32.五神国会議~溢れ出す想い~
色々誤字がありすいません!!都度修正していきますm(__)m
五神国会議も今日で3日目。いよいよ大詰め!!
と言いたいところだったが、3日目はほとんど何もしないことが多い。
ほぼ宴会だった。打ち上げと言ってもいい。
高級旅館を貸し切りにして、各国の首脳がそれぞれ、思い思いに過ごしていた。
わたしは雷覇を探していた。
さっきから見当たらない…。どこに行ったのかしら?
今日は話してくれるって言っていたのに…。
だんだん、不安になってくる。ここまで避けられている理由はなんだろう?
わたしが書いた手紙くらいしか思い当たらない。
それ以外には全く話していなかったからだ。
でも…。もし…。雷覇が婚約を解消したいって言ってきたら…。
ふとそんな考えが浮かんだ。ここまで避けられているのだ。
よほどの理由がない限り、そんな事するとは思えない。
きっと雷覇が何かしら思い当たることがあり決めたのだろう…。
それはそれで仕方がないと思った…。わたしは雷覇に応えれなかった。
応えようとしなかった。
それで雷覇がわたしを忘れようとしていても、無理はないと感じていた。
でも…。せめて最後は笑顔でお別れしたい。
今までありがとうって言いたい。
わたしはどこか安堵している自分に気がついていた。
このまま、雷覇と破談になれば過去のことは話さなくていい。
向き合わずにまた蓋をして閉じてしまえる…。
今までと変わらない生活に戻るだろう…。
「はぁ…。本当にどこに行っちゃったの?」
散々あるきまわって探したが見つからない…。
わたしは旅館の中庭でに丁度いい椅子があったから腰をかけて眺めていた。
今日は天気もよく日差しも暖かかった。
こんな日はよく炎覇と散歩したっけ…。
不意にそんな事を思った…。
彼はわたしと結婚する頃には引退していて、のんびり隠居生活を楽しんでいた。
跡継ぎも順調に国の政治を行い、自分は残された人生を生きるだけだと、穏やかに言っていた…。
わたしは中庭にある、花壇の前で、きれいに咲いている花を見ていた。大ぶりの花で、花びらが赤くそまっていた。
「炎覇と散歩した時に見た花に似てるな…」
花びらに触れながらそんな事を思っていた。
******************************************
「怜琳は赤い花や黄色…。濃い色の花がすきなのかい?」
散歩している時に、炎覇に聞かれたことがある。
「そうですね…。特に意識したことはないけど、明るい色の花は好きだわ!」
わたしは、庭に咲いている花を眺めながらそんな事を話していた。
とりとめない、話だった。でも彼は、そんな話もちゃんと覚えていた…。
嫁いで半年たった頃に、綺麗な赤い花の簪を貰った。
「君に似合うと思ってね…。買ってきたんだ。つけてもいいかい?」
そういいながら、髪をすくい上げて簪をさす。
「ああ…。やっぱりとても似合うね…。怜琳…」
眩しそうに笑いながら、彼は言った…。
******************************************
花弁に触れながら、自分が泣いている事に気がついた。
ポロポロと無造作に涙が流れる。もう、忘れていたと思っていたのに…。
何かのスイッチが入ると途端に過去の出来事がどんどん、溢れてくる。
涙が流れるのも無意識だった。
彼のことを思い出すと涙が止まらない…。
4年経った今でも、彼のことを思い出すと泣けてくるのだ。
「怜琳…」
振り向くと雷覇が立っていた。
とても切ない表情をしていた。彼もまた泣きそうなのかな…。
そんな事をぼんやり思っていた。
「そんなに好きなのか?あいつのことが…」
ああ…。とても似ている。
雷覇と炎覇は本当によく似ていた。
髪の色、瞳の色、声でさえよく似ていた…。
「…。雷覇…」
彼を見つめながらそんな事を考えていた。
だから、わたしは最初から、雷覇には会いたくなかった。
過去の記憶を呼び覚まされそうで、怖かった…。
「ええ…。好きよ…。今でもどうしようもないくらい好き…」
涙を流しながらわたしは答えた。これが彼が聞きたい事なら、正直に話すべきだと思った。
「忘れられない…。忘れられるはずがない!!…どうしたらそんな事できるの?」
想いが溢れ出して止まらなかった。こんな風に雷覇に話したくはなかった。
「今でも、彼の声、仕草、匂い全部覚えてる…。最後に触れた…。冷たさも…全部。わたしの中にある…どうしたら…」
言葉に詰まってしまった。声が上ずって上手く話せない。
苦しい、悲しい、辛い…。
でも同時に愛おしい…。
「彼がいれば…。それだけで良かった…!!!たとえ…わたしは…子供を…産む必要がなくても…」
「彼の傍に居られれば…。なんにもいらない…!!」
「怜琳…。でも、あいつはもういない!!死んだんだ!!」
雷覇が切羽詰った表情で話す。
雷覇が言っていることは正しい。彼は死んでる。
この世にはもういない。
そんな事頭では分かってる…!!!!
「そんなこと、わかってる!!なんども…!!!なんども理解しようとした…でも、心が…ちぎれそうなの…。彼の死を受け止め切れないの…」
「ねぇ!!どうしたら忘れられるの!!どうしたら彼の事を思い出さないようになるの!!教えてよ!!」
わたしは叫ぶように雷覇に言った。
涙が次から次へと溢れてくる。もう止められない。
涙も…。この想いも…。
「わたしだって…。なんども忘れようとした!!もう彼はいないって…。頭ではわかってる!でも心が追いつかないの!!まだ、彼を好きだって叫んでるの…!!!」
「好きなままでいい。あいつを好きだったことは変えれない。事実だからだ。でも前を見ないとこの先もずっと怜琳はそのままだ!!」
「だからあなたを好きになれっていうの?そんなこと、怖くてできるはずがない!!!」
もう…、やめて!!聞きたくない!!!
「怜琳…。俺は君を愛してるんだ…。心から…」
「…っ!!!雷覇が…好きよ…。わたしも…でも怖いの…」
そうだ…。わたしは怖い。失うことが…。
「みんな…。みんなわたしの前から居なくなる!!!わたしが一番そばに居てほしい時には誰もいない…お父様も…、お兄様も…炎覇も…」
ほんとうは寂しかった…。ずっと誰かに傍に居てほしかった…。
「俺は死なないし、ずっと傍にいる…。怜琳…俺を信じてくれ!!」
「無理よ!!できない…!!!雷覇まで失ったら…わたしはもう立ち直れない…」
雷覇が思いっきり抱きしめてくる。
シトラスのいい香りがする。温かい…。
でも…。彼を失ったらこの場所は永遠に戻らない…。
「怜琳…この先のことなんて俺にも分からない…。でも今なら分かる、俺は死なない。ずっと怜琳だけを、愛していける」
「雷覇…。わたし…怖いの…怖いのよ…」
彼の袖を握りしめながら伝えた。ああ…。
そうだわたしは怖いんだ…。これ以上は傷つきたくないんだ…。
だから今まで見ないふりしてた。
「俺がこれほど伝えても…だめか…?」
「…。ご…めんなさい…ごめんなさい…」
謝ることしかできなかった。
わたしは雷覇に何も応えることができない。
一緒に生きていこうなんて言えなかった…。
不意に身体を離されて顔を両手で抑えられた。
「…っんん……ふぅ…」
思い切り深い口づけが降りてきた。
抵抗できない。わたしは涙を流しながら彼にされるがままになる。
息が苦しい…。涙が止まらない…。
頭の中がぐちゃぐちゃだった。
「んっ…!ん……あっ…・」
今までにないくらい、激しい口づけだった。
わたしの意思なんてお構いなしの…。
雷覇の気持ちがぶつかってくるような口づけだった。
それでもわたしは受け入れてた…。すがるように彼の服を掴んでた…。
「っはぁ……はぁ……はぁ…」
やっと開放されたときには息も絶え絶えになっていた。
「怜琳…。君が好きだ…。それは変わらない。でもこのままでは俺は傍には居られない…」
「…」
泣きながら雷覇を見つめた…。
何も言えなかった。雷覇が優しく唇で涙を拭ってくれる…。
こんな時まで優しいのね…。
「すまない…。怜琳…」
それだけ告げると、雷覇はそのまま立ち去った。
わたしは彼の後ろ姿を眺めているだけで、追いかけなかった…。
追いかけられなかった。
最後までお読み頂きありがとうございます!
ブックマークしてくださった方もありがとうございます\(^o^)/
とっても励みになります。
怜琳が好きな人を失って悲しい気持ちになるのは、父がなくなった時の気持ちを参考に書きました。
感想・ご意見お待ちしておりますm(_ _)m