172.怜彬《れいりん》とラカン
怜彬にとってラカンはとっても大きな存在です。
彼がいなかったら怜彬はきっとスーパーグレてたでしょうね笑
ヤンキーの怜彬も面白そう(*^▽^*)
「怜彬様!ご結婚おめでとうございます!!」
「ありがとう。リヨウ、スバル!」
「いや~。とうとう…と言うかやっとですね!」
「ほんとほんと。長かったね~」
「そうかな?わたしとしては早かったんだけど…」
今日は久しぶりにリヨウとスバルに会いに来ていた。依頼されていた庭作りをしてしまうためだった。
二人ともわたしと雷覇の結婚が決まったことをとても喜んでくれている。
結婚式用の香水を作る!といって意気込んでいた。
「いやいや~。雷覇様はやっとって感じじゃない?」
「そうよ!怜彬様は暢気なんだから」
「そっ…そうかしら…」
「ずっと待ち焦がれてたんですもの」
「そうそう。4年も前からね!」
「まぁ…確かにそうね」
「結婚が決まったんだったら、何か進展があったんじゃない?」
「進展って?」
「ほら~♡前に口づけだけって言ってたじゃない。そこから何かなかったのかな~って」
からかうようにリヨウに尋ねられてしまった。
口づけしか…されてないけど…。っていうかシャチーの事で忙しかったからそれもしばらくなかったな…。
「今まで通りよ。雷覇は結婚式の準備で忙しそうにしてるし…」
「えぇぇ!そんな~。もっとラブラブしてると思ったのに~」
「っていうか…雷覇様が結婚式の準備してるんだ…」
「スバル…。言いたいことは分かるわ。普通はわたしが気合の入るところだもんね」
「…うん。普通は女の子がワクワクするところじゃない?」
「わたしはそうでもないのよね~。ぶっちゃけ三回もやってると…ね」
「あー‥‥。そっか。怜彬様は初めてじゃないんだよね」
「だから雷覇様が気合入りまくってるのか~。面白いね!」
「そうなのよね~。炎覇を超えたいって思ってるみたいで…なんか張り合ってるのよね~」
「アハハ!雷覇様らしい!」
「そうね。可愛いじゃない」
出してもらったお水を飲みながら、リヨウとスバルに今までの事を話した。
どうも雷覇は炎覇に負けじとして、気合が入っている。
最近では仕事をしながら準備しているから帰りもとても遅い。
朝少し会話をするくらいで、二人の時間があまりなかった。
わたしはどっちかというと二人の時間を大切にしたいんだけどね~。
まぁ、雷覇が頑張ってるから見守ってるけど…。
考え方を変えるなら前は構われ過ぎていたくらいだから、今くらいの距離感はちょうどいいかもしれない。
「怜彬様もボーっとしてたら駄目よ!」
「えっ?なんで?」
「何でって!やる事は色々あるじゃない」
「そうよ!エステに髪の毛のお手入れ、スタイルも今以上に引き締めないとだし!」
「えええ…なんでそこまで…」
「最高のコンディションで挑まないと!結婚式は!」
「そうそう!一生に一度しかないんだよ?」
いやいや…。すでに4度目になろうとしてるんですけど…。
そうか…。普通の女の子なら気合の入るところはそこになるのか…。
まったく考えていなかったから二人に思いっきりお説教されてしまった。
これは帰ってすぐにリンリンにお願いしないとな…。
次の日からリンリンによるスペシャルケアをしてもらう事になった。
一日二回肌のお手入れマッサージをして、その間に髪の毛のケア。
さらには、雷覇に教えて貰ったトレーニングメニューをこなしてスタイルアップを図った。
最近サボってたから結構しんどい…。
「はぁ…。ちょっと休憩!」
わたしは別邸の庭で、寝っ転がって空を見上げた。
雷覇のメニューは思いのほかハードだった。
身体のあちこちが痛い…。トホホ…。
「怜彬様…。大丈夫ですか?」
「ラカン…どうしたの?」
「リンリンに頼まれていたお手入れ用品を持ってきたんです」
「そうだったの…。ありがとう!」
私は起き上がってラカンの元へ駆け寄った。
ラカンと話すのも久しぶりだった。彼も今はわたしの結婚式の準備で動いてくれている。
おまけに雷覇の仕事も手伝っているからとても忙しいのだ。
元々は‥‥わたしの従者だったんだけどな~。
「改めて…おめでとうございます。怜彬様」
「ふふふ。ありがとう!どうしたの?急に」
「いえ…とても感慨深くなりまして…」
「ねぇ。ラカンちょっと時間ある?お茶でもしない?」
「頂きます。ありがとうございます」
ラカンを部屋に招いてお茶をリンリンに用意してもらった。
リンリンも一緒にって誘ったけど、私はいいですと言われてしまった。
「怜彬様もやっと…穏やかに過ごせる場所を見つけたんですね…」
「そうね…。やっと自分の居場所を見つけられた気がするわ」
「とても嬉しいです。今までずっと見守ってきましたから…最初はどうなるかと思いましたが…」
「ふふふ。そうね…最初は大変だったわね…ラカンに結婚してってお願いしたり」
「そんな事もありましたね…。懐かしいです」
「あの時は結婚したくなくて必死だったからな~」
「それに…ご生母様も…喜んでおられると思います」
「ラカン…」
「あんなに小さかった怜彬様が…こうして沢山の人に囲まれて…笑顔で暮らしていらっしゃる…それだけでわたしは幸せです」
「…いやだ…そんな事言われたら泣いちゃうじゃない」
ラカンが急に真剣な表情で話すものだからわたしまでしんみりしちゃった…。
でもラカンはわたしが小さい頃からずっと変わらずに傍に居てくれた人。
彼がこの結婚を喜んでくれてるのは見ていて伝わってきた。
父のような兄のような存在のラカン。
母が亡くなったときはずっとわたしを抱きしめてくれていた。
炎覇がなくなった時は、さりげなく励まし続けてくれていた。
そしてそれは今も変わらずに…。
「怜彬様…。今までの分も含めて幸せになってくださいね」
「ええ…。なるわ絶対に…」
「涙もろいのは小さい頃から変わりませんね…」
「ううう…これはラカンのせいよ…ぐす…」
穏やかに微笑みながらわたしを見つめるラカン。
わたしは涙を流しながら、ラカンの手を握った。
彼の手は昔と変わらない大きさと温かさで包んでくれていた。
わたしが今まで頑張ってこれたのはラカンの支えがあったから…。
彼の為にも幸せになろう…雷覇と一緒に。
「ラカン…これからもよろしくね…」
「はい。死ぬまでお傍にいます」
「ふふふ…それは大げさよ…」
「いいえ。わたしは誓ったんです。ずっと…怜彬様の傍に居ると」
「ありがとう…じゃあ、雷覇との子供が生まれたら…その時はお願いね」
「勿論です。厳しく面倒を見ますよ」
「それは…目に浮かぶわね…」
ラカンとこうして未来の話が出来る事が嬉しい…。
ほんの一年前までは未来の事なんて想像もできなかった。
明日さえ来なければいいと感じていた日もあったのに…。
それもこれも…雷覇のおかげね…。
改めて雷覇に対して感謝した。わたしを諦めなかった雷覇。
ずっとずっと…わたしを待ってくれていた。
どんなに拒んでもぶつかってきてくれた。
彼を想うと幸せな気持ちになる。とてもくすぐったい気持ちになる。
人を好きになるって…とても素晴らしいことね。
ちょっと…雷覇に会いたくなってきたかも…。
あとで執務室へ行ってみようかな♪
しばらくラカンとお茶しながら思い出話をした。
わたしがお転婆すぎて怪我ばかりしていた事。泣きながらお庭を作ったこと。
高熱を出してとても心配した事。木登りして降りられなくなったこと。
ラカンと一緒に料理をした事。怜秋と一緒にたくさん遊んだこと…。
たくさんたくさん話をした。どれも昨日の事の様に覚えてる。
辛い時期もたくさんあったけれどキラキラして眩しい思い出もある。
母がいなくて…父にも会えなくて寂しかったけどその分ラカンがわたしを愛してくれた。
いっぱの愛情を注いでくれてた。
小さい頃は気が付かなかったけど今ならわかる。
彼がどれほどわたしを大切にしてくていたかを…。
ありがとう…ラカン。
わたしはこころの中で呟いた。
ひとしきり話した後ラカンは仕事に戻っていった。
わたしはラカンを見送りながら、ありがとうと心の中でまた呟いた。
最後までお読みいただきありがとうございます( *´艸`)
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