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31.五神国会議~気まずい二人~

色々、誤字すいません!!m(_ _)m

都度読み返して修正していきます!!

*-------------------------------------*

怜琳れいりんが風邪を引いて熱を出したと聞いて、会議が終わってすぐ俺は彼女の元へ向かった。

リンリンに容態を聞くと、今は薬が効いていてよく眠っているらしい。


彼女の寝顔を見た。1ヶ月ぶりに見る怜琳れいりんの姿だった。

少し痩せた…。この前あった時はもっと頬がふっくらしていた気がする…。

ちゃんと食べてないのか…。怜琳れいりんの頬に触れる。

それだけで、胸が締め付けられるくらい切ない気持ちになった。



怜琳れいりん…」


 そっと彼女に呼びかけた。


「う…ん…」


 彼女がうっすら目を開ける。まだぼんやりしているようだった。


「え…ん…は…?」


「っ…!!!」


 うわ言のように名前をつぶやく。彼女の瞳には涙が溢れてた…。

俺は彼女の涙を拭った。


「あい…たかっ…た…ずっと…」


 か細い声で彼女がつぶやく。


怜琳れいりん…」


 それだけ言うと彼女はまた静かに寝息をたてていた。

夢でも見ていたのか?…。ぐっと内臓がこみ上げてく感覚がした。

彼女の中にまだあいつは居た…。今も夢に見るほどに…!!!

彼女の手を握って怜琳れいりんを見つめる。

ずっと眠れてないのか目の下にはうっすら隈があった。

今日の体調不良の原因も自分かもしれない…。


******************************************

「分かるわよ。わたしは4年前からずっと彼女を見てきた。彼女から色々話も聞いてるわ。ひとつ思い違いをしているから忠告してあげる。」


「彼女を救いたいと思ってるみたいだけど、無理よ。彼女を救えるのは彼女自身よ。自分で乗り越えないといつまでも止まったままだわ」


「よくお考えなさいな。銀獅子ぎんしし様」

******************************************


不意に、春魏国しゅうぎこくでマーリンに言われた言葉を思い出した…。

ほんとうに…。そのとおりだな…。

俺がどれほど怜琳れいりんを想っても、彼女自身がそれを受け止めきれていない。

もしかしたら俺の気持ちは負担になっているかも知れない…。

俺は怜琳れいりんの額に口づけして部屋を去った。




*-------------------------------------*



フッと目を覚ますと、傍に怜秋れいしゅうが座っていた。

一晩中看病していてくれたらしい。

今はベットの脇で眠っていた。

また…。あの夢をみた。もうずっと見ている夢…。

誰かに起こされて目が覚めた気がしたけど…。

夢かしら…。

とても懐かしい人…。

わたしが大好きな人…。炎覇えんは…。

前・夏陽国かようこく国王であり、雷覇らいは水覇すいは殿の父親でもあった。

わたしが嫁いて1年半という早さで亡くなった。


優しくて穏やかで、いつもわたしに愛情を注いでくれてた。

ふわふわ降り積もる雪みたいに…。


「ねえさん…。もう起きて大丈夫なの…?」


「ええ。一晩ぐっすり眠ったら良くなったわ!!」


 わたしは、ニコッと怜秋れいしゅうに笑いかけた。


「良かった!!会議も無事終わったよ。特に問題もなかったよ!」


「それは良かったわ…。ごめんね一緒に参加できなくて…」


 わたしは怜秋れいしゅうの頭を撫でた。


「姉さんは心配し過ぎだよ!お腹すいてない?一緒にご飯食べよう」


「ええ食べるわ。ありがとう…」


 怜秋れいしゅうはパタパタと走っていってリンリンに食べ物を持ってくるように伝えてた。


わたしは窓の外を眺めながら、ぼんやり炎覇えんはのことを考えていた。


五神国ごしんこく会議は3日間かけて行われる。

会議二日目からわたしは参加した。確認事項がほとんどだった。

昨日のうちにおおかた決まってしまっていた。

気になる点としては、隣国から貿易の交渉がしたいと連絡が来ているらしい。


それについては、各国の代表を立てて、それぞれで貿易することに決まった。

今朝から参加しているけど、まだ雷覇らいはとはまともに話せていない。

なんとなくわたしも話しかけ辛かったし、向こうからも話しかけられなかったからだ。

いつものように熱烈に再会を喜ばれるだろうと構えていただけに、肩透かしをくらったような気分だった。


…。雷覇らいは…。やっぱりわたしが、手紙で素っ気なく返事したから?

なんか避けられてる気もする…。お菓子焼いてきたやつどうしよう…。

一応持ってきてるけど。なかなか話すタイミングが掴めず、渡せずにいた。


「そういえば!夏陽国かようこく雷覇らいは殿と秋唐国しゅうとうこく怜琳れいりん殿が婚約されたとか!!」


 いきなり春魏国しゅうぎこくの国王がヘビーな内容をぶっ込んできた!!!

やめて!!今一番触れて欲しくないやつ!!!

雷覇らいはの方とチラッと見ると、ものすごい愛想笑いをしていた。


「そうですね。一年間の婚約期間で今、お互いを知ろうとしているところだ」


 淡々と雷覇らいはが答える。


「おお!!それは素晴らしいですね!また盛大にお祝いせねばなるまい!」


「ええ。その時が来たらお願いいたします」


 和やかに終わったけど、なんか雷覇らいはの言い方が引っかかる…。


そのあとは終日、情報交換で会議は終わった。わたしは、会議が終わってすぐ雷覇らいはに話し掛けた。


雷覇らいは!あの…。ちょっとでいいから話せない?」


「すまない…。この後は予定があるんだ」


「そうなんだ…。じゃあ明日は?」


やっぱりおかしい、冬羽国とううこくの時みたいに目を合わせようとしない。


「明日なら大丈夫だ。じゃあまた…」


 それだけ言うとあっさりと帰って行ってしまった。なんなの?一体…。

言いたいことがあるなら言ってくれればいいのに…。少し寂しかった。

結局お菓子は渡せなかった。

せっかく…。作ってきたのに…。

さっきのあの話し方、すごく拒否されたみたいだった…。

あんな態度をとる雷覇らいはは初めてだった。

こんな時、普通ならなんて声かければいいの?

ジワっと目頭が熱くなってきた…。


「れっ…。れいりん…どの!」


 泣きそうになっている時、後ろから話し掛けられた。

振り返ると冬條とうじょう殿だった。


「あっ!!冬條とうじょう殿!お久しぶりです」


わたしは努めて笑顔で対応した。


「こっ…。この前はありがとう…ございました」


 そうだった…。怜秋れいしゅうのこととか、色々あったからすっかり冬條とうじょう殿がどうなったのか忘れてた。ごめんなさい!!


「ううん。わたしは何もしてないわ!それよりマーリンには伝えられた?」


「あっ…。はい」


 顔を真赤にしながら冬條とうじょう殿が答えてくれる。良かった…。気持ちを伝えられたのね…。


「まずは…お友達から…ということに…」


「あっそう…。でもよかったわね!!」


 冬條とうじょう殿にしては上出来だ!!ずっと片思いだったものね!!

仲良くなるきっかけができてよかった。これは、またマーリンに聞かなくっちゃ!!

流石に今回の会議にはマーリンは来ていなかった。

春魏国しゅうぎこくからはマーリンの弟の第四王子が出席していた。


「れい…りん殿のおかげです…」


冬條とうじょう殿が頑張ったからよ!!」


「僕…だけでは…伝えられなかった…れいりん殿のおかげです」


 凄くいい笑顔でお礼を言われた。冬條とうじょう殿が自分からこれだけ話してくれるなんて!本当に成長しているわ!!!


雷覇らいはとはギクシャクしたけど、冬條とうじょう殿のおかげで、ちょっとほっこりしたのだった。




最後までお読み頂きありがとうございます\(^o^)/

次回、いよいよ怜琳の過去編、始まります!!

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