39.前へ・・・・~怜秋の気持ち~
色々、誤字すみません!!都度読み返して修正していきますm(__)m
五神国会議が終わり、秋唐国へ戻って1週間。
うーん…。わたしは思い悩んでいた。雷覇に想いを伝えようと息巻いていたが、タイミング悪く、夏陽国の南部で問題が発生した。
大規模な災害が発生し、救助と復興活動が必要になったため雷覇が指揮をとることになったのだ。
その為、しばらくは会えないとの連絡が来た。
「せっかく気持ちを新たに雷覇に伝えようと思っていたのに!!」
出鼻をくじかれた。くそぅ!!!一刻も早く彼に会って気持ちを伝えたい。最後にあった時、彼が言っていた言葉も気になる。
「怜琳…。君が好きだ…。それは変わらない。でもこのままでは俺は傍には居られない…」
きっとわたしがまだ、炎覇の事を好きだと思っているのだろう。それは、間違いではない。だが炎覇への気持ちは私の中ではいい思い出として残ってる。炎覇への気持ちを無駄にしないためにも、雷覇にきちんと伝えなくては…。
今、一緒にいたいのは雷覇だ。口づけして欲しいのも、抱きしめてほしいのも、手を繋ぎたいのも雷覇だった。わたしは、はやる気持ちを抑えて、水覇殿に手紙をしたためた。
秋唐国から、夏陽国へ支援をしたいという申し出の手紙だ。
なんとか支援という形で夏陽国に行けないかしら…。実は秋唐国は山岳地帯のため土砂崩れが起きやすく、災害への対処の仕方は慣れている。とくに、鉱山を掘り進めるときには落石事故もよくあり、人命救助や復興のノウハウをたくさん持っている。うまく使えないだろかとわたしは考えていた。とにかくなんでもいい。雷覇の役に立ちたかった。最悪会えないとしても、裏方で支えてあげればいい。災害の時に必要なのは人手と知識だ。彼が困っているなら助けたいと思った。
もう、前に進むしかない。立ち止まっている時間はない。わたしは強く思った。もしかしたら、明日わたしが死ぬこともあるのだ。今までたくさん泣いて、悩んだ分吹っ切れてからの気持ちの切り替えは清々しいほど早かった。元々わたしは行動力があることが自慢なのよね!!
これからはガンガン攻めるわよ~!!!雷覇!!今に見てなさい!!もう嫌だって言ったって離れてあげないんだから!!
わたしは、意気揚々としていつでも出発できるように準備を進めるのだった。
あとは…。怜秋の説得だった。婚約に賛成しているとはいえ、わたしが結婚することには反対だった。五神国会議が終わった後、わたしが泣きはらした顔で戻ってきたのを見て、すごく怒っていた。雷覇が泣かせたと思っていたからだ。
「姉さんをこんなにするあいつが嫌いだよ…結婚しなくていいからね!!」
珍しく直接的な言葉をつかって話していたから驚いた。いつも冷静で、年齢の割には落ち着いている怜秋。あれほど感情を表したのは珍しかった。それほどわたしの心配をしてくれてるのよね…。
わたしは、怜秋のいる、執務室へ向かった。
「怜秋!いる?」
「姉さん!!どうしたの?」
嬉しそうに怜秋が駆け寄ってくる。ああ!!今日もかわいさ増し増しね!!!
「雷覇の事で話したいことがあるの。ちょっと時間をもらえない?」
「…。今すぐでないとダメ?」
「ええ。できるだけ早く話したいの!!」
「わかった…。もうちょっとで一区切りつくから、お茶室で待ってて…」
「ありがとう!!怜秋!!じゃあ、お茶室で待っているわね!」
わたしは、怜秋をぎゅっと抱きしめて部屋を出た。
少ししてから、怜秋がお茶室に入ってきた。表情は暗い。そりゃあそうよね…。でも、きちんと話して分かってほしい…。誠心誠意、怜秋に伝えるしかないわ!!
「怜秋…。時間をくれてありがとね」
「うん。話って…なに?」
「あのね、わたしずっと好きで忘れられない人がいたの…」
「えっ!!?そんな人いたの?姉さん」
めっちゃ驚いてる…。ううう。ごめんね。実はいたのよ…。4年も前から。
「うん。炎覇って言ってね、雷覇のお父さんなの。わたしが最初に嫁いだ人」
「…!!!まじで?雷覇殿のお父さんって言ったらかなり高齢だよね?」
「ええ。そうね。かなり歳は離れていたけどそんなこと関係なく好きだったわ。だから病気で亡くなったときは凄く悲しかった…」
「そう…だったんだ。ごめんね…僕何も知らなくて…」
怜秋が凄く悲しそうな顔をする…。優しい子。
「怜秋が気に病む必要ないわ。今はもう立ち直ってるの。雷覇のおかげだよ…。今までは大切な人を失う事が怖くて、拒否してた。結婚したくなかったのも雷覇が嫌じゃなくて、過去が原因だったの…」
「そうなんだ…。もう立ち直ったってことは、雷覇殿と結婚するの?」
「今すぐとはいかないと思うけど、私はそうするつもり…。今度こそ信じてみようと思うの。だから怜秋にはきちんと分かってほしくて…」
「…」
怜秋は俯いたまま、何も言わない。きっと混乱しているのね…。無理もないか。わたし、さんざん結婚しないように動いていたものね…。
「怜秋…」
「姉さん…。嫌だよ!!結婚してほしくない!!」
「…!!怜秋…」
怜秋が泣きながら訴える。この子が泣いているところを見るは久しぶりだった。決して弱音をはかず、いつもわたしを支えてくれてた怜秋…。周りをよくみて、自分がどうしたいか?よりもどうすべきかで行動していた。本当に賢くて優しい子…。
「どうして…!?なんで結婚なんかするの?僕は姉さんと一緒にいたい!!離れたくない!!」
ポロポロと涙を流しながら、怜秋が話す。わたしは黙って聞いていた。
「僕には姉さんしかいない…。姉さんが居なくなったら何を支えにしたらいいの…?」
わたしは怜秋を抱きしめた。そんな風に思ってたなんて…!!!怜秋もわたしを抱きしめ返す。わたしは怜秋の頭を優しく撫でる。雷覇にそうしてもらったように…。
「僕は姉さんが好きなんだ!!ずっとずっと…!!!小さいころから…姉さん以外いらない!姉さんがいればそれでいいんだ!!!」
「怜秋…」
わたしはずっと怜秋の言葉に耳を傾けていた。彼が愛おしい。かわいい私の弟。わたしの持てる愛情をすべて注いできた…。彼はそれが無くなると思って怖がっているんだろう。
「わたしも怜秋が大好きよ…。誰よりも大切だわ。わたしの持てる愛情を全部あたなたに注いできた」
「だったら…!!!どこにも行かないで…僕を…置いていかないで」
「怜秋、わたしが誰かを好きになっても、怜秋を愛している気持ちは変わらないわ…。わたしの愛情はそんな簡単なものじゃない…」
「…。姉さん…」
「あたなたは私の唯一の家族で、大切な弟…。ほかの誰にも代わりがきかないたった一人の怜秋…。大丈夫。なにも失ったりなんかしないわ…」
「ううう…。姉さん…」
むせび泣きながらわたしにしがみつく怜秋。わたしは彼の背中を撫で続けた。
「怜秋が怖がる気持ちもよく分かるわ…。わたしも少し前まで、おんなじ気持ちだったから…」
わたしは炎覇の事を想いながら話した。大切な人がいなくなる悲しみ。傍にいられない寂しさ…。全部、全部大切な気持ちだ…。
「好きな人がこの世からいなくなる…。それだけで世界が終わってしまうくらい悲しい。真っ暗で何も見えなくなる…。わたしはそんな気持ちでこの4年間を過ごしてきた…」
怜秋が少し落ち着いたのか、静かに私の声に耳を傾けていた。
「でもね…。好きな人がいたことは変わらない…。愛した気持ちも消えない。その気持ちがあるから今のわたしがあるの…。過去を受け入れて前へ進むことができたのは雷覇のおかげなの…。彼がいなかったらわたしはずっと過去に縛られたままだったわ」
「…うん…ぐす…」
「それと同じよ。怜秋を愛してる気持ちは消えない。消したりなんかできないわ!!なんってたって怜秋はわたしの宝物だもの!!あなたがいたから、父や兄が亡くなっても、ここまで来ることができた…。あなたがいたからわたしは強くなれた」
「だからね…。ちょっとずつでいいから、わたしと雷覇の事を認めてほしいの…」
「今すぐは…むりだ…」
怜秋がわたしの胸に顔を埋めながら話す。わたしはまた頭を撫でる。怜秋が愛おしい。こんなかわいい弟をもってわたしは幸せだわ!!
「ふふふ。いいよ。5年先でも10年先でも…」
「ずっと認めないかもしれないよ…。ぼくは姉さんが大好きだから…」
「それでもかまわないわ…。だって、怜秋はわたしの家族で弟だもの…それは結婚しても変わらないでしょう?」
「…。うん…そうだね…」
「大好きよ怜秋!!気持ちを打ち明けてくれてありがとう…」
「ううう…。かっこわるい…僕…すごく取り乱して泣いたりして…」
「いいじゃない!!わたしたちは家族よ?」
「家族でも…。僕は男だからプライドがあるんだよ…姉さん…」
うーん…。なるほど!!男の子も色々と複雑ね!!わたしはかわいいしかないから、分からないけど!!!
「もう…そろそろ離してよ姉さん…」
怜秋がもぞもぞと離れだそうとする。
「えー!!もうちょっと!!!」
「わわっ!!姉さん!!!」
わたしは力いっぱい怜秋を抱きしめた。彼の気持ちが聞けて良かった!雷覇のことはこれからゆっくり、時間をかけて、焦らずやっていこう。人の気持ちは変わる…。ずっと同じままではいられない。わたしがそうだったように、怜秋にもきっと、そうなる日が来る…。怜秋だけを愛してくれる人がきっと現れる。
わたしはそんなことを考えなら、しばらくの間怜秋を抱きしめ続けたのだった。
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