166.冬彩氷祭~久しぶりのときめき~
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「はぁ~。もうお腹いっぱい…」
「とっても美味しい料理だったね!姉さん」
「ええ。体がホカホカしてきて温まったわ」
「お口に合ってよかったです」
珀樹殿に案内されたお店で出された料理を堪能したわたし達。
魚介類のスープを香辛料で煮込んだ料理だった。
出汁が体に染みわたり、香辛料のスパイスが効いていてとても美味しかった。
冬羽国では冬の寒い時期はこのスープを食べるのが定番だそうだ。
「あっ…そうだわ。冬條殿に聞きたいことがあったの」
「はい。何でしょう」
「わたしに作ってくれた枯れないお花なんだけど、あれって商品化して販売できたりしない?」
「商品化ですか…」
「難しいかしら?」
前々から聞こうと思って中々タイミングが掴めず今になってしまった。
皆の食事が一段落したタイミングで思い切って聞いてみた。
聞かれた冬條殿は難しそうな顔をして悩んでいるようだった。
「大量に作るにはまだまだ改良しないといけない部分がたくさんあるんです」
「じゃあ…それが解消したら可能かしら?」
「もちろんです。商品化しようなんて思っても見なかったですけど」
「あら!贈り物にとってもピッタリな品だと思うわ。女性に人気が出ると思うの」
「なるほど…。怜彬殿おっしゃるなら間違いないでしょう」
「ありがとう!完成したらわたしの国で販売してもいいかしら?」
「はい!こちらとしてもぜひお願いしたいです。貴重な財源になりますから」
「嬉しいわ!ありがとう。冬條殿」
「こちらこそ。ありがとうございます。怜彬殿」
スムーズに話を進められて良かった!
冬條殿の開発技術はとても斬新だけど優しさを感じる物ばかりだ。
きっと他の人にも受け入れられるに違いない。
その後、食後の紅茶を飲みながら今後の方針を打ち合わせした。
「自分の思い付きで作った物が商品として世に出ると思うと…感無量です」
「冬條殿の発想力はとっても素敵よ」
「そうですかね…。あまり自信がないんですが…」
「大丈夫!どれもこれも冬條殿の思いが詰まっているもの。受け入れられると思う」
「ありがとうございます。出来るだけ早く量産できるように工夫します」
「ありがとう!わたしも必ず利益が出るようにアピールしていくわ」
「俺からも少し頼みたいことがあるのだが…」
「何でしょう?雷覇殿」
わたしと冬條殿が話していると雷覇が話しかけてきた。
「怜彬の為に作ってくれた護身用の道具だがあれを一般人向けに売れないだろうか?」
「なるほど…それなら製造工程を抑えればすぐに量産できますよ」
「そうか!簡単な護身用の道具でもいいんだ。何かあったときに使えるようにしたい」
「分かりました。今度、何個か試作品を作ってお送りしますね」
「ありがとう」
「雷覇…どうしたの?急に」
「今回の怜彬の誘拐の件で思ったんだ。自分の身は自分で守れた方がいいとな…」
「確かに…そうかもね…」
「逃げる時の時間稼ぎにつなげたり、助けを呼ぶ手助けができたらいいですね!」
「ええ。女性用ならアクセサリーに見える物でもいいかも!」
「なるほど…。その方が普段から身に着けやすいですね…それならデザインから見直しをして…材料も考えないと…」
何やらブツブツいいながら考え込んでしまった冬條殿。
どうやら一度考え出すと止まらないらしい。
近くに会ったメモ用紙に殴り書きしながらアイディアをまとめていた。
やっぱり冬條殿は根っからの研修者らしい。
普段は穏やかでニコニコしながら話をしているけどスイッチが入った途端
目つきが鋭くなって、表情が硬くなる。
それだけ真剣に考えているのだろう…。
今さらだけど冬條殿の繋がりが出来て本当に良かった!
冬羽国の技術力は本当に素晴らしいもの。
冬條殿の提案で必要な材料は秋唐国から輸出することになった。
うちは資源だけは豊富だからね!
新たに貿易が出来て財源が増えることはうちにとっても有難い。
宝石だけで国庫を賄う事は年々難しくなってきているのだ。
「相変わらず…姉さんの人脈をフル活用する国交はすごな…」
「そうかな?普通にお願いしているだけだけど…」
「それをいとも簡単にするところが凄いんだよ」
「うーん…そうなのかな?まぁでもお互い利益がでるならいいじゃない!」
「ハハハ…姉さんがいい人でほんとに良かったよ…」
怜秋に乾いた笑いをされてしまった。
褒められて…いるのよね?一応…。
2時間くらいまったりした後、わたし達は店を出て散策することにした。
採点の発表まではまだまだ時間がある。
それに氷の彫刻以外にも色んな見どころがこのお祭りにはあった。
「私がシャチー王女様を見てますので、どうぞ怜彬様と雷覇様はゆっくりしてきてください」
「え…。いいわよそんな…」
「素晴らしい提案だ!珀樹殿。さっ!怜彬。一緒に二人で見てまわろう」
「でも…」
「大丈夫です!怜彬お姉様。私は珀樹お姉様と一緒に居ます」
「そう?…じゃあお言葉に甘えて行ってくるわね…」
「ええ。どうぞごゆっくり。夕方になったらあの大きな噴水の前に集合しましょう」
「分かった!では、後ほどな!」
そう言って雷覇に手を引っ張られる形でわたし達はその場を後にした。
珀樹殿…。気を利かせてくれたのね…。
わたしとしては怜秋と珀樹殿を二人っきりにしたかったのにな~。
ちょっぴり残念。このお祭りを機に二人の仲が進展したらって思ってたのに…。
「怜彬…。やっぱり皆と一緒が良かったか?」
「えっ?」
「さっきから浮かない顔をしてる」
「あ…違うの。せっかく珀樹殿も一緒だったから楽しんで欲しいなって思って…」
「だったら明日、珀樹殿には自由に行動してもらおう」
「そうね…。もしかしたらご実家に行きたいかもしれないし…」
「じゃあ今は二人きりで問題ないな?」
「う…うん…」
雷覇に手の甲に口づけされてドキドキしてしまった。
なんか…久しぶりにスキンシップされたかも…。
移動中はずっとシャチーと一緒だったから何となく二人になる機会が少なかったのだ。
ちょっと…照れくさい。
「じゃあ。あっちを見てまわろう。面白そうな出し物をしている」
「ええ。行きましょう」
雷覇に手を引かれながら二人で目的地を目指した。
これってデート…よね…。
チラリと横にいる雷覇を見上げる。
キラキラと髪が揺れていて、瞳が光に反射して眩しい。
彼の顔を見るだけで胸が高鳴って息が苦しくなる気がした。
やだ…。好きになって大分…時間が経つのに…。
こんなに何度も同じ人を好きだと思う事があるのだろうか…。
雷覇も同じ気持ちでいるのだろうか…。
これが恋と呼ばれれるものなのだろうか…。
頭の中でぐるぐる色んな考えが浮かんで戸惑った。
わたしって変なのかな…。ふぅ…顔が暑い…。
これはさっき食べたスープのせいではないだろう。
わたしはパタパタともう片方の手で顔を扇いだ。
その後色んなところを雷覇を巡ったけどあまり記憶がない。
終始、雷覇の言動にドキドキして楽しむどころではなかったのだ。
わたしがあまりにも挙動不審だったのか、途中から雷覇に思いっきり心配された。
無理もない。目を合わせるのですらかなり勇気がいったのだから。
これってなんなのー!!!
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