で泣くことが減った。
傍には雷覇殿がいるようになった。とても大きな変化だった。
雷覇殿が大けがをして意識不明の重体になったときは
とても落ち込んでいたが、懸命にお世話をして自分を振るい立たせているようだった。
その後、無事に雷覇殿が目を覚ました。
私とお嬢様は喜びを分かち合った。お嬢様は泣きながら喜んでいた。
思わず私も自然と顔がほころんだ。
この人が幸せなら私も幸せだ。
この人が笑うなら私も微笑む。
お嬢様が今日も元気であちこち行って走り回っている。
私はそっと後ろからついていきお嬢様のお手伝いをする。
そんな日々がずっと続くことを祈っている。
そして、お嬢様が本当に笑顔で暮らせる日が来ることを毎日願っている。
最後までお読みいただきありがとうございます( *´艸`)
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