エピローグ
一旦これで一区切りです。
また、後日談書けたらいいなと思います(*´Д`)
「すごーい!これに乗ったら秋唐国まで3日で行けるのね!」
「ああ。山々を切り開いて直線状に夏陽国と秋唐国を結んだ」
「こらならいつでもお互いの国を行き来できるわね」
「人も物も運びやすくなるだろう」
「凄いわね~。たった1年でここまでできるなんて…」
「怜彬…。あんまりウロウロすると体に障るぞ」
「平気よ。もう安定期なんだから!」
雷覇に支えらるようにして完成したばかりの電車の中に乗り込んだ。
今日は夏陽国と秋唐国を結ぶ電車の開通式だった。
雷覇と珀樹殿、それに怜秋が中心となって
進めてくれたおかげで1年という物凄い早さで完成した。
夏陽国の軍事産業と冬羽国の技術力をフル活用した結果だった。
この事業をきっかけに、他の国にも線路を作って国同士を繋ごうという流れになっている。
五神国間の移動が格段に速くなる。とってもいい事だと思った。
「怜彬様!!」
「珀樹殿!」
眩しいくらいの笑顔でこちらに駆け寄ってくる珀樹殿。
彼女は秋唐国へ移住し怜秋の仕事を手伝ってくれている。
ほんとうにありがたいわ…。
「もう出産間近なのに動いて大丈夫ですか?」
「雷覇とおんなじことを言うのね!大丈夫よ。先生からは安定しているし、良好だって言われてるわ」
「ほんとうに…無理はなさらないでくださいね」
「ふふふ。ありがとう」
「れいちゃーん♡」
この声は…。
「マーリン!!」
「久しぶりね~ん♡元気にしてた?」
「とっても元気よ!」
相変わらずド派手な格好で現れたマーリン。
今度は髪の毛の色が、金色と銀色になっている…。
服装も綺麗なエメラルド色のドレスを着ていて彼女自身が宝石見たいだった。
「らいらいも久しぶりね♡」
「ああ。元気だったか?マーリン殿」
「私はいつも元気よ~♡それにしても…こんなにお腹大きくなって大丈夫なの?」
「平気よ。生まれるのはまだ2週間も先だもの」
「そんなのわからないじゃな~い。心配だわ」
「俺も止めたんだがな…聞いてもらえなかった」
もう!みんなして過保護なんだから。
先生からはもっと動いてもいいって言われてるのよね…。
妊娠してからというもの、散歩でさえ何人もの付き添いがいないと出れない状態。
雷覇も以前にもましてべったりだった。
ふぅ…。これじゃあ…産まれてからも大変よね~?
わたしはお腹をさすりながら心の中で赤ちゃんに話しかけた。
「怜彬殿!お久しぶりです」
「まぁ!冬條殿!お久しぶり」
「お元気そうでよかった。これ…妊婦さんでも飲める酔い止めです」
「ありがとう!相変わらず凄い薬を作っているのね」
「ありがとうございます。怜彬様が提案して下さった事業が思いのか順調なので」
「よかった~。あの飾り花とっても人気商品なのよね♪」
冬條殿がわたしへのお礼と言って作ってくれた、特殊な加工でできたお花。
どれだけ日数が経過しても瑞々しさを失わない。商品名を「飾り花」とつけて販売したら
爆発的なヒットを生み、五神国中で売れている。
「れいちゃんに話を持ち掛けて貰って私も大儲けよ~♡うふふ」
「香水をつけると言うアイディアも良かったですね!」
「そうなの。雷覇がアドバイスしてくれたおかげよ」
「いや…それほどでも…」
嬉しそうに冬條殿と話している雷覇。
マーリンの仕事も順調に拡大して、今では五神国中に店舗を展開している。
そのおかげで、リョクチャ事業は秋唐国以外でも大成功。
マーリンのお店に置いてもらったのが功を奏して、注文がひっきりなしに入ってきている。
「そろそろ電車が出ますよ。皆さん席についてください!」
振り返ると、黒綾殿が電車に入ってきて声を掛けてきてくれた。
相変わらず全体をよく見て気を配ってくれている。
「黒綾殿!来てくれたのね」
「こんなおめでたい日ですから…。水覇殿からお休みを頂きました」
「そうなの!良かったね」
「はい。それで怜彬様にご相談があるんですけど…」
「なあに?」
「子供用の服を作って販売してみてはどうでしょうか?」
「まぁ!とっても素敵」
「ありがとうございます!怜彬殿の赤ちゃんに着せれたらと思って考えてて浮かんだんです」
「やりましょう!」
「なになに~?私も混ぜて~ん♡」
さっきまで雷覇と話していたマーリンも話に入ってきた。
ふふふ。このメンバーでまた新しいビジネスができるなんて…。楽しみだわ!
「それなら、子育て中のお母様向けにリラックスできる香水を販売したいです~」
「あら♪リヨウとスバルじゃない!!」
「ヤッホー怜彬様!遊びに来ちゃいました」
リヨウとスバルも同じ車両に乗ってきていた。
隣にはムツリとラカンも一緒だった。
「リラックス効果のある香水なんて素敵じゃな~い♡あなた達センスあるじゃない」
「ありがとうございます!マーリンさん」
「じゃあ、子供用と妊婦向けに新たにビジネスを立ち上げましょう!」
「やったー!!」
楽しみだな~。リヨウとスバル。マーリンに黒綾殿。
こんな凄いメンバーと一緒に仕事ができると思うと、ワクワクしてしょうがなかった。
「怜彬様~。雷覇様~」
窓の外から声がして窓開けてみると、マダムベリー、ザガク、バル爺がいた。
すごい!夏陽国の三大商人がいるわ!!
「みんな!来てくれたんですね!」
「はい!怜彬様達をお見送りしたくって♪ホホホ」
「お気をつけて…怜彬様」
「雷覇ぼっちゃま…くれぐれも、お気を付けて…」
「バル爺。また土産をもって遊びに行く!」
「皆さんもお気をつけて~」
わたしと雷覇は窓から大きく手を振った。
もうすぐ電車が出発する時刻だ。
駅には数多くの人が見送りに来たり、見学に来たりしている。
この人達がこれから秋唐国にも来てくれるのね…。
閉鎖的だった秋唐国はこれからどんどん変わっていくだろう!
怜秋も受け入れが大変だと手紙に書いていた。
確かに大変な面もあるけれど、様々な人達と交流することでもっと発展していくわ!
「怜彬さま~」
「水蓮殿!」
声のする方を見ると、水蓮殿と水覇殿が
子供達を連れて見送りに来てくれていた。去年生まれたばかりの双子の女の子を抱いている。
とってもかわいらしい。肌の色は褐色だが顔立ちは水蓮殿にそっくりだった。
水覇殿はもうメロメロらしい。
ずっと子供達と離れずに面倒をみている子煩悩なお父さんになっていた。
とっても意外!
「兄さん!くれぐれも、向こうで問題起こさないでくれよ~」
「心配無用だ!水覇」
「ああ…。心配だ‥」
水覇殿が言っていることは何となくわかる…。
雷覇が問題起こさなかったことなどあっただろうか?
まぁ…。それはわたしも同じか!へへへ。
「お二人ともお気をつけて!帰りをお待ちしております」
「ありがとう!水蓮殿」
二人に手を振ったところで電車が出発した。
こらから3日かけて秋唐国へ向かう。
沢山の人達との移動だ。きっと賑やかな旅になるだろう!
「無事に出発して良かったね!」
「ああ。あとは秋唐国へ着くのを待つだけだ」
「久しぶりに帰るから楽しみだわ~」
「怜彬…。お水はいらないか?」
「ありがとう雷覇。大丈夫よ」
「赤ちゃんは男の子なの?それとも女の子なの」
マーリンにお菓子を手渡されながら聞かれた。
「お医者様は男の子じゃないかって♪」
「あら♡楽しみね~!名前はもう決めてあるの?」
「ええ」
「空覇と海覇だ!」
「いい名前じゃな~い♡らいらいが考えたの?」
「いいや。俺の親父だ」
炎覇が残してくれた日記に書かれていた、名前。
男の子だったら空覇と海覇。
女の子だったら安蘭と柚蘭。
どちらが生まれてきてくれてもいい。健康ならそれで…。
お腹をさすりながら、わたしはまだ見ぬ我が子を待ちわびた。
「素敵ね~♡」
「ああ!早く子供たちに会いたいよ」
雷覇も一緒になってお腹をさすってくれている。
毎日こんな感じで彼はお腹の子に声を掛けている。
「雷覇ったらもう、子供の剣とか弓とか作らせてるのよ」
「もう?まだ産まれてもないじゃない」
「そうなのよ~」
「準備は早いに越したとしたことはない」
「でも、雷覇殿らしいですね」
ニコニコしながら黒綾殿にも言われた。
お城ではもっぱら有名な話である。
彼もきっと水覇殿と同じ子煩悩な父親になるに違いない。
「れいちゃんとらいらいの子供ならきっと綺麗な顔の子供でしょうね~」
「そうですね!どちらに似てもきっと可愛らしいお子さんでしょうね」
「ふふふ。そうね」
「怜彬に似たら、相当な転婆な子供になって大変そうだな」
「あら!雷覇似たらものすごい無鉄砲な子になるわ!きっと」
「どっちにしても可愛いは決まりね♡」
マーリンも黒綾殿もきっと自分の子供のように可愛がってくれるんだろうな!
産まれてくる子供たちはとても幸せ者だ。もちろんわたしも…。
雷覇と子供達と過ごすこれからの生活がとても楽しみだ。
「そういえば、リンリンとサイガの結婚式はいつだっけ?」
「えーと…。たしか怜彬の出産が終わって落ち着いたらと言っていたぞ」
「あのお二人も結婚されるんですね」
「そうなの!すぐに式を上げても良かったんだけど、リンリンが赤ちゃんのお世話をしたいからって」
「リンリンさんらしいですね…」
「そういう黒綾殿は誰かいい人いないの?」
「えっ?僕ですか?」
わたしの質問が意外だったのか思いっきり驚いた顔をされてしまった。
「うん♪黒綾殿ならモテモテでしょう?」
「いや…僕はそんなには」
「俺も聞いたことがあるぞ。城の女性たちが黒綾殿を狙ってると」
「それはわたしも聞いたことがあるわ!」
「僕は今は仕事が第一なので…。そもそもそんな人もいませんし…」
うーん…。黒綾殿の仕事ぶりにはとても感謝しているけど
彼がずっと独身というの気がかりだわ!何かいい方法はないかしら?
「あぁっ!いい事を思いついたわ」
「怜彬殿?」
「もし女の子が産まれたら黒綾殿がお嫁さんに貰って♪」
「えぇぇ!!」
「なるほど…黒綾殿にか…」
「ね?雷覇も黒綾殿にならお嫁に出してもいいでしょ?」
「うーむ…。複雑だが…黒綾殿なら…まぁ許す」
「お二人とも!待ってください。僕は今年で20歳ですよ?歳が離れすぎてますよ」
「あら?りょうたん。恋愛に年齢も性別も関係ないよの~♡」
マーリンがそんな事言うと物凄く説得力がある!!
お友達関係が長く続いたマーリンと冬條殿は
今ではお付き合いする仲にまで進展している。
「そうよ!わたしも炎覇とは物凄い歳の差だったわ」
「そうだな。年齢は関係ないな!」
「れいちゃんとらいらいの子供よ?絶対可愛い女の子に決まってるじゃない~♡」
「ちょっと…三人とも…」
「ね!皆こう言っているし…黒綾殿にいい人がいなかったら娘を宜しくね♪」
「う…。分かりました…」
「やったー!!黒綾殿がわたしの息子になるのね~」
弟としても可愛いけど、息子として関われるなんて…。これってとっても素敵じゃない?
それに黒綾殿なら仕事も出来て真面目で優しいからきっといい旦那さんになるわ。
「いや~ん♡れいちゃん羨ましい~♡」
「黒綾殿が…息子か…悪くないな」
「あの…まだ結婚すると決まったわけではないですからね…念のため」
「ふふふ。どうなるか分からないけど…何となく黒綾殿とは長いお付き合いになりそうだわ」
「怜彬殿が言うと当たりそうで怖いですね…」
若干、疲れたような顔をされてしまったけど
黒綾殿の事だ。間違いなく誠実な対応をしてくれるだろう。
これからの将来が楽しみだ!
その後、1日かけて中継地点まで電車を走らせ
次の停車駅から虹珠殿達が乗り込んできた。
秋唐国へ向かう一行はますます賑やかとなった。
この電車のように、わたしは雷覇達と一緒に多くの人に囲まれていくのだろう。
未来へ向かって。新しい命と共に。
こにて【死神姫】完結です(^O^)/
応援してくださった方、ブックマーク、評価してくださった方本当にありがとうございました。
継続力のないわたしが最後までやり切れたのも読んでくれている皆さんのおかげです!!
まさかここまで長い話になるとは思いもしませんでした笑
とても楽しみながら書けました!!
皆さんにも楽しんでもらえると嬉しいです(*´Д`)
【桜色ノスタルジー】【わたしと契約結婚してくさださい】
もよろしくお願いいたします(^_-)-☆