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180.道中で…

最後までお読みいただきありがとうございます( *´艸`)

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【桜色ノスタルジー】スタートしました♡こちらもお楽しみいただければ幸いです!!

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怜彬れいりんちゃん♡今日はよろしくね~」


「はい!こちらこそよろしくお願いします!虹禀こうひん殿」


青い空!白い雲!今日は絶好の旅行日和だった。

急遽、虹禀こうひん殿と四季国しきこくへ行く事が決まったわたしは

大急ぎで準備して当日を迎えた。

四季国しきこくの神殿へ行くのは初めてだからとっても楽しみ!

結婚式前に現地を訪ねることが出来たのは有難かった。


怜彬れいりん。くれぐれも無茶するなよ。気を付けてな」


「うん。わかったわ雷覇らいは。じゃあ行ってきます」


「ああ。行ってらっしゃい」


雷覇らいはに見送られてわたしと虹禀こうひん殿は出発した。

四季国しきこくは馬車で3日。

その間のお世話はリンリンがしてくれることになっている。

虹禀こうひん殿と二人でってところがちょっと緊張するけど

叔母上様達3人に囲まれることに比べたら大したことない。

まぁ…虹禀こうひん殿は相変わらずフェロモンが凄いんだけど…。


「うふ♡怜彬れいりんちゃんと二人で旅行だんて嬉しいわ~」


「ありがとうございます。わたしもとっても楽しみです」


「たっくさん美味しい物食べて、たっくさん楽しみましょうね~♡」


「はい!」


打ち合わせというよりかはもはや…観光が目的なのでは?

と思うくらい虹禀こうひん殿はご機嫌だった。


四季国しきこくへ行く途中でね、体にとってもいい食べ物を提供してくれるお店があるの」


「まぁ。どんなお店ですか?」


「なるべく薬をつかずに育てたお野菜とか、餌にこだわって育てた豚のお肉とか出してくれるお店よ♡」


「へぇ…。そんなお店があるんですね」


「ええ。私達はよくそのお店に行ってるの。味も美味しいから楽しみにしててね」


「ありがとうございます。虹禀こうひん殿」


もしかして…。このお店にわたしを連れて行くために手伝いをしてって言ってくれたのかしら?

突拍子もない行動に見えて、虹禀こうひん殿達のすることには必ず意味がある。

それはわたしや雷覇らいはの事を考えての事がほとんどだ。

真意をあまり言わないから伝わりづらいだけど…。


「ふふふ。それにしても今日は本当にいいお天気ね~」


「そうですね」


「こんなに天気がいいならお昼は外で食べてもいいわね♡」


「いいですね!わたし外で食べるの大好きです」


「雷ちゃんから聞いてるわ。よくお庭でたべるんですってね」


「そうなんです。前は雷覇らいはがサンドウィッチを作ってくれました」


「まぁ!あの子がそんな事を?」


「ええ。ラカンに作り方を聞いて作ってくれました!とっても美味しかったですよ」


「そう…。あの子がそんな事を…」


そう言った後で虹禀こうひん殿は穏やかな表情で遠くを見つめる。

まるで何かを思い出しているかのようだった。遠い記憶の何かを…。


「雷ちゃんって本当に昔から母親しか懐かなくてね…」


「聞いてます。かなり人見知りだったんですよね?」


「ええ。夏輝かきが亡くなってからしばらくの間預かっていたけど、全然心を開いてくれなくて…どうしたものかと思っていた時期もあったの」


「そう…だったんですか」


「雷ちゃんは剣術にのめり込んでその後すぐに戦争に参加して…中々会える機会も減って…とても寂しかったわ」


虹禀こうひん殿…」


「それに今と違って全然話してもくれないし、目も合わせてくれなかったしね」


「そんな感じだったんですね…雷覇らいは


「そうよ~。今とは天と地ほどの差があるわ。それに昔は反抗期だったのかよく虹珠こうじゅと喧嘩してたし…」


「えぇ!!それって大丈夫なんですか?なんだか凄そうなんですけど…」


「もう~本当に大変だったわ!お互い軍人さんでしょ?拳の押収で喧嘩というより殺し合いに近かったわ~。あの時は流石に肝が冷えたわ」


うわ~…。そんな事があっただなんて…。

雷覇らいはが13歳の時に彼の振る舞いを注意した虹珠こうじゅ殿と衝突して

大喧嘩になったそうだった。最初は口論になり埒が明かない為殴り合いで解決したそうだった…。

何というか…うちの家とは大違いね…。

結果は雷覇らいはの惨敗。虹珠こうじゅ殿にボコボコにされて終わったらしい。

恐ろしや…虹珠こうじゅ殿!!


ふ~。怜秋れいしゅうにも思春期はあったけど、元々大人しい性格だから

せいぜい部屋に籠るくらいでかわいいものだった。

雷覇らいはの場合は…血の気が多い感じね。それに激しい…。

う~ん…。そんな弟がいたらわたしはうまく対応できていたかしら?


わたしの知らない昔の雷覇らいは

ある程度雷覇らいはから話は聞いていたけれど…。

やっぱり虹禀こうひん殿からみる雷覇らいはは今とは大きくかけ離れていた。

けれど思う事は虹珠こうじゅ殿だから雷覇らいはと対等にやる合う事が出来たのだろう。

彼女が雷覇らいはの事を甘やかさなかった証拠でもあるような気がした。


「それに炎覇えんはが亡くなってからは、仕事に打ち込んでばかりだったしね…ちょっと心配だったの」


くるりとこちらを振り返って虹禀こうひん殿に両手を握られた。

真っ直ぐにこちらを見る瞳は雷覇らいはと重なる部分があった。


「でも…怜彬れいりんちゃんと結婚するって言ってからはとても生き生きしてた!行動はとんでもない事ばかりしてると聞いていたけど、私はそれでも嬉しかったわ!」


「そんなに変わったんですね…雷覇らいはは…」


「ええ!全部…怜彬れいりんちゃんのおかげよ♡ありがとう」


「わたしは…何も…」


「そんな事ないわ。雷ちゃんを…あの子を選んでくれてありがとう」


虹禀こうひん殿…こちらこそです」


「ふふふ。ちょっとしんみりしちゃったわね♡ごめんなさいね」


「いえ。雷覇らいはの話が聞けて…虹禀こうひん殿の気持ちを聞けて嬉しいです」


わたしも虹禀こうひん殿の手を握り返して伝えた。

雷覇らいははどう思っているか分からないけど小さい頃の雷覇らいはを支えたのは

間違いなく虹禀こうひん殿達だ。だから今でも交流があって仲良さそうにしている。

彼が真っ直ぐに育ったのは彼女達の影響もあるだろう…。

それからは二人で雷覇らいはの事を中心に沢山話をした。

雷覇らいはが悪さして虹珠こうじゅ殿に思いっきり叱られた事や

虹禀こうひん殿に女のあしらい方を教えて欲しいと相談していた事…。


虹禀こうひん殿達はただただ自由奔放で怖い人達ではない。

甥である雷覇らいはの事を大切にしているとても温かな人達だという事がよく分かった。

雷覇らいはの事を語る虹禀こうひん殿の瞳はとても愛情に満ち溢れていた。



*-------------------------------------*


ふふふ。今思い出しても面白いわね…。

私は怜彬れいりんちゃんに雷覇らいはの事を話しながら過去を思い返していた。

雷覇らいはが22歳になったばかりのころ、突然訪ねてきたかと思えば

びっくりするような質問をぶつけてきた。


虹禀こうひん殿…。女性をうまくあしらうにはどうしたらいい?」


「女性のあしらかいた?どうしの急に?」


「最近やたら絡まれて迷惑してるんだ…。でも怒ったらすぐに泣くしわめくし…かと言って甘くしたら好きだから抱いてくれだの…言ってきて面倒なんだ」


ブスッとして不貞腐れたような表情で女性の事を語る私の可愛い甥。

小さい頃は人見知りの子供だと思っていた幼かった彼はもう女性の悩みを口にするようになったのか…。

話を聞いていて私は何だか感慨深いものを感じていた。


「そうね~…。また今度とか、気が向いたら会いに行くとか言ってかわしたらいいんじゃないかしら?」


「なるほど…。そんな言い方もあるんだな…。じゃあ勝手に部屋に入ってきて迫られたらどうしたらいい?」


「まあ!積極的な子もいるものね~…。私ならそんな気分じゃないって言ってくれたら諦めるかしら」


「気分…か。なるほど」


納得したのか考え込む様に黙ってしまった雷覇らいは

それしても聞けば聞くほど、私の甥は女性に人気があるらしい。

まぁ実際に紹介してくれと言われることが多々ある。

私の一存では決められないから受け流してはいるけど…。


戦争で敵軍の大将を倒し、銀獅子ぎんししの異名を持ってからの雷覇らいは

大勢の人から注目を浴びるようになり時の人となってしまった。

今まで以上に知名度が格段に上がったため、言い寄ってくる女性も格段に多くなった。

それに年齢的にも結婚できる適齢期になっている。

夏陽国かようこくの…雷覇らいはの妻の座を得ようと考える女性は大勢いるだろう。

私に聞かなくても水ちゃんに聞けばわかるでしょうに…。

水覇すいは殿はとても器用で世渡り上手な子だ。きっと当たり障りなく

女性を窘めるたりかわしたりする事が出来るだろう。


「あと…もう一つ女をかわすいい方法があるわ!」


「なんだ!教えてくれ」


「雷ちゃんが結婚すればいいのよ~♡」


「えっ…けっこん…」


「そう♡そうすれば流石に迫ってくる子は少なくなると思うわ~」


「…」


急につらそうな顔をしてしんみりしてしまった雷覇らいは

どうしたのかしら?珍しいわね雷ちゃんのこんな表情は…。


「結婚は…できない」


「あら?どうして?あなたなら選び放題でしょう?」


「好きでもない人とは出来ないし…したくない…」


「ふ~ん…」


この言い方は…間違いなくいるわね♡好きな人。

でも…嬉しそうじゃない。既に相手が結婚している?もしくは恋人がいる人とか…。

まぁ…そこはあまり触れない方がいいわね。

それに…苦しい恋もいい経験になるし。ふふふ。

好きな人の事で悩む雷覇らいははいつもよりも幼く見えて可愛らしかった。


「とにかく好きでもない人には冷たくあしらう事ね。変に気を持たせても相手が可哀想だし」


「それは分かってる。だから虹禀こうひん殿に聞きに来たんだ」


「そう…。でもあなたには沢山の人と触れ合って…沢山経験して欲しいわ。女性だけじゃなくってね」


「…」


それは面倒だとでも言いたげな顔だったが何も言わずに雷覇らいはは黙っていた。

こちらの意図も分かっているだけに言い返せないのだろう。

まだまだ…子供ね。

それにしても炎覇えんはったらどんな教育をしているのかしら?

ちょっと奔放過ぎない?まったく…。


もかれこれ4年も前の記憶になる。

この時の雷覇らいはが、まさか怜彬れいりんちゃんの事を好きだったなんて

夢にも思ってなかった。

どうりで苦しいはずよね…。父親の奥さんを好きになったんだから…。

つくづく我が甥は茨の道が好きなんだなと思った。

わざわざそんな人を好きにならなくても、女性は沢山いるのに。


それでも惹かれずにはいられない何かが怜彬れいりんちゃんにはあるのだろう。

それは…どんなところだろう。

今度、雷ちゃんと話す機会があったら聞いてみよう…。

私は久しぶりに雷覇らいはとゆっくり話してもいいかもしれないと思ったのだった


*-------------------------------------*

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