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29.五神国会議~準備が必要だけどそれどろじゃない件について~


五神国ごしんこく会議。4年に一度行われる、五つの国の首脳陣が一度に集まる大きな会議。


五神国ごしんこく間では争いは絶対に起きない。そういう決まりだからだ。


五つの神が五つの国を作り世界をつくりそれぞの国の特徴を生かし繁栄させる。

昔から続く、この国の神話だ。わたしたちそれぞれの国はそれぞれの神を祀り祈る。

争いを嫌ったそれぞれの神は、問題が起きた時は必ず歩み寄り話し合いをするように人々に言ったとされている。500年ほど前にその掟を破って戦争をした国があったが、ある日それをみた神が怒り雷が落とし、一瞬で辺り一面灰になった。それ以降人々は神の怒りをおそれ争いはせず平和に国を統治していた。


そういった背景から、五神国ごしんこく同士の交流は活発で、それぞれの国同士で取り決めしたり貿易したりする。

皆、昔から交流があるため、それぞれの国同士で仲がいい。

毎回同じメンツが揃う事が多いからだ。



今年もその時期がやってきた。五つの国が一同に会するこの会議だ。

準備が相当必要だ。

もちろん、わたしも怜秋れいしゅうと一緒に出席する。

国の運営を左右する会議。それぞれの国が仲がいいとはいえ、

みんな自分の国に不利益がでないよう牽制しあったりもする。

まぁ毎年、穏やかな会議なんだけどね!!


わたしが秋唐国しゅうとうこくへ帰ってきて、そろそろ2週間が経つ。

‥‥。なにか忘れている気がするけど‥‥。なんだっけ?


怜秋れいしゅうの体調も戻ったし、1ヶ月後に開催される会議に向けての準備もある。

何かとせわしない毎日を送っていた。

会議で提案する議題を事前に提示しそれぞれの回答を持ち寄る仕組みだ。

どんな回答をするかで今後の立ち位置も変わってくる。

きちんと精査する必要があるから大変だ。

それに、どんな服装で誰と参加するという事も重要だった。

わたしの場合、怜秋れいしゅうとわたししか参加資格がないからわかりやすが

各国はではそれぞれ、後継ぎ候補がたくさんいるから、誰を一緒に連れていくか?も重要な事だった。


「姉さん、そろそろ五神国ごしんこく会議の議題について話し合わないとね!」


「そうね!ちゃんと回答しないと大変なことになるものね‥‥」


 すっかり体調も戻って怜秋れいしゅうは元気そう‥‥。本当によかったわ。

この2週間でたくさん、話しもできたし‥‥。

ふふふ。久しぶりに怜秋れいしゅうと過ごせてわたしは大満足よ!!!


「そうだね!ちゃんと内容を考えないとね!姉さんと一緒に仕事できてうれしいな」


 満面の笑顔で怜秋れいしゅうが言う!ううう。まじで天使!!怜秋れいしゅうがかわいすぎて辛い‥‥。


「わたしも嬉しいわ。最近はずっと離れていたものね!」


「そうだよ!いくら婚約期間中とはいえずっと雷覇らいは殿と一緒にいるなんて‥‥」


「そうね…。でもあれはたまたまで…」


 ふと。雷覇らいはと話したのはいつだっけ?と思い出した。置き手紙に私はなんて書いた?

急いでかいつまんでかいたから、ちゃんとした説明をしていない気がする…!!!!

っっ!!!やばい!!

あとから連絡するって言ってしてない!!忘れてた‥‥。

うわー。雷覇らいは絶対に心配してるよね‥‥。

よし!急いで手紙書こう!!!


怜秋れいしゅうごめん!!ちょっと急用を思い出したから、また後で一緒に考えましょ!!」


 そう言って慌てて部屋を出る。

どうしよう~。雷覇らいは、絶対わたしに嫌われたとか思ってるんじゃないかしら‥‥。

自暴自棄になってないといいけど。とにかく誠心誠意謝って、帰省した理由を説明しよう!!!わたしは急いで手紙をしたためた。



*-------------------------------------*

夏陽国かようこく


怜彬れいりんが帰省して20日やっと手紙が届いた!!

俺は嬉しさのあまりその場で手紙を開けた。


雷覇らいは

 突然、何も言わずに秋唐国しゅうとうこくへ帰ってしまってごめんなさい。

 怜秋れいしゅうが病気で倒れたと聞いて、居ても立っても居られず帰らせてもらいました。

心配しているでしょうね‥‥。本当にごめんさい。あの時は怜秋れいしゅうが死んでしまうんじゃなかって、心配で仕方なかったの…。わたしの兄も心労が原因で倒れてそのまま亡くなってしまったから、怜秋れいしゅうもそうなるんじゃないかって‥‥。不安で、不安で‥‥。


あと、わたしが一ヶ月も怜秋れいしゅうと離れていたことがないから、怜秋れいしゅうが不安になって倒れてしまったそうなの。だから、手紙を送るのが遅れたのも怜秋れいしゅうのことで頭がいっぱいでほかの事が何も考えられなかったからなの!


自分勝手なことして本当にごめんなさい。今度お詫びに、手作りのお菓子を持っていくわね!お仕事大変だと思うけど、身体に気をつけて。

怜彬れいりんより』


なんだ‥‥。そうだったのか‥‥。嫌われていたわけではなかった。

俺はホッと胸をなでおろした。彼女の気持ちが伝わってくる手紙だった。…。ん?


文章の最後から下の方に追伸とある。


『追伸。

五神国ごしんこく会議の準備もあるし、しばらく会うのは控えるわね!

また怜秋れいしゅうが倒れても嫌だし!!じゃ!また五神国ごしんこく会議で会いましょう!!』


はぁぁぁっ!!!!しばらく会うの控えるだと!!どういう事だ!!‥‥。

いや五神国ごしんこく会議があるからって書いてあるな‥‥。

嘘だろ?あと1か月以上も先じゃないか‥‥。

俺は眩暈がして、その場に倒れそうになってしまった。

どんな試練だよ‥‥。やっと上手くいきだしたのに…。

しかも、よく見たらこの手紙やたら、怜秋れいしゅうって単語が多いな!くそう!

弟を心配なのはわかるが、この文章を見る限り完全に俺の存在を忘れてたように取れる‥‥。

はぁぁぁ。ダメージが二倍になった気分だった。

20日も連絡がなかったあげく、あと1か月も怜彬れいりんに会えない。

地獄としか思えなかった。


今まで毎日彼女に会っていたから、反動がでかい。おまけに彼女の頭のなかは怜秋れいしゅうの事で頭がいっぱいだという‥‥。

嫉妬でどうにかなりそうだった。

わかってる!相手は12歳の子供で、怜彬れいりんの弟で、怜彬れいりんの唯一の家族だ。


それでも。だ。少しはその愛情をこちらにも向けてほしいとも思ってしまう‥‥。

この1か月間、俺なりにかなりストレートに伝えたつもりだったが、怜彬れいりんには伝わってなかったのだろうか?

彼女は結構、いや。かなり天然なところがある。

しかも本人には自覚がない。あのやり方では足りなかったのだ‥‥。

きっとそうに違いない!!!


…。これではだめだ。もっと、もっと、きちんと気持ちを伝えなければ!!!

俺は今まで以上に彼女への気持ちを伝えることを心に誓った。


よし!!早速、花と手紙を贈ろう!!!

俺はサイガを呼び出して、どの花を贈るか考えながら準備するのだった。

*-------------------------------------*


わたしは思わず絶句した…。一日おきに来る手紙。そして大量の贈り物‥‥。

雷覇らいははいったいどうしたのかしら?なんか‥‥。

ちょっと前の熱烈過ぎて、内容が伝わらない頃の彼に戻っている気がする。

手紙の内容も以前にも増して、訳の分からない感がパワーアップしている。

わたしの送った手紙‥‥。なにかまずいことでも書いてたかしら‥‥?


全く思い当たる節がない。誠心誠意謝ったし、これから会議があるからお互い頑張りましょう的な意味も込めて、しばらく会うのは控えようとも書いた。

うーん…。どうしたものか‥‥。

とにかく、まずはこの大量の贈り物をどうにかしないと!!

一日おきに大量におくられてくるから、整理がとても追いつかない。

今では、贈り物を整理することが、毎日の日課みたいになってる。

王宮のみんなも今日はどんな贈り物が、雷覇らいはから送られてくるのか?

予想しあっているくらいだ。なんだか楽しそう‥‥。


皆からは愛されてるとか、こんなに想われて幸せでしょ?的なこと言われるけど‥‥。全く嬉しくなかった。贈り物はもらって有り難いし、感謝もしてる。

でも、肝心な雷覇らいはの気持ちが全く伝わってこないのが問題だった。

前にストレートに伝えてほしいって言ったのにな~。

なんでかな~。うーん…。


考えても分からないため、次に送る手紙で贈り物はいらないってちゃんと伝えなきゃ!!

そんなものなくても、言葉でわたしは十分嬉しいのに‥‥。

なんだかな~。むずかしいな~。恋愛って!

…。


そもそも。恋愛ってみんなどうやってやってるの?わたしの場合って恋愛になるの!!!

今さらながら、雷覇らいはとの関係がよく分からなくなっていた。

えーと。ちょっと整理しよう!!まず、わたしと雷覇らいはは婚約期間中で、雷覇らいはは私を好きだと言ってくれている。

うん。うん。そうだよね?

んで、わたしがまだ彼の事を好きで忘れられないから、ちょっと待ってって言ったんだった。

うん。うん。そんな話したぞ~。それで、雷覇らいはは待つって言ってくれたのよね。

その代わり自分とも向きあってほしい言って。

だからわたしは雷覇らいはと向きあおうと決めたのよね!!


その後、なんだかんだで雷覇らいはと一緒にいるのが居心地よくなってきて、誘拐された時にわたしが雷覇らいはの事を好きだと気が付いたのよね!!

…。おっふぅ!!!わたしまだ、雷覇らいはに好きって言ってない!!!

やばい!!しかも、過去についてもちゃんと整理して話すって言ってたのに伝えてない!!!

あちゃー‥‥。これは、わたしが完全に悪いな…。

雷覇らいはは待ってくれている間にも、わたしに気持ちをちゃんと伝えてくれてて、ストレートに表現してくれた!!


でもわたしは、受け止めるのにいっぱいいっぱいで、伝えることを忘れてた‥‥。

いやだって、ちょっと言い訳させて!!!

あの攻撃力で猛攻ですよ?甘々フェロモン攻撃ですよ?

そりゃ、余裕なくなるよね!!!

しかも、四六時中だし、人前でも平気でやるし‥‥。

恥ずかしさ倍増。増し増し。

平静でなんかいられない。いつもいつも、ドキドキしっぱなしだった。

‥‥。でもわたし‥‥。また雷覇らいはに甘えてた。

与えてもらうばかりで何も返してない‥‥。雷覇らいはに何も伝えてない。

そりゃ、不安になるよね‥‥。またぶり返しちゃうよね…。


はぁ‥‥。自己嫌悪で吐きそう‥‥。雷覇らいははこんなわたしのどこがいいんだ?

よく雷覇らいはのこと忘れるし、ブラコンだし‥‥。

前の彼の事、忘れられないとか言ってるし‥‥。‥‥。

えっ!?ちょっと待って!!わたし最低じゃない!!

めっちゃ嫌な女じゃない?はたから見たら、マジで最悪!死ね的な感じじゃないの?

うわーん!!だめだー!!(泣)こんな感じで結婚とかほんとうにできるの?

いや!!無理でしょ!!


それに、わたしの中で引っ掛かりを感じている部分もある‥‥。

わたしと結婚するより、雷覇らいはの事がちゃんと好きな女の人と結婚した方が、雷覇らいはは幸せなんじゃないの??


わたしは雷覇らいはと、結婚しない方がいいんじゃないかと本気で思い始めていた‥‥。



最後までお読みいただきありがとうございます(#^.^#)


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