45.甘々フェロモン攻撃再開です。
雷覇が目を覚ましてから20日が経過した。
ものすごい勢いで回復した雷覇は、今ではすっかり声に出して話すことができている。
本当に良かった!!
右手もすっかり自由に動くようになった!良かった!!!
…。なのだけど…。
もう…。みなさんお分かりですね?そうですよ!!
甘々フェロモン攻撃が再開ですよ!!
わたしが包帯を変えようとしてる時とか、ご飯を食べている時とか…。
台風の如く猛威を奮ってきます。防ぐことは困難です…。
今も、ベットの上に上がらされて、雷覇の横に座っている。
「雷覇…。もうそろそろいいでしょ?…離してっ」
「無理だ。全然、怜琳が足りない…」
いやー!!やめて!!耳元でそんな事言わないで!!!
「怪我に障るから…ね?」
「2ヶ月近く怜琳に触れてこなかったんだ…もう少しだけ…」
「んっ…」
頬に唇を落とした後、髪をすくいあげられる。
首筋に雷覇の息がかかってきた。
柔らかく湿っている感触がくる…。
背中がゾワゾワと電気が走るような感覚がした。指先もしびれているような気がする。
チュっと音を立てて首筋を吸われた。少し痛い…。
はぁ…。思いっきり流されてる。激しく抵抗しようとも思ったが、彼の左手を見て、思いとどまった。心臓がすごい速さで鼓動を打っているのが分かる。
これ…。口づけより恥ずかしいかも…。
「これで…よし!!」
そう言ってやっと開放された。雷覇はすっごい満足そうな顔をしている。
ふぅ…。終わった。まだ首がじんじんする…。
「首になにかした?すごいじんじんするんだけど…」
「ちょっと印を付けただけだ」
「…印?」
何のことだろう?そんなのつけれるの?雷覇の言葉の意味が分からなかった。
わたしはご飯を食べ終わった食器を持って片付けに行った。
わたしを見たリンリンに、今すぐ首に布を巻けと言われた。
なんで?と思って鏡を見た。すると首筋に赤い蕾のような痕があった。
…!!!なにこれ?!
雷覇の言ってた印ってこれのこと!!!やだ!すっごく恥ずかしい…。
でも見られたのが、まだリンリンで良かった。
他の人が見たと思うと自分が破裂しようなくらい恥ずかしい気持ちになった。
「…。なんだ。もう隠してしまうのか?つまらん」
テントに戻ってきてそうそう、雷覇に突っ込まれた。
「雷覇のばか!!こんな目立つ所に変なことしないでよ!!」
「目立つところにしないと意味がない。怜琳が誰のものか分かるようにしたのに…」
「言っとくけど、印が消えるまでこの布は取らないわよ!!それから、ご飯ももう自分で食べて!!」
「なっ…!そんなの酷いぞ!あんまりだ!!」
「右手使えるようになってるんだからいいでしょ!!」
わたしは怒ってプイッとそっぽを向いた。雷覇に触れらるのは嬉しい。嫌じゃないし。でもこんなのは無理!!
「…何でそこまで怒るんだ…。人前でしてないのに…」
「…っ!」
また!そんな、捨てられた犬みたいな顔して!!そんなにかわいい顔してもダメなんだから!
「これはやり過ぎよ!!」
「あの~。お取り込み中すみません…」
後ろから突然声を掛けられた。振り向くと黒綾殿が立っていた。やだ!いつからいたの?…でも助かった!!
「黒綾殿か。何のようだ?今は凄く忙しいんだが?」
「そんな事ないわ!どうしたの?黒綾殿!!」
「あの、ずっと何もせずにお世話になるのは心苦しいので、何かお手伝いができる事はないかと思って…」
少し顔を赤らめながら、黒綾殿が話し始めた。お手伝いがしたいだなんて!!なんていい子なの!!そして照れている顔もかわいいわ!
「ありがとう!とっても助かるわ。これから、洗い物と服を繕おうと思ってたの!手伝ってくれる?」
「はいっ!!ぜひ!!」
やーん!!かわいい。子犬が尻尾振ってるように見える~。
「じゃッ!雷覇。わたしは忙しいから!」
「えっ…ちょっと待て!怜琳!!」
雷覇が止めてきたけど、聞こえないふりしてテントを出た。ちょっとお仕置きしなくっちゃ!!さすがに今回のは良くないわ!!
「あの…。いいんですか?雷覇殿呼んでましたけど」
「大丈夫よ!ちょっと時間をあけないといけないだけだから!」
わたしは息を荒くしてずんずん歩いた。
「あっ。この洗い物は僕が持ちますね!!」
そう言ってわたしが抱えていた洗濯物を持ってくれた。黒綾殿は本当にできる子ね!!
「ありがとう!黒綾殿…。優しいね」
わたしは嬉しくてつい、怜秋にしているみたいに頭を撫でた。
「っ…!!!」
凄く驚いた様子で黒綾殿がこっちを見てきた。やばい!!やっちゃった!!
「あっ!ごめんね!つい癖で…。弟にやってるみたいに…」
「いえっ…。ちょっと驚いただけです。頭を撫でられるなんて久しぶりなんで…嬉しかったです」
「そう?なら良かったわ」
黒綾殿がちょっと俯きながら伏目がちに話す。
頬を真っ赤にしている。はにかむ黒綾殿もかわいいわ!!
黒綾殿は瞳がとっても大きくて、肌も綺麗だから、女の子みたいに見えることがある。
髪の毛も後ろで高く結んでる。
…。女装させたら凄いことになるんじゃないかしら…。
絶対!絶世の美女になるわね!今度お願いしてやってもらおう!!
マーリンも呼んだら絶対凄いクオリティになると思うのよね~。
ふふふ。楽しみだわ!
「怜琳殿と、雷覇殿は仲がいいんですね!」
わたしと黒綾殿は川まで来て、洗濯物を洗っている。何気に黒綾殿のほうが上手い。テキパキこなしてくれる。
「うっ…。仲…いいわね…多分」
仲はいいわよね…。うん。ただ…。何ていうか…。こう…。
あの甘々フェロモン攻撃が過剰だから、あんまりちゃんと話せてないっていうか…。
なかなか告白できるタイミングもないし。
「お二人は昔からお知り合いだったんですか?」
「そうね。4年前から知っていたわ…」
「そうなんですね!昔から雷覇殿が好きだったんですか?」
ううう…。なんか黒綾殿、グイグイ来るわね!
そういう事に興味あるお年頃なのかしら?まぁ…。18歳だしね!
「…。好きになったのは最近ね…。黒綾殿は誰か好きな人いるの?」
「えっ…!僕ですか?」
「うん。気になる女の子とかいないの?」
「…。います」
「きゃっ!!そうなんだ!!どんな女の子なの?」
うわー!!真っ赤になってかわいい!!
そっか。そっか。黒綾殿は恋しているのね~。
わたしは前のめりになって聞いた。
「とっても綺麗な人です…。髪の毛がサラサラしてて、笑うと花が咲いたみたいになるんです!見てるだけで幸せです」
「わぁ!とっても素敵な人なのね~。黒綾殿がそこまで言うなんて!」
「はい!とっても大好きです!!」
黒綾殿!とってもいい顔!!笑顔が眩しいです!!そしてかわいいです!!初々しい感じがまた何とも言えないわね~。
怜秋とかも、こんな風に誰かを好きになるのかしら…。
楽しみだわ!!
思ったよりも早く洗い物が終わったため、わたし達はテントへ戻って服の繕い物をした。
雷覇は、本を読みながらベットの上で大人しく座っている。
片手しか使えないものの、器用に読んでいた。
「ねぇ、黒綾殿!ここの隅はどうやって縫うの?」
「あ…。そこはですね。ここを…こうして」
「おー!!凄い!!やっぱり、器用だね~」
「ありがとうございます!」
うん。うん。なんか、いい感じだぞ~。かなり懐かれてるわね!!
黒綾殿はとても素直だ。褒めると照れるところもかわいい。
ふふふ。弟ができたみたいで嬉しいぞ~。
ふと視線を感じて顔を上げると、雷覇にめっちゃ見つめられてた。
どうしたんだろ?
わたしは立ち上がって、雷覇に近づいた。
「雷覇。どうしたの?なにかほしいの?」
「えっ…あ…水が欲しいなと…」
「お水?ほんとだ切らしてるわね!ちょっと入れてくるわ」
「あっ!それなら僕が入れてきます!!」
「いいの?」
「はい!!怜琳殿は雷覇殿の傍に居てあげてください!!」
「じゃあ。お願いするね!」
やっぱりいい子よね~。黒綾殿!うちの子にならないかしら!!
そしたら、怜秋と一緒に、お茶したりして楽しそう!!
そして、かわいい二人に囲まれるわたし!!
いい!!絶対楽しいわ!!
「怜琳…。もう怒ってないか?」
ちょっと遠慮がちに雷覇が聞いてくる。
わたしは横に座って手を握って話す。こういう時の雷覇はとってもかわいい。
「もう怒ってないわ。ちゃんと反省した?」
「…した」
「なら許す!!」
「…」
「どうしたの?」
まだなにか気になることがあるのかしら…?浮かない顔をしている。
「ご飯…食べさせてくれるか?」
ぐっふぅ…!!なに?その顔?そして、何?食べさせてくれるか?
…!!!かわいすぎでしょ!なんか…。
こう。母性本能がくすぐられるといいますか…。
わんこ雷覇はかわいいです!!
「ふふふ。いいわよ!」
「よかった…。数少ない俺の楽しみだからな」
そう言って手の甲に、口づけを落とす。そんなに楽しみにしてたのね!
まぁ。わたしは怜秋で慣れてるからいいんだけど。
甘えてくる雷覇はちょっと幼く見えて愛おしい。
あ。今いいタイミング何じゃないかしら?
告白の。わたしは雷覇の手をぎゅっと握った。
「雷覇。あのね。わたし…」
「只今戻りました!!!」
言いかけたらニコニコした黒綾殿が戻ってきた。
わたしは思わず、雷覇の手を振り払ってしまった!!びっくりした!!
「おっ…!!おかえりなさい。ありがとう、黒綾殿」
わたしは黒綾殿からお水を受け取った。
うわーん。いいタイミングだったのに~(泣)
わたしは、告白のタイミングを逃してしまい、すっごくしょんぼりした。
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