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47.帰還

色々誤字すみません!!m(__)m

都度読み返して修正します!


「やぁ!愛しの我が兄上!!帰ってきてくれて本当に嬉しいよ!!」


「お前…。帰ってきていきなり、それはないだろう?まず怪我の心配をしろ!」


 真っ黒な笑顔で出迎えた水覇すいは殿。相変わらず安定の威圧感だ!!


 わたし達は城について早々、仰々しく迎えられたのだが、水覇すいは殿の憔悴っぷりが凄かった。3か月以上お城を開けていたのだ。緊急事態とはいえ、大変だったに違いない。わたし達が被災地で何不自由なく救援活動をできたのも水覇すいは殿のおかげだった。


 「水覇すいは殿!お久しぶりです。いろいろ現地へのフォローをして下さりありがとうございます!!」


怜彬れいりん殿!お久しぶりです。本当に!!本当に!!今回の件はご助力頂き有難うございます!秋唐国しゅうとうこくの支援は本当に助かりました」


「いえ!あれくらいは当然です。また何か必要なら仰ってください!!」


「そうですね。何かあればぜひ!それよりも、兄の怪我が治るまで滞在して頂けるとか?」


「あっ…。はい!!しばらくお世話になります!!」


「ふっ…」


 水覇すいは殿がいきなり涙を拭うような仕草をした。えっ?泣いてる?やっぱり、雷覇らいは殿の怪我を気にしているのね!!心配だったのね!!わたしは思わず感動した!


「長かった…。本当に長かったです…。やっと兄の仕事から解放される…!!怜彬れいりん殿!どうかいつまでもこの国にいて下さい!あなたさえいれば兄はどこにも行きませんから!!」


「えっ…?!そっち?」


「アハハ!そっちってどっちですか?こう見えて僕は新婚なんです!!それなのに兄の奇行に突き合わされて妻とはまともに過ごせていない!これって離婚の危機だと思いませんか?」


「う…っ!確かにそれはまずいですね!!!」


 さっきの感動を返して欲しいが、水覇すいは殿が新婚だったなんて!!!知らなかった…。

しかも、ずっと奥さんと会えていないなんて!!それは由々しき事態だわ…。かわいそう…。


「そうでしょう!そうでしょうとも!!怜彬れいりん殿なら分かってくれると思っていました!!」


「はい!わたしにできることなら何でも仰ってください!!」


 若干、水覇すいは殿のテンションがおかしいけど…。仕事のし過ぎで変になっているのかな?


「ああ。さすが宝石の妖精…。怜彬れいりん殿だ。なんて優しいんだ…」


 いや。それは関係ないでしょ!!


「あなたがいればもう安心だ。僕はしばらく妻とゆっくり過ごします!!」


「わかりました。ゆっくりして下さい!!」


「さっそく、これから新婚旅行へ行って、その後しばらくは所有している別荘で過ごそうと思います。2か月ほど留守にしますがよろしくお願いしますね!!」


「にっ…?!2か月ですか?」


「ちょっとまて!!水覇すいは。どういうことだ?」


 さすがに黙っていられなかったのか、雷覇らいはが会話に入ってきた。


「兄さん…。最近の僕は本当に頑張ったと思うんだ…。兄さんが勝手に怜彬れいりん殿を追いかけて長期不在になった時も、怜彬れいりん殿がこちらに滞在してそのまま春魏国しゅうぎこくへ行って帰ってこなかった時も…」


「ぐっ…」


「みーんな、みーんな僕が後処理してフォローしてたよね!!頑張ったよね!!」


「あ…。ああ」


「だったら僕も休暇をもらってもいいと思うんだ!!兄さんもそれくらい不在にしてたんだから当たり前だよね?」


 あー…。なんかだんだん水覇すいは殿のトーンがいつもの翠龍りょくりゅうになってきた。


「兄さんだけ、怜彬れいりん殿と楽しく過ごして、僕は妻と過ごせないなんておかしいよね?そうおもうでしょ?兄さん!!」


「そ…それはそうだが…。俺は今怪我もしているし…」


「怪我が何だって言うんだ…。雷覇らいはは軍人で、銀獅子ぎんししだろ?腕の1本や2本どうってことないだろ?こっちは毎日、不眠不休で仕事してんだぞ?」


 あかーん。口調まで変わってしまって完全にキレちゃってる!!


「…。わかった」


「兄さんならわかったってくれると思ってたよ!!有難う!」


 水を得た魚のごとくすっごくいい笑顔で水覇すいは殿が雷覇らいはに抱き着く。やっぱりね…。絶対に水覇すいは殿はお休みしたいって言うと思っていたわ…。雷覇らいはの落ち込み方が凄かったが気にしなことにした。自業自得だし…。


「あっ!それから、来週から叔母上たちがここに来るからそっちの相手もよろしくね♪」


「はぁあああ!?なんだそれ?聞いてないぞ!!」


 さっきとは打って変わって、雷覇らいはの顔色がみるみる青ざめていく。


「僕も今日聞いたんだよ~。しかたないでしょ?僕は妻と新婚旅行に行くから宜しく伝えといて♪」


「ちょっと待て!!俺だけで叔母上達の相手をしろだなんて無理だろ!!」


 珍しく雷覇らいはが焦っている。そんなに凄い人なのかな?叔母上様は…。


「大丈夫だよ!今回は怜彬れいりん殿もいるじゃん♪ねっ!よろしく!!」


「…。はぁ…わかった」


「じゃっ!!僕はさっそく旅行の準備があるから帰るね~。後は宜しく♪」


「はっ?!お前もう帰るのか?まだ黒綾こくりょう殿の事が終わってないぞ!」


「ああ。サイガから報告は聞いてるよ。細かいことはムツリに聞いて!あとは兄さんに任せるよ!じゃあね!」


 もう誰が止めても無理だった。水覇すいは殿は羽が生えたみたいに軽やかに歩いて行った。あとすっごくウキウキしながら部屋を出ていってしまった。まぁ…。仕方ないよね…。


「えーと…。雷覇らいは、大丈夫?」


 わたしは雷覇らいはに声を掛けた。一気に疲れた様子になってしまった。


「すまない…。怜彬れいりん。帰ってきてそうそうこんなことに…」


「気にしないで!お仕事もそうだけど、叔母上様の事も一緒に頑張りましょう?」


 わたしは必死になって励ます。こんなにダメージをくらっている雷覇らいはは初めて見た。


怜彬れいりん!!ありがとう!!」


 物凄い勢いで抱きしめられた。うーん…。やっぱりすごい人達なのね…。雷覇らいはの叔母上様達って。覚悟しておこう!!


「それでは雷覇らいは様、今後の事で確認事項がありますので、このまま執務室へ行っていただけますか?」


 ムツリという男性が、話しかけてきた。ぜんっぜん。存在感なかった!!でも…。誰かに似てるなー?誰だろ?


「ああ。わかった…。怜彬れいりん。すまない。先に部屋へ行ってくれ」


「わかったわ。私のことは気にしないで!ここには何度か来ているし…」


怜彬れいりん様のお部屋は前回ご使用して頂いた時と、同じ部屋をご用意しております。あと、申し遅れました。私は水覇すいは様の従者をしております。ムツリと申します。いつもサイガがお世話になっております」


 丁寧なあいさつをされてハッとした。サイガのご家族だったのね~。どうりで似ていると思った!!

ムツリは褐色の肌に、黄色いフワフワの髪の毛に少し黒味がかかった青い瞳していて、顔はサイガそっくり。醸し出す雰囲気は全く違うけど…。


「初めまして。秋唐国しゅうとうこく怜彬れいりんです。宜しくお願いします。サイガはムツリの…」


「私は兄です。ここにいる間何か困ったことなどありましたら、遠慮なく私にお申し付けくださいませ」


「お兄さんなのね!!どうりで似ていると思ったわ。ふふふ。」


「もう、それくらいでいいだろ?」


 私とムツリが話していたのが気に入らなかったのか、雷覇らいはがまたぐっと私を抱き寄せてきた。怪我してるのに大丈夫かしら?


「はぁ…。雷覇らいは様。従者として挨拶をしていただけす。それくらいも分からないとは…。国王とは何たるかをまたお教えする必要がありますね?」


 ぎろりとムツリが雷覇らいはを睨んだ。なんだろ?教育係とかだったのかな?


「…いや。いらん!」


雷覇らいは。わたしは部屋で待っているわ。だから早く行ってきて…ね?」


「…。分かった。すぐ戻るから待っていてくれ!」


「お気遣いいただきありがとうございます。怜彬れいりん様。さっ!行きますよ。雷覇らいは様。歩かなくていいように、あちらに車椅子をご用意しております」


うーん…。さすが水覇すいは殿の従者って感じね。全く隙が無い。冷静で淡々としている。


有無を言わせない感じで、ムツリは雷覇らいはを連れて行ってしまった。すごいなー。雷覇らいはを見送ってからわたしは、用意された部屋へ向かった。

黒綾こくりょう殿はこの国へ入ってきたタイミングで、別室へ案内されてどこかに連れて行かれてしまってた。入国に必要な手続きがあるそうだ。また落ち着いたら、会いに行こう!!


それにしても、雷覇らいはの叔母上様ってどんな人なんだろ?わたしが嫁いてできた時にもお会いしていなかった。炎覇えんはのご姉妹かな?それくらいは聞いとけばよかったと思った。


その日は結局、雷覇らいはは戻ってこなかった。なんとなーく、予想はしていたけどムツリにみっちり絞られたような気がする…。なんか、厳しそうだったもんね~。


朝起きたら、知らない間に雷覇らいはが隣で眠ってた。いつ戻ってきたんだろう…。そんなことを考えながら彼の髪の毛に触れる。よく寝てる…。いつもは先に起きているのに…。


眠っている雷覇らいはを見つめながら、思った。雷覇らいはに早く好きって言いたいな…。

好きって言ったらどんな顔をするかしら?

喜んでくれるかな…。それとも、すっごい甘々フェロモン攻撃をされるのかしら…。

ふふふ。それならそれでいっか。もう何も怖いものはないもんね…。


わたしはまた雷覇らいはの横にくっついて、彼の寝息を聞きながらもう一度眠りについた。

久しぶりに一緒に眠った。やっぱり雷覇らいはの隣は居心地がよくていい匂いがした。






最後までお読みいただきありがとうございます(#^.^#)

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