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21.春魏国へ~すれ違い~

春魏国しゅうぎこくの『春緑花祭しゅうりょっかさい』は、五神国ごしんこくの中でも最大規模を誇るお祭りである。

どの国も祭りはあるが、春魏国しゅうぎこくとは比べものにはならないといわれている。

それはまず派手さ、規模の大きさ、期間、予算のかけ方、それらのすべてが五神国ごしんこく一番だった。


国民性が派手好きな人が多いことと、商業国家として

国を上げて取り組む事業も多いため必然的に最大規模になる。

一年の半分の売り上げがこの『春緑花祭しゅうりょっかさい』で売り上げたものといわれているほどだ。

その分人の出入りが非常に激しい。

ありとあらゆる国から、地域からこの国へ集まってくる。

多種多様な人々がいきかい賑わいを増している。

街中に色とりどりの草花が飾られ、キラキラ輝く装飾品がそこかしこに点在している。

目もくらむほどの豪華さだ。



「うわー!!すごーい!!ほんとうに街中、お祭り騒ぎですね!!」


「俺たちの装いも地味に思えてくるな…」


「そうよ~ん。うちの国は派手でなんぼ、目立ってなんぼだからみんな色んな衣装をきてくるのよ♡」


「そーなんだぁ!なんか違う世界に来たみたいね!!」


わたしはキョロキョロしながら、雷覇らいは殿の横を歩いていた。

今は会場の中心部へ向かっている。

そこには、この『春緑花祭しゅうりょっかさい』の目玉である、お祝いのモニュメントが飾られていてみんなそこへお参りすのだそうだ。


怜彬れいりん。はぐれないように気を付けて」


そう言われながら雷覇らいは殿に手を引かれる。

この状況で迷子になったら出会うことは難しそうだ。気を付けないと!!


「毎回、迷子が絶えないのよね~。もし迷子になったら、さっき通ってきた噴水の前に集合しましょ♡」


「わかった。そうしよう」


「はーい!」


「食べ物や飲み物は、露店で買ってもいいし、お店に入って食べてもいいわ♡れいちゃんどうしたい?」


「露店で食べたい!!さっき串に刺さったお肉美味しそうだった!」


「ふふふ。わかったわ。みんなで食べ歩きしましょ!!」


「わーい!!楽しみ~」


食べ歩きとか、久しぶりだ!!普段は中々外で食べる機会がない。

まぁ。王族だから仕方ないけどね!!

お祭りの時の解放感は格別だ!!みんな誰もわたしのことを気にしていない。

周りの目を気にせず自由にふるまえるもの最高だ!!

あっ!あのお菓子も美味しそう~。じゅるり…。

朝早く起きて準備したからもうお腹すいてきた。


怜彬れいりん。何が食べたいんだ?さっきの串焼きか?」


「うん。お腹すいちゃった、食べていい?」


「ああ。一緒に買いに行こう!」


「わたしはあっちで飲み物を買ってくるわ~」


そう言って二手にわかれて買い物をすることになった。


「お嬢さん、お嬢さん」


「えっ?わたし?」


「そうそう。妖精みたいに綺麗なお嬢さん、今一人?俺らと一緒にまわらない?」


おおお。世に言うナンパか!!男性二人組に話しかけられた。

彼らは海賊みなたいな格好をしていて少しお酒を飲んで酔ってるようだった。

ちょっと‥‥怖い…。


「ごめんさい、一緒に来てる人がいるの!」


「まぁまぁ。いいから行こうよ~」


「俺の連れに何か用か?」


手を引かれて連れて行かれそうになった時、タイミングよく雷覇らいは殿が帰ってきた。

ふぅ…。よかった~。これで一安心!


「ああ?なんだお前!この子は俺らと遊ぶんだよ!!あっちへ行けよ!!」


ああ。お兄さん…。やめておいた方がいいですよ~。銀獅子ぎんししですよ~。その人。


「汚い手で怜彬れいりんに障るな。屑どもが…・」


そう言って、雷覇らいは殿が思いっきり相手の頬めがけてパンチした!痛そう!!

殴られたほうはものすごい勢いで吹っ飛ばされてしまった。

雷覇らいは殿めっちゃ怒ってる!!目が据わってるよ~!!!

ああ。ご愁傷様です…。


「ひっ…。」


もう一人一緒にいた人は雷覇らいは殿が凄い強いことが分かったのか

伸びている仲間を連れて逃げていった。さすがです!!銀獅子ぎんしし様!!


怜彬れいりん。大丈夫か?ケガしてないか?」


「うん。平気よ!ありがとう。雷覇らいは殿」


「ならよかった‥‥。これからは怜彬れいりんを一人にしない。」


「あれくらい平気。それよりご飯は買えたの?」


「ああ。欲しがっていた串焼き肉だ」


「うわ~。美味しそう!早くマーリンのところへ戻ろう!!」


ああ。香ばしいお肉の焼けた香り!美味しそう!!早く食べたい。


「れいちゃ~ん。こっちよ~!!」


噴水の前でマーリンが手を振っているんのが見えた。


「あっちでちょうど座れる場所があるから、そこへ行ってたべましょう~」


マーリンの後へ続いて少し、人込みから外れた木の陰にあるベンチまで来た。ここならゆっくり食べられそうだ。


「いただきまーす!!…パクリ‥‥美味しい!!柔らかくてジューシー!」


あー!!お外で大きな口を開けて食べるご飯、最高です!!


「飲み物もうまいな。これは何という飲み物だ?マーリン殿」


「これはお水に炭酸ガスを加えた炭酸水よん♡のど越しがぱちぱちして美味しいでしょ~」


うーん!!のどが、ギリギリして凄い刺激!!でも美味しい~。


その後も、私たちは何件かお店を回って食べ歩きを楽しんだ。


「あっ‥‥。ちょっとあのお店見てもいい?」


わたしは目に留まったお店の前で二人につげた。

路面にたくさんの、文房具や本が並んでいた。

怜秋れいしゅうが好きそうなものがありそう!!

これもお土産にして持って帰ろう~。

わたしは、ワクワクしながら、商品を眺めていた。


「何を買ってやるんだ?怜秋れいしゅう殿に…」


今日も感度抜群の怜秋れいしゅうセンサー健在の雷覇らいはさん…。

もう、また怜もちね!!こればっかりはわたしは、どうしようもないんだからそろそろ諦めてほしい‥‥。


「そうですよ!怜秋れいしゅうに買うお土産です!!」


「前にも買っただろう?もう十分だと思うが?」


「いいじゃないですか?ちょっとくらい買っても!」


「よくない!俺だってまだ怜彬れいりんから貰ってないのに…」


むむむ。またそんなこと言って~!!毎回、お土産買うたんびにこれだ!段々、腹が立ってきた。


雷覇らいは殿はずっと一緒にいるじゃないですか?怜秋れいしゅうはずっと会えてないんですよ?お土産くらい買ってもいいでしょう?」


「俺と一緒にいる時にわざわざ買わなくてもいいだろう?怜彬れいりんには俺だけの事を考えてほしいんだ」


「またそんな子供みたいなことを言って!!雷覇らいは殿は心が狭すぎるわ!!」


「狭くない!怜彬れいりんが、構いすぎるのが良くないんだ」


怜秋れいしゅうは弟よ!わたしのたった一人の家族なのよ?どうしてそんな言い方するの!!」


「ちょっとちょっと~。二人とも落ち着て~。ケンカは止めましょう?」


マーリンが割って入ってきてなだめてくれてる。もう…。雷覇らいは殿は時々、本当に訳の分からない怒り方するから!


「そうね‥‥。こんな所で言い合っても仕方ないわ。もうやめましょう。雷覇らいは殿‥‥」


「分かった。ならこの話は終わりだ。お土産も買わなくていいな!」


「お土産は買うわよ!!雷覇らいは殿が勝手に決めないで!!」


「今わざわざ買わなくていいだろ?また今度買えばいい」


「嫌よ!絶対に今!!買うわ!!雷覇らいは殿は一緒にいなくて結構よ!!」


「なっ‥‥。そんな言い方しなくてもいいだろう!」


「そんな言い方ってどんな言い方よ。大体雷覇らいは殿はいちいち細かいのよ!!」


「細かくない。怜彬れいりんのしたいことは全部許容してるだろ!」


「何よ!自分だけ我慢してると思ってるの!!わたしだって、我慢してる!雷覇らいは殿がいちいちくっ付いてくるのとか、ほっぺたやおでこに障るのだって、本当は止めてほしいけど我慢してるもの!!!」


そう言って、わたしは雷覇らいは殿とは反対方向へ走り出した。

もう頭に来た!!自分だって好き勝手してるじゃない!!

やめてって言ってもやめないじゃない…・。

もう知らない!!何よ、自分の事は棚に上げてわたしだけ責めて!!

しばらくは顔も見たくない!!

もういや!なんでこんなに…。イライラするの?


「っ‥‥!!怜彬れいりん!!」


遠くで雷覇らいは殿がわたしの名前を呼んでるのが聞こえた。でもわたしは振り返らずに走り続けた。

追いかけてくる気配がしたけど、振り返ったらもう人込みに紛れて分からなくなっていた。


ちょうどいいや‥‥。一人で落ち着いて頭を冷やう…。

はぁぁぁ…。もうなんでこんな事になっちゃたの?昨日まで仲良くできてたのに…。


でも雷覇らいは殿に言ったことも正直な気持ちだった。

ちょっと一人にして!って思う時もあった。

一緒にいて大事にされるのは嬉しい。大切にされてるとも感じる…。

でも距離感も大事にしてほしい。


わたしが雷覇らいは殿を好きだったら、そんなことは思わないだろう。

もっと一緒にいたいって思うだろし、もっと触れていたいって思うと思う…。

でもわたしは、まだ雷覇らいは殿をどう思ってるからわからない…。

少しはわたしの気持ちも考えてほしかった…。


「ここどこだろ?」


気が付いたら、かなりの距離を歩いてきたようで、人込みもまばらな路地裏に来ていた。

とにかく来た道を戻ろう。そうした瞬間。いきなり後ろでを強い力で引っ張られた!


「きゃっ!!」


「綺麗なおねえさん。こんなところで一人できたら危ないよ?」


「離して!!」


「つれないな~。ちょっとくらいいいじゃん♪おねえさん」


なに?この人気持ち悪い!!早く離れなきゃ‥‥。


「あっちに連れがいるからさぁ、一緒に行こう?ね?」


「いかないわ!!離してよ!!」


にやにや気持ち悪い笑い方をしている男はなかなか手を離してくれない。ちからも向こうが強いから、振りほどけなかった。


「だれかー!!!助けて!!!」


わたしは目一杯おおきなこえを出して叫んだ!!でも無駄だった。急に後ろから別の誰かがきて

口を塞がれてなにか薬品みたいなものを嗅がせれた…。


あっという間に、わたしは意識を失った。






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