46.それぞれの憂鬱
色々誤字すみません!!m(__)m
都度読み返して修正していきます!!
雷覇が目覚めて1か月。体力も戻り、松葉つえを使いながら歩けるほどに回復した。
わたし達はいったんお城に戻ることになった。やはり被災地での治療には限界がある。設備が整った場所で療養が必要だという事と、移動できる体力も戻ったためだった。
現場の指揮はサイガが代わりに行ってくれる。リンリンは私と一緒にお城に行って、ラカンは残ることになった。
わたしと雷覇。そして黒綾殿も一緒にお城へいく運びになった。被災地にいては黒綾殿の命が危険に晒される可能性がある。お城で警備した方がいいと雷覇が判断したためだった。
「怜彬殿!荷物は僕が持ちますよ!!」
屈託のない笑顔で黒綾殿が私の荷物を持ってくれる。ふふふ。すでに私に懐いて姉のように慕ってくれている。うん。うん。いい事だわ~!わたしの弟が一人増えた気分で嬉しい。
この分だと夢の、かわいい弟たちに囲まれてするお茶会が実現しそうだわ!!
「ありがとう!!黒綾殿。それじゃこっちの荷物もお願いできる?」
黒綾殿がテキパキ動いてくれたおかげで荷物は案外早くまとまった。あとは馬車に乗って帰るだけ。雷覇はサイガと最後の打ち合わせをしている。
黒綾殿は本当によく気が付くいい子だ。常に人の動きをみて次に自分がどうすべきか瞬時に判断できる。しかも、イレギュラーが発生した時も冷静に対処して、機転を利かせることもできるのだ。
なにより、誰にでも気さくに話して、懐いてしまう。あの無邪気な笑顔で来られたら誰でも彼を好きなるだろう。人と接するのも上手だった。今では救助隊のアイドル的存在だった。
彼が時期国王に任命されるわけがよく分かった気がした。
ひとまずわたしは、怜秋に手紙を書くことにした。毎日忙しくて連絡をきちんとしてない。きっと心配しているだろうな…。怜秋には、雷覇の怪我がなおるまで夏陽国に滞在する旨の内容を書いた。
あとは、怜秋によく似たかわいい弟ができたこともしたためる。
きっと、怜秋は喜ぶだろうな~。お兄ちゃんができるわけだもんね!!
あっ!あとマーリンにも手紙を書こう。今度会って、ゆっくり話したい。わたしが過去を乗り越えたことを伝えたかった。彼女の事だ手放しで喜んでくれて、女子会よ~とか言って一晩中話していそう!!
それに、冬條殿とその後どうなったのかもすごく気になるわ!!
仲良くしなっているといいのだけれど…。ふふふ。手紙を書いているとわたしは本当にたくさんの素敵な人に囲まれていることに気が付く。もう一人じゃない…。そう思うだけで心の中が温かいもので満たされていくのを感じる。
「怜彬。なにがそんなに嬉しいんだ?」
不意に後ろから声を掛けられた。
「お帰り!雷覇!もう打ち合わせは終わったの?」
わたしは雷覇の元へ駆け寄る。少し歩きにくそうだ。私は彼の横に行って支えた。
「ああ、サイガに引き継いできた。まぁ実際のところ現場を指揮していたのはあいつだからすぐにすんだよ。それより嬉しそうな顔をして何をしてたんだ?」
「ふふ。皆に手紙を書いていたの。そしたら沢山の素敵な人に囲まれてるなって思ったら、嬉しくなって」
「そうか…。怜彬には人を惹きつける魅力があるからな」
そう言っておでこに、口付けをする雷覇。ちょっとくすぐった気持ちになる。
「そうかな?それなら嬉しいわ!」
「城に戻ったら、しばらくは滞在するんだろ?」
「ええ。そのつもりよ。雷覇の怪我が治るまではいるつもり!」
「そうか…。ならしばらくは二人でゆっくり過ごせるな…」
「うーん…。それはどうしら?難しいんじゃない?」
何か月もお城を留守にしている。水覇殿の顔が浮かんだ。きっと、仕事を任せたくてうずうずしているだろう…。
「なんでだ?城に戻ってもやることはあまりないだろう?」
「あるわよ、水覇殿が代わりにしてくれている事を雷覇がしないと!!」
「はぁ…。そうだった…。すっかり忘れていた。水覇に叱られるな…仕事したくないなー」
甘えたような声を出して雷覇がわたしの肩にもたれかかってくる。わたしは嬉しくなって彼の頭を撫でた。はぁ…。今日もうっとりするくらいサラサラだわ!!
「ふふふ。そんなこと言わないで…。わたしもお手伝いするから…ね?」
「うーん…。怜彬がそう言うなら…」
そう言いながら、雷覇は大人しく撫でられている。怪我をしてから、雷覇は時々こうして甘えてくれる。すっごくホクホクした気持ちになった。
確かにずっとこうして二人で座って…。のんびりできたら幸せよね…。
「仕事が終わったら、歩く練習もしないとね!先生が体を動かした方が回復も早いって仰っていたわ」
「それに関しては俺も同感だ。もともと動いている方が性に合ってるしな!」
…。今って、チャンスじゃない?二人っきりだし…。いい感じの雰囲気だし…。
わたしはぎゅっと自分の服を握り締める。凄い心臓の鼓動が速くなる…。きっ…緊張する!!
「ら…」
「すいません!!怜彬殿!!ちょっと荷物の確認をして欲しいんですが!!」
そう言って黒綾殿が勢いよく入ってきた。!!!
「ちっ!!!」
雷覇が珍しく舌打ちしている!ああ。これ絶対にあとから不機嫌になるタイプ…。本当に黒綾殿は絶妙なタイミングで入っているくるな~。
「ありがとう…。じゃあちょっと確認しに行くわ。雷覇。また後でね!」
「ああ…」
そう言ってわたしは黒綾殿と一緒にテントを出た。
「すいません!!お二人のところを邪魔してしまって…」
凄い泣きそうな顔で黒綾殿が謝る。あああ!泣いている顔もかわいいなんて反則よ!!
「平気よ。気にしないで」
はぁ…。また告白できなかった…。この1か月。ずっとこんな感じだ。わたしがさっさと言ってしまえばいいんだろうけどな~。あああ!早く言いたい!!でも恥ずかしい!!
…。告白しようと考えるだけで汗がぶわって出てきて、全身の毛穴が開く感覚がする。
はぁ…。難しいな…。告白って。わたしはちょっと憂鬱になりながら荷物の確認をするのだった。
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黒綾殿が邪魔だ…。怜彬と二人きりなり、いい感じになるたびに水を差すように入ってくる。しかも…。自然に。
怜秋殿ほど、敵意をむき出しにはしてこないが、まったく俺に好意があるかというと
そうではないだろう。彼が怜彬を見つめる視線はどう見ても普通ではない。
姉を慕っているように見えるが、その瞳の奥の熱は明らかに恋情がこもっている…。
純粋で無邪気な性格で、ここの連中も黒綾殿を弟のようにかわいがっている。それだけに質が悪い。
悪意がない分、対処がしずらかった。怜彬と引き離しにかかりたいが、その隙が無い…。怜秋殿とは違った意味で厄介だった。
そして怜彬は彼の気持ちに全く気が付いていない。おそらくかわいい弟ができた。くらいにしか思っていないだろう…。相変わらず彼女は天然の人たらしだった。行く先々で彼女を好きなる人が増えている気がする…。はぁ…。この悩みは一生解決することはないのだろうな…。
早く自分のものにしてしまいたいが、怜彬の気持ちも大切にしたい。彼女が話してくれるまでは待つつもりではいる。今の彼女は俺に対して真摯に向き合ってくれいていると感じる。
それが心地いい。怪我をしているからかどうかはわからないが、明らかに彼女の俺に対する態度が違ってきている。いい傾向だと思う。徐々に過去を克服できているのかもしれない…。
それならこんなに嬉しいことはない。思わず頬が緩む。サイガに見られたら絶対に気持ち悪いとか言われるだろうな…。
怜彬が気持ちを伝えてくれるまで、俺も精神をコントロール術を身につけなくては!!
さっきの頭をなでられるやつはヤバかった!!!怪我してて本当によかった!!
本当に…。怜彬はなんであれを無意識でやれるんだ?はぁ…。
彼女が一番質が悪い…。厄介な人を好きなったものだと思った。きっとこの先もこんな悩みは次々と訪れるだろう…。全くもって憂鬱だ。
それでも彼女を諦めるなんてできない。何があっても手に入れる!誰にも邪魔はさせない…。そう静かに考えていた。
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