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50.来訪者

今回の話も長めです!!

お付き合いいただけると幸いですm(_ _)m


怜琳れいりん…。昨日はみっともないところを見せてすまない」


朝起きてきて、

すぐに雷覇らいはが頭を下げてきた。…。

わたしは別に気にしていないのだけど…。

むしろ、弱いところも見せてくれて嬉しいな。

みたいな!!


「みっともなくないよ?わたしはそん風には思わなかったわ」


「いや…。でも…・あんなになるのは

男としてどうかと…」


雷覇らいはが頬を真っ赤にして、俯いてしまった。え…・っ!!!そこが恥ずかしいの!!!

やだ!!めっちゃかわいい!!!

雷覇らいはがこんなに照れてるの初めてみた!!


「ふふふ。わたしは雷覇らいはの違う一面が見れて嬉しいけど」


「…・からかわないでくれ…」


「からかってないわよ?」


そう言ったら、雷覇らいははわたしの肩にコテンと頭を乗せてきた。

よっぽど恥ずかしいのね…。

ふふふ。本当に今日の雷覇らいははかわいいわ!!

片方の手で頭をナデナデした。

少し顔を覗くと耳まで真っ赤にしている。

胸がキュンとしてドキドキした。



夏陽国かようこくへ来て1週間

今日も執務室で仕事だ。今のところ滞りなく仕事はできている。

雷覇らいはがする事務作業はかなり減らせたが

それ以外にもやることは沢山ある。

わたしは書類関係は黒綾こくりょう殿に任せて、

雷覇らいはのスケジュール管理をムツリと行った。

なるべく雷覇らいはの体に負担にならないように調整した。


午前中に事務仕事をこなし、午後からは叔母上様たちを迎え入れる準備にとりかかった。

いよいよ。明日には叔母上様達がやってくる。

城内は準備で皆バタバタしていた。皆かなり緊張していた。

城内はどこか張り詰めた空気で、いつもと異なっていた。



そして、いよいよ当日!!叔母上様たちとご対面だった。


雷覇らいははいつもより、緊張しているのか

朝から口数が少ないし、ムツリはいつも以上に事前確認を

入念に行なっていた。あまり実感が湧いていないのは

わたしと黒綾こくりょう殿くらいだった。

二人でのほほんとしながら応接室で待っていた。


雷覇らいは様、お見えになりました」


従者から告げられてへの中が一気に緊張感でいっぱいになる。

空気がピリピリしている。

主に雷覇らいはから発せられている気がする。

気が立っている?なんだろ?


わたしと雷覇らいはで出迎えにあたった。

玄関へ行くと、そこにはものすごく派手な2人の女性と

控えめな女性が1人立っていた。


「…・。お待ちしておりました。叔母上様」


「久しぶりだな!!雷坊!相変わらず、愛想がないな!!」


虹珠こうじゅ殿。俺は元々こんなんですよ…」


豪快な口調で一番右にいた派手な服装の女性が雷覇らいはに声をかける。

虹珠こうじゅ殿。と雷覇らいはは呼んでいたその女性は

褐色の肌に銀色の髪。瞳は綺麗な緑色だった。

目鼻立ちがはっきりとしている。

服は全身豪華な装飾品で覆われたドレスを着ていて

少し動くたびにキラキラ光っていた。

髪にも何かつけているのか、光沢があった。


「本当に~。もっとニコニコしたほうがいいわよ。雷ちゃん♪」


虹禀こうひん殿…。お元気そうで何よりです」


虹禀こうひん殿と呼ばれた女性はキラキラした服の

女性の横に立っていた。この女性も虹珠こうじゅ殿

と全く同じ容姿。ただ服装はとても妖艶で、胸元が大きく開いた服だった。

髪の毛もゆるやかに巻いていてフェロモンが凄かった。


「本日は私もお招き頂きありがとうございます…・」


「…・。お久し振りです。夏緋かひ殿」


一番、雷覇らいはの口調が暗くなったのが夏緋かひ殿だった。

とても大人しそうな女性で、あの二人の横にいるとより一層

存在感が薄くなるような人だった。

でもよく見ると綺麗な赤色の髪に暁の空の様な瞳をしていて

綺麗な人だった。あの二人が濃すぎるのだ。


「そなたが、我が甥のお嫁殿だな?」


ギラリとした目つきで虹珠こうじゅ殿がわたしに話しかける。

ううう。なんか、野獣感が凄いひとだな…。


「はい!婚約者の怜琳れいりんと申します」


わたしは深々お辞儀をした。この虹珠こうじゅという人には逆らわない方がいいと本能が告げていた。


「あら~。すごい愛らしいお嬢さんじゃない♪」


ひえ~!!!谷間が凄い!!年齢いくつなの?

そして凄いいい香りがする。虹禀こうひん殿が近づくと

甘い蜜のような香りがした。さすがフェロモンマックス様!!


「よし!!怜琳れいりん殿、わたしたちを案内してくれ!!」


ガバっと方を抱かれてわたしは、虹珠こうじゅ殿に

ズルズルと連れて行かれた。


虹珠こうじゅ殿!!お待ち下さい!」


雷覇らいはが止めようとしたが、全く聞いていなかった。


「じゃあ、雷ちゃん♪また後でね~。ここからは男子禁制よ♡」


有無も言わせない雰囲気で、虹禀こうひん殿が言う。

あああっ!!わたしどうなるの!!!



わたしは、とにかく落ち着こうと思い中庭のテラスへ

3人を案内した。ふぅ…。

やっぱり植物を見ると落ち着くわね!!!

3人んで私を囲むように座る…。

威圧感が半端ない!!そして皆さんお美しい!!


「すまないな。今日、我々がここに来たのは怜琳れいりん殿に会いたかったからなんだ」


虹珠こうじゅ殿どのが、申し訳無さそうに話しだした。

思っていたより怖い人ではなさそう。


「あ…。そうだったんですね。てっきり雷覇らいはのお見舞いかと…」


「ふふふ。そんなの気にしてないわよ~♪雷ちゃんは軍人さんだもの」


ひどくなか?軍人さんの家系はそんな感覚なんだろうか。

そしてエロいな!!!


怜琳れいりん殿、雷坊といつ結婚するんだ?」


「えっ…。いつとは…まだ…。わたしがまだ踏み切れてなくて…」


「あらら。そうなのね~。雷ちゃんの事好きじゃないの?」


「そんな事は!…。わたしは好きです…」


「じゃあ、何が不満だ?顔?性格か?」


「不満は何もないです…。むしろ凄く良くしていただいてます…ただ…」


ううう…。これを言うのはかなり抵抗がある。

でも結婚しない理由ってそうだもんね…。


「ただ?どうしたの?」


優しい口調で虹禀こうひん殿に尋ねられる。嘘も良くないし正直に言ったほうがいいよね。


「婚約した時は、まだ炎覇えんはが好きだったんです…・。わたしが忘れられなくて…

だからまずは婚約しようとなって…・」


「…。そうだったのか…」


 急に3人とも暗くなってしまった!あああっ!すいません!


「今はちゃんと雷覇らいはが好きです!あの…。最近やっと炎覇えんはの死を受け入れられたというか、わたしの中で踏ん切りがついて…」


怜琳れいりんちゃん。一途なのね♪嬉しいわ。私達の弟をそこまで好きになってくれて」


ニコニコしながら虹禀こうひん殿が言う。

そっかこの人達も大切な人亡くしてるんだ…。

わたしと同じように…。


虹禀こうひん殿…」


炎覇えんはを大切に想ってくれているのは姉として嬉しいよ。ありがとう。怜琳れいりん殿」


虹珠こうじゅ殿にも優しく声を掛けられ背中を撫でられる。


「いえ…。わたし…はなにも…できなくて…」


わたしは俯いてしまった。泣きそうだった。

炎覇えんはを想っていたのは間違いないが

もっと彼にしてあげられた事はあったんじゃないかと

思うときがある。


「そんな事はないわ~。怜琳れいりんちゃんと、結婚するってなった時、私達に報告しに来たけど、とっても幸せそうだったわ♪」


「…」


「そうだな。病気で苦しい想いをしたがその分、神様が最後にご褒美をくれたと言っていた」


「…っ!!そんっな…」


思わず涙が溢れた。炎覇えんはがそんな風に想っていたなんて…。知らなかった。けど嬉しかった。


「私に話してくれた時もとても穏やかな顔をされてました…」


ポツリと、夏緋かひ殿がつぶやく。

2人の勢いがすごすぎて、忘れてた…。この人はだれなんだろう…。


「私は、炎覇えんは殿の妻、夏輝かきの妹です…。はじめまして、怜琳れいりん殿」


「奥様…。炎覇えんはの…」


炎覇えんはがずっと愛していた女性。わたしは直接話しを聞いたことはなかった。

わたしも聞かなかった。夏輝かき殿…というのか。


「あなたと結婚するとなった時に、炎覇えんは殿が来られて…・とても楽しそうに話してました」


「そうなんですね…・」


「私達、炎覇えんはのことでもお礼を言いたかったの~♪」


「そうだ。怜琳れいりん殿。弟の最後を看取ってくれてありがとう」


「いえ…。お礼を言われることはなにも…」


また泣けてきた。炎覇えんはの家族の方が

そんな風に想ってくれているなんて…。

胸が苦しくなった。嬉しいのと切ないのと…。

よくわからない気持ちだった。


怜琳れいりん殿のおかげで、炎覇えんは殿は最後に笑って亡くなった。それはとても幸福なことです…」


夏緋かひ殿…ありがとう…ございます」


まさかこんな形で、過去が報われる日が来るとは思わなかった。わたしはしばらくその場で泣いていた。

誰もわたしを責めなかった。

炎覇えんはが亡くなったのは天命で

神様の元へいく役目があったから、早く亡くなったんだと言ってくれた。


「むしろ、若い女の子にあんな辛い思いをさせてすまない…」


虹珠こうじゅ殿がわたしの手を握りながら話してくれる。

全然聞いていた印象とは違っていた。

虹珠こうじゅ殿はとても慈愛に満ちた人だ。


「ほんとにね~。こんな可愛い子を泣かすなんて!結婚する時も反対したのよ~。置いていくのは可哀想だって」


ムスッとしながら虹禀こうひん殿が言う。


「私達が何を言っても聞かなかったな。後悔したくないからの一点張りだった」


炎覇えんは殿は一度決めたら…。頑固ですからね…」


「ほんとそうよ~。小さいときからそれは変わらないわね!」


「何があっても通してきたからな!軍人としてはいいが、男しては最低だな!」


うーん。なにもそこまで言わなくても…。


「でも…。わたしにとっては素晴らしい旦那様でした。いつも楽しくて笑ってて、幸せでした…」


改めて噛みしめるようにわたしは言った。


怜琳れいりん殿!!ほんとうにいい子だな!!!」


ガバっと虹珠こうじゅ殿に抱きしめられる!ううう。胸が苦しい。虹珠こうじゅ殿も大きいわ…。胸が!!


「雷ちゃんにはもったいないわ~。今からでも別の男に変えてもいいのよ?」


ニコニコしながら虹禀こうひん殿が言う。この人は水覇すいは属性だわ!!笑顔が黒い!!


「いえ!わたしは雷覇らいはがちゃんと好きなので!!」


「なら…。もう問題ないですね…。式はいつ挙げるの?」


あー…。そこ突っ込んじゃう?でもそうなりますよね~。


「あの…わたしがまだ…その…雷覇らいはに気持ちを伝えれてなくて…」


「なぜだ?好きなんだろう?」


「う…。そうなんですけど…その…」


ううう。これを言うのはかなり恥ずかしいな…。


雷覇らいはの…スキンシップが凄くて…。ちゃんと会話ができなくて…」


わたしはモジモジしながら話す…。

わーん!!穴があったら入りたい!!


「あらあら♪いけないわね~。雷ちゃん…」


「あのクソガキ!結婚してないのにそんな事をしているのか!!!」


「これは…。なんとか…しないとですね…一発ヤッときます?」


「えっ!!あの!」


なんかおかしな方向になっている気がする!!まずい!!

雷覇らいはが危ない!!


虹珠こうじゅ殿は今にも暴れそうな雰囲気だし

虹禀こうひん殿は今にも人を殺しそうなオーラだし

夏緋かひ殿は何気に怖いこと言うし。


「よし!!作戦会議だ!あの雷坊を懲らしめてやろう!」


「ふふふ♪それはいい考えね!躾のしがいがあるわ~♡」


「お手伝いします…。おふたりとも」


「今日から怜琳れいりん殿はわたし達と同じ部屋だ!しばらく雷坊とは距離をあけろ!」


えー!!!なんでそんな展開に!!

っていうかいつまでここにいる気なの~!!!


雷覇らいはが凄いと言っていた意味が分かってきた。

3人揃うと誰にも止められないのだ。

最後までお読み頂きありがとうございます!

ブックマークしてくださった方もありがとうございます\(^o^)/


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