表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

66/198

60.和解


黒綾こくりょう殿が2人きりになってしばらくしてから

2人は仲良さそうに一緒に部屋から出てきた。

きっと分かりあえたんだわ!わたしはほんとうに良かったと思った…。


黒綾こくりょう殿!良かったわね!!」


わたしは思わず黒爛こくらん殿に駆け寄った。


怜琳れいりん殿!ありがとうございます…」


黒綾こくりょう…。こちらの方は?」


黒綾こくりょう殿の隣にいた黒爛こくらん殿に

不思議そうに見つめられた。

そう言えば!!まだ挨拶してなかった!


「わたしは、秋唐国しゅうとうこくの第一王女。怜琳れいりんと申します」


「兄さん、怜琳れいりん殿は僕の命の恩人なんだ」


「あなたが…!黒綾こくりょうを助けて頂きありがとうございます!」


「いえ!わたしは、当たり前のことをしただけです」


優しい表情で、黒爛こくらん殿に微笑みかけられる。

凄い!やっぱり、近くで見るとイケメンだわ!!

雷覇らいはが肉食系でワイルドなイケメンなら

黒爛こくらん殿は、正反対で柔和でジェントルマンみないなカッコよさだわ!!

わたしは、一人そんな事を考えていた。


「それに…。()()怜琳れいりん殿に会えるなんて…」


「あの?」


ん?あの怜琳れいりんってどの怜琳れいりんだ?


「傾向の美女、宝石の妖精。五神国ごしんこくで一番の美人と聞いております」


「えっ!!」


なにそれ!?いつの間に五神国ごしんこく代表みたいになってんの?

おかしいでしょ!!


「おおげさな…。何かの間違いではないですか?」


「確かな話です。今すごく人気のある小説にそう書いてありました」


すごく穏やかに笑いながら、黒爛こくらん殿に告げられる。

…。

あの小説!!そんなことまで書いてるの!!

しかも黒秦国こくしんこくまで販売されてるの!!

いーやーだー!!!わたしは心のなかで思いっきりのたうち回った。

なんでいつも忘れた頃に、あの小説の話題がやってくるのかしら!!


黒爛こくらん殿。あまりわたしの婚約者に馴れ馴れしくしないで頂きたい」


そう言いながらぐいっと雷覇らいはの方に引き寄せられる。

いやいや!こんなところで焼きもちしないで!!


「それは大変失礼致しました。雷覇らいは殿」


黒爛こくらん殿が深々謝罪した。

大丈夫ですよ!!雷覇らいはがただの焼きもちやきなのよ!!


「それより、黒爛こくらん殿はこれからどうされるおつもりか?」


「今後は内部の統制を行って、新しい王を据えようと思います」


「新しい王?」


その場にいた全員がきょとんとした顔で黒爛こくらん殿を見た。

黒綾こくりょう殿を王に据えるのではないの?


「兄さんどういうこと?僕が後を継ぐんじゃ…」


黒綾こくりょう殿も不思議そうに見ていた。


「でも、黒綾こくりょうは国王にはなりたくないのだろう?」


「そうだけど…」


「それなら、国王になりたいと思っている人に任せたほうがうまくいくと思わないかい?」


「そんな事できるの?」


「ああ。可能だ。少し時間はかかるかもしれないけどね」


満面の笑みで黒爛こくらん殿が言った。

一体どんな方法でできるんだろう?


「それなら、問題ないな。そちらが早く落ちつてくれれば、夏陽国かようこくとしてもありがたい」


「はい。雷覇らいは殿。必ずや国内を一つにまとめてまいります」


そうなんだー!黒爛こくらん殿も黒綾こくりょう殿も

王座に着かなくても解決するなら、2人にとって一番いいよね!

跡継ぎ争いしなくてもいいもの。


「兄さん!ありがとう!僕のためにそこまで…」


「いいんだ。黒綾こくりょうが幸せなことが一番だからね」


穏やかな笑顔で、黒爛こくらん殿が黒綾こくりょう殿の

頭を撫でる。…。これはもしかして、あれじゃないかしら?

黒爛こくらん殿はわたしと同じニオイがするわ!!


黒爛こくらん殿は弟さん思いなのですね!!」


「はい!目にいれても痛くない!黒綾こくりょうは、明るくて可愛いくて、私の自慢の弟です!!」


瞳を爛々と輝かせながら黒爛こくらん殿が語りだす。

やっぱり!!弟大好き!な人なのね!!

わたしは思わず前のめりになって話し出す。


「分かります!わたしも10歳年下の弟がいてて、怜秋れいしゅうと言うんですけど、本当に優しくて賢くていい子なんです!!」


怜彬れいりん殿も弟君がいるのですね!わかります。弟とは尊い生き物ですよね」


「はい!何よりも大切な存在ですわ!!」


嬉しい!弟ラブな人がこんなところにいるなんて!!

黒爛こくらん殿とは絶対に仲良くなれそうだわ!!


「兄さん!恥ずかしいからこんなところでやめて!」


顔を赤くしながら、黒綾こくりょう殿が話しに入ってきた。


怜彬れいりん…。俺より怜秋れいしゅう殿が大切なのか?」


まったく違う論点で落ち込んでいる雷覇らいはも話に入ってきた。

怜秋れいしゅうは弟なのよ?比べるものではないと思うけど…。

うーん。大切な種類が違うというか…。なんというか…。


怜秋れいしゅうは大切です!雷覇らいは怜秋れいしゅうどちらか一人しか助けられないなら、わたしは怜秋れいしゅうを助けます!!」


わたしはズバリ言い切った。

雷覇らいはには悪いけど、やっぱり弟は大事だわ!!


「…っ!!そんな…」


思いっきり頭をぶつけたような顔をして雷覇らいは

ショックを受けている。まぁ…。仕方ないと思うけど。

雷覇らいは雷覇らいはでちゃんと好きなんだけどね~。


雷覇らいは殿。こればかりはどうしようもないのです!私も怜彬れいりん殿も小さい頃から弟を見てます。もはや父や母のような心境なのです!無償の愛です!何者にも代えがたいのです!」


「無償の愛…。何者にも代えがたい…」


フォローしているつもりだろうが、黒爛こくらん殿の

言っていることはさらに雷覇らいはを追い打ちをかけているようにしか見えない。

雷覇らいははぐったりとして、項垂れてしまった。

ちょっと可哀想になってきた。


落ち込んでいる雷覇らいはを尻目に、わたし達は今後どうするかを

ムツリやテンリを交えて話し合った。国内の安全が確認できてから、

黒綾こくりょう殿は黒秦国こくしんこくへ帰ることになった。

まだまだ、夏陽国かようこくにとどまることになりそうだ。


黒綾こくりょう殿と黒爛こくらん殿が楽しそうに会話している…。

二人ともすごくいい笑顔だった。

今日、一晩二人でゆっくり過ごしてもらう事になり

黒爛こくらん殿は明日、黒秦国こくしんこくへ帰ることになった。

久しぶりの再会だもの。二人でたくさん話して欲しいわ!!

そして、黒爛こくらん殿とはぜひ!また別の機会で弟について

熱く語り合いたいと思ったのだった。



その日の夜、寝室へ行くと案の定落ち込んでいる雷覇らいはがいた。

ベットの上でしょんぼりしていた。


雷覇らいは…。まだ落ち込んでるの?」


怜彬れいりん…」


わたしを恨めしそうに見てくる雷覇らいは

そうとうヘコんでいるようだった


怜秋れいしゅうの事は前から何度も言っているでしょう?あの子はわたしにとって、大切な存在なの…」


「…。分かっているが…」


怜秋れいしゅうへの愛情は、母性愛みたいなものなのよ?小さい頃から面倒を見てるから母親みたいな気持ちになっちゃうの」


「母親…そうか!では、異性として好きではないのだな!」


いきなり、元気になった!!

わたしが怜秋れいしゅうを好きなのって異性としてって思ってたの?


「うーん…。異性とか同性とか関係なく好きよ?多分、怜秋れいしゅうが女の子でも、同じように好きだわ」


「なるほど!父や母を好きだという気持ちと同じだという事だな!!」


「そうね!その気持ちに近いわ」


「そうか…。そうなのか…」


噛みしめるように呟きながら、雷覇らいははわたしの膝の上にゴロンと寝る。

わたしが、怜秋れいしゅうを好きっていうのと別だって

分かってくれたのかしら…?


「だから…。ね?もう怜秋れいしゅうに焼きもちやくのはやめてね?」


「それは無理だ!」


「えっ?どうしてよ?」


「俺は誰がきても、きっと嫉妬する。仕方ないんだ」


「えー!じゃあ…怜秋れいしゅうとは仲良くできないの…?」


それはとても悲しかった…。

結婚をしたとして、雷覇らいは怜秋れいしゅうは家族になるのだ。

今のように凍り付くような雰囲気になるのはやめてほしい…。


「難しい問題だな!怜秋れいしゅう殿はライバルだ!」


「何でそうなるの?怜秋れいしゅうは12歳でまだ子供よ?」


「年齢は関係ない。俺は怜秋れいしゅう殿より優先順位が低いからな」


あ…。さっきの話で拗ねてるの?

そしてちょっと怒ってるわよね?

まぁ…。どう言われても、怜秋れいしゅうを想う気持ちは

変わらないけど…。


「そう…。じゃあ結婚はますます無理ね…」


ぼそっとわたしが呟いた。


「えっ…!!どういう事だ!!怜彬れいりん!!」


いきなり飛び起きて前のめりになる雷覇らいは

どうもこうも…。怜秋れいしゅうも結婚を反対しているし

雷覇らいはも歩み寄る気ないし…。無理じゃない?結婚。


怜秋れいしゅうと仲良くできないなら、わたしが雷覇らいはを好きになる以前の問題よ!怜秋れいしゅうとうまくできない人とは結婚は無理!」


「はっ…!なんだって!ちょっと待ってくれ怜彬れいりん…。結婚できないって…どういう意味だ!」


「どうもこうも…。そのままの意味だけれど…」


「そんな…それはどうにもならないのか?」


すごい動揺してオロオロしけど。えー…。そんなに大変なこと言ってる?

当たり前のことだと思うけど…。一生の問題だし…。

でもこれを機に、怜もちをやめてもらえるよう誘導できないかしら?


「わたしは怜秋れいしゅうが何より大切なの。あの子がいなくなったらきっと生きてはいけないわ…。それくらい大事なの。だから雷覇らいはにも怜秋れいしゅうも大切にして欲しい…」


「…」


物凄く悩んでいる様子の雷覇らいは

そんなに難しい話をしているかしら?わたし…。


「だからね?雷覇らいは怜秋れいしゅうとは仲良くしてね?」


「わかった…。努力する」


「ほんとう?」


「ああ。だから結婚は無理とか言わないでくれ…」


「それは雷覇らいは次第だわ!()()()()仲良くしてね?」


「う…。分かった…。ナカヨクスル…」


最後の方棒読みだけど、まぁいっか!!雷覇らいははこれで問題なさそう!

あとは怜秋れいしゅうよね~。前に会ったとき認めないって言ってたからな~。

うーん…。これは時間かかりそうね…。


怜彬れいりん。ちゃんと仲良くできたら、何かご褒美をくれないか?」


「ご褒美?うーん…。わたしであげれるものならいいけど…」


「よし!わかった!なら最大限のことをするよ」


「ご褒美ってなにがほしいの?雷覇らいは


「それはこれから考える!楽しみにしていてくれ!」


「わかったわ」


うーん…。なんか嫌な予感もするけど、雷覇らいは怜秋れいしゅう

仲良くなってくれるのはいい事よね!

雷覇らいはが仲良くなる気なら、歩み寄りも前よりは難しくなさそう!

いつか仲良く3人でお茶できたらいいな~。

よし!わたしも2人が仲良くなれるよう頑張らないと!!

新たなミッションに燃える私なのだった。



最後までお読みいただきありがとうございます( *´艸`)

ブックマークしてくださった方ありがとうございます!!

ちょっとでもいいなと思ったら、

広告の下の☆☆にぽちりしていただけると嬉しいです(#^.^#)

感想・ご意見お待ちしております!(^^)!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ